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28日後...   28 DAYS LATER...(2002・イギリス/アメリカ/オランダ)
■ジャンル: ホラー
■収録時間: 114分

■スタッフ
監督 : ダニー・ボイル
製作 : アンドリュー・マクドナルド
脚本 : アレックス・ガーランド
撮影 : アンソニー・ドッド・マントル
音楽 : ジョン・マーフィ

■キャスト
キリアン・マーフィ(ジム)
ナオミ・ハリス(セリーナ)
クリストファー・エクルストン(ヘンリー少佐)
ミーガン・バーンズ(ハンナ)
ブレンダン・グリーソン(フランク)
28日後...
この映画で一番ショッキングなシーンはベッドに横たわるキリアンの姿だった。28日後・・・という発想はとても魅力的なのだが、結果としてただの仲間割れで殺し合いの映画になってしまったのが残念。もっと人間の怒りから生み出されたウイルスと怒りで疾走する暴徒、追いつめられる人々という構図をつきつめてほしかった。

■あらすじ


交通事故により病院で昏睡状態から目覚めたジム(キリアン・マーフィ)は、ロンドン中が死滅していることにあっけに取られる。動物を凶暴にするウィルスが瞬く間に感染したためだ。残された人々と出会い、ロンドンを脱出し、安全な場所を求めさすらうが、このゾンビ達、恐ろしくすばやくそして、強暴だった!一人ひとりと仲間が消えていく中ジムは軍が管轄する安全地帯に仲間と到着したが・・・


■ダニー・ボイルの復活なるか?


ダニー・ボイルといえば、『トレインスポッティング』で素晴らしい創造を生み出してくれたイギリスの映画監督だが、どうも『ビーチ』あたりからただの平凡な監督に成り下がってきたようだ。
本作においても、最近の作品の傾向であるテンションダウンしていく傾向が明確に出ている。よく昔の作品はペースが遅いという人たちがいるが、ペースが遅いからこそ後半の盛り上げも冴えてくるのであり、ペースが速いと後半は息切れしていくのである。こういった基本的な物語作りを意識的に無視して、冒頭の勢いで乗り切ろうとする最近の映画の風潮に対してあきれるばかりである。

結局何を描きたかったのか?それが問題である。冒頭の無人のロンドンのスケール感も、中盤からの一つの建物でのこじんまりとした攻防戦によって、損なわれている。本作は明確にテンションダウンの悪癖の一例となっている。この作品によってボイルは、復活したという人々もいるが、復活どころか退化しているとしか言いようがない。


■陸上選手並みに走るゾンビの一群


28日後...
人間の憤怒 (Rage)から生み出されたウイルスという発想はかなり良いのだが、ウイルスに犯された人々の描写は、ただの走るゾンビ(=感染者)なので、全くこの人間の憤怒からというポイントが活かされていない。つまり映画の空間にウイルスに侵された感染者という感覚よりも明確にゾンビの感覚が漂っているのである。

走るゾンビ=感染者を選択したならばスピーディーなゾンビからの逃走劇にすべきである。本作は後半において人間同士の内輪での殺し合いに転換するが、そういった場合は、ゾンビ=感染者の動きは遅いほうがよいはずである。
ジョージ・A・ロメロの偉大性は映像的な怖さとしてののそりと歩き襲い掛かる死人の集団なのである。全力ダッシュで襲い掛かる集団には怖さよりも、競技性が感じられるのである。それはくしくも走るゾンビを演じた人々が陸上選手だったからというだけではない。

何よりも気になるのは、なぜ冒頭ジム(キリアン・マーフィ)が全裸でベッドの上に寝かされていたのか?ある意味シュールでかなりよいオープニングである。この作品の魅力的な部分は他の生存者があっさりと現れるまでの部分といって良いだろう。ダニー・ボイルには少し、チャールトン・ヘストン版の『猿の惑星』の引っ張り方を見習ってもらいたかった。


■あっけにとられる無人のロンドン・シーン


28日後... 28日後...
この無人のロンドンのシュールさ。そして、抜群に良い音楽。(とにかくダニー・ボイルは音楽の選曲が良い)一人でビニール袋を片手にとぼとぼ歩く姿。さらには
ベンツのCクラスが道の真ん中にぽつんと止まっている微妙に貧乏臭いセンスの絶妙さに、この時点でのこの作品に対する期待感はすごかった。極めつけは教会で死体の群れに向かって「ハロー」と呼びかけると同時に起き上がるゾンビ2体。もう究極のゾンビ映画だとここまででは実感していた。

そして、登場する他の生存者・・・沸騰点まで上がっていた期待感が零下にまで下っていった。どうせならこの世界観の中でゾンビに追われながら一人で90分くらい逃げに逃げまくり、残りの10分で何か驚きもしくはメッセージを示して欲しかった。

ちなみにこの無人のロンドン・シーンの撮影のために交通が遮断された。そして、撮影にはデジタル・ビデオが使用されている。

それにしても前半はヒロインが強すぎ、後半には妙に弱くなり、バイク・メッセンジャーのジムは、後半急にランボー並みの超人的な強さを発揮するところが物語として破綻していてかなりしらける。せっかくの後半部分の生き残った軍人達による一見理不尽でありながら説得力もある生き残りのためのルールも、アクションであっさりと無秩序になってうやむやにしてしまっている。どうせなら自転車で10分くらいゾンビの中を逃げ回って欲しかったものである。

4人になってからマンチェスターに向かう前の無人のスーパーマーケットでの物資調達はもちろんジョージ・A・ロメロへのオマージュである。


■ダニー・ボイルの復活ならず。


28日後...
クリストファー・エクルストンがヘンリー少佐役で出演している。ダニー・ボイルの『シャロウ・グレイブ』の役柄とは全く違う役柄振りを堪能できはしたが、ナチスの将校のような役柄で本編に登場する正直必要性が感じられなかった。

本作品が面白くない理由は上記の通りだが、もう一つある面白くないポイントは、登場人物の魅力のなさである。『ザ・ビーチ』の時も思ったのだが、この脚本家は、魅力的な登場人物を描くセンスに著しく欠けていると思われる。

しかし、考えさせられる部分も少しはある。10人ばかりの生き残った男性の中に女性が2人という構図は、どういう現実を生み出すのだろうか?ということである。こういった部分の丹念な描写を映画的に求めるのはダニー・ボイルには酷だろう。しかも、ずっと昔に日本映画『復活の日』で描かれている命題と全く同じなので目新しさはかんじない。

この作品は『ゾンビ』に影響を受けてはいるが、『ゾンビ』の後ろを走っていこうとしている作品ではない。本作は明確に新しいゾンビ映画の形を模索した作品であったが、脚本の未熟さによりその試みが全くよい結果を生み出さなかったといっても良い。100%言い切れることは、『猿の惑星』という約40年前の映画の方がスリリングに冒険的であり、哲学的であり、黙示録的であるということである。

生存者達がHELPではなくHELLOの合図を送るエンディングと、主人公が死亡するエンディングの二つがあるが、劇場公開においても2種類のエンディングが流された。はっきりいって映画監督であるならばエンディングは一つに絞るべきである。エンディングがきめていないということはダニー・ボイルに本作に対する明確なこだわりがなかったことに他ならないだろう。映画におけるエンディングとは、監督の一つの結論の導きでもあるのである。それが二つに分散されている所が本作に対する監督の一貫性のなさを示している。


− 2007年4月1日 −


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