HOME
■サイト内検索

■洋画
 □カタカナ順
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
 □クラシック
 □ドラマ
 □コメディ
 □サスペンス
 □アクション
 □ポリス
 □スパイ
 □犯罪
 □カー
 □ミュージカル
 □史劇
 □文芸
 □戦争
 □西部劇
 □アドベンチャー
 □パニック
 □ギャング、マフィア
 □SF
 □ホラー
 □スポーツ
 □香港
 □ドキュメント
 □アニメ
 □エロス
 □B級
 □アカデミー賞
 □カンヌ映画祭
 □ヴェネチア映画祭



■邦画
 □ひらがな順
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
 □名作
 □ドラマ
 □喜劇
 □サスペンス
 □アクション
 □刑事
 □時代劇
 □戦争
 □文学
 □パニック
 □東映ヤクザ
 □ギャング、ヤクザ
 □特撮
 □怪奇
 □ドキュメント
 □アニメ
 □エロス
 □B級
 □海外映画祭受賞
暗戦 デッドエンド   暗戦 RUNNING OUT OF TIME(1999・香港)
■ジャンル: アクション
■収録時間: 90分

■スタッフ
監督・製作 : ジョニー・トー 杜h峰
共同製作 : クリスティーナ・リー
脚本 : ヤウ・ナイホイ / ロラン・クルティオ / ジュリアン・カーボン
撮影 : チェン・シウキョン
音楽 : レイモンド・ウォン

■キャスト
アンディ・ラウ 劉徳華(4週間の命を宣告された男)
ラウ・チンワン 劉青雲(ホー刑事)
レイ・チーホン 李子雄(マフィアのボス)
ヨーヨー・モン 蒙嘉慧(バスの女・リュウ)
ラム・シュー 林雪(マフィアの子分)
ルビー・ウォン 黄卓玲(インタポールの女刑事)
暗戦 デッドエンド
これほど魅力的なオトコ≠フ最後の瞬間を描いた映画はそうざらにない。バスの中でのある女とのひと時の出会いと再会。そして、レストランで血を吐き去っていくオトコ=BBMWのZ3で疾走し、オトコ≠残して去っていくもう一人の男の後姿。そして、バスの中で始めて出会うオトコ≠知る2人。全ての映像は哀愁ある伴奏と共に。映画とは一つの小さな世界観の創造なのである。

■あらすじ


4週間の命を宣告された男(アンディ・ラウ)が、完全犯罪を計画する。犯行を重ねる中で男は、交渉人としてホー刑事(ラウ・チンワン)を指名する。そして言い放つ「これはゲームだ。72時間以内に俺を逮捕しろ」と。この男の目的は何か?そして、ホー刑事とこの男の間に芽生える奇妙な友情。


■アンディ・ラウとラウ・チンワンの魅力


アンディ・ラウ(1961− )が2000年第19回香港電影金像賞最優秀主演男優賞を受賞した作品ではあるが、この賞の価値に対してははなはだ疑問な部分もあるので、そういった側面よりも素直にアンディ・ラウの男の色気を堪能すべきだろう。そして、何よりもこの男の色気を受け止めるラウ・チンワンの存在が輝いていた。この人は本当に渋くて時にコミカルで味わい深い俳優である。

ラウ・チンワン(1964− )こそが現在の
香港映画界の至宝であろう。それほどこの人はいい。男の色々な側面を演じきれる本当の意味での芝居が出来る俳優である。特にアンディ・ラウが老人に変装してラウ・チンワンの写真を撮影するシーンで、パンをぱくついているラウが一瞬アンディと目を合わせるシーンが身震いするほど格好良すぎる。この渋さは世界レベルから見ても稀有なものだろう。

さすがにストーリーもジョニー・トーだけあって同年に作られ第19回香港電影金像賞最優秀監督賞に輝いた『ザ・ミッション 非情の掟』と同じく男臭さ満点である。こういう男と男の友情ものは、通説で言われているように昔の60〜70年代の日本映画の影響を受けたと言うよりも、50〜60年代のアメリカ映画の影響と80年代の日本の漫画の影響だろう。現実は、どちらかというと日本映画は男同士の友情を描くことは下手であり、陳腐になってしまう傾向に昔からある。ただし例外的に『網走番外地』(1965)のような作品も存在するが。

何よりも4週間の命を宣告された男と言う設定が良い。人生の中にタイムリミットをすでに設定されている男。こういう役柄はかなり浮世離れしているので、独りよがりの芝居になりがちなのだが、アンディ・ラウは見事に静的魅力で演じあげている。アジア映画が追求していくポイントとして日本映画においてもそうなのだが、黙々と仕事をこなす高倉健や『レオン』のジャン・レノのような男の静的魅力をもっと掘り下げていくべきだろう。本作のアンディ・ラウのように、
アジア人男性には静的魅力がよく似合うのである。


■いい年のとり方をしている男シウホン


ジョニー・トーが前半出演している。アンディ・ラウに人質に捕られ会社の金をねこばばするするオヤジ役でだが、言われないと絶対に気付かないほどのいけてなさっぷりがかなり良い。そして、香港マフィアのボス役で『男たちの挽歌』(1986)のレイ・チーホンがスキンヘッドで出演している。

そして、本作で印象に残るラウ・チンワンのちょっと頼りない上司を演じたホイ・シウホンは『Mr.BOOギャンブル大将』(1974)を始め芸暦の長いバイブレイヤーの一人である。昔から特徴のある半泣きの表情は健在である。この男昔からカワイイおやじを演じたら絶品なのである。


■ルビー・ウォン


ルビー・ウォン 黄卓玲(年齢不詳)
ジョニー・トー監督の 『PTU』(2003)にも出ていたが今作では化粧のりの悪さがめだちまくっていてさほど印象に残る芝居は見せていなかった。最もクレジットにもゲスト出演と出ているからこんなもんだろう。

冒頭のアンディ・ラウがビルの屋上に佇む映像を始め、スタイリッシュなコマ送りを多用した映像が物語の邪魔をしない程度に散りばめられ映画を引き締める。
最近の映画は映画自体が道化師のように飛び跳ねるものが多いが、ジョニー・トーはあくまでもスタイリッシュな映像は始めの方にしか多用しない。


■香港映画界でも有数の美女


ヨーヨー・モン ヨーヨー・モン ヨーヨー・モン
ヨーヨー・モン 蒙嘉慧(1977− )
中国広東省出身の女優であり身長は170pある。1997年にアーロンクォックと携帯電話のCMで競演して人気が出た人である。香港映画の女優はこういった哀愁の漂う憂いのある表情が凄く似合う女優が多い。何気に尊敬する俳優が女優ではなくチョウ・ユンファなところが変わっている。そして、現在はイーキン・チェンとの恋愛も話題に上る女優である。

それにしても最初のバスのシーンで、検問を突破するために一人で座っているヨーヨーの隣にアンディが座り、彼女のイヤホンの片方を取って、自分の方耳に収めこむシーンがすごく静かな大人の色気をかもし出している。ジョニー・トーは同年の『ザ・ミッション 非情の掟』の冒頭のラム・シューが汗だくになって少女とダンス・レボリューションをゲームセンターでするシーンにしてもそうだが、
音楽を女と共有することのエロティシズムをよく理解している男である。

音楽を女性と共有する瞬間が生まれればそれは恋の始まりと言って良いだろう。



■哀しみに満ちた瞬間・・・


バスで偶然知り合った二人が再会する。今度はヨーヨーから誘う形でレストランでデートするのだが・・・ラブシーンどころかキスシーンすらなく別れて行くという所にジョニー・トーの見事さを感じる。去っていくアンディ・ラウの格好良さもそうしたジョニー・トーの世界観ゆえにとてつもなく格好いいのである。
男の世界に甘ったるいラブシーンは不要である。むしろ、哀愁の漂う別れこそが相応しいということをよく知る男である。

ジョニー・トーにとっては男が男であるほど、女といる瞬間は哀しみに満ちた瞬間になるのだろう。



■香港映画の美しさを日本映画も参考に


そして、最後のBMWのZ3でぶっとばすシーン。映像的に乗っている車の割りには爽快感には欠けるが・・・違う意味での爽快感が待ち構えている。しかし、このシーンでのラウ・チンワンが格好良すぎる。
正直このレベルの格好良さを現在の日本の俳優で出せる人はいないだろう。というよりもこのレベルの格好良さを演出できる監督が日本にはいないと言った方が良いだろう。

そして、エピローグ。クリスマスの夜、チキンをほうばるラウ・チンワンがバスでヨーヨー・モンと出会い静かに別れるシーンの美しさ。
ある種の香港映画は雑踏の中で美しい感情の機微を描くことに実に長けている。

それにしても音楽がすごく魅力的な作品である。音楽を担当したレイモンド・ウォンは『少林サッカー』(2001)の音楽も担当していたのだが、結構似ている曲調で『少林サッカー』の音楽も魅力的であった。本作の魅力はこの独特な音楽によるものも多いのである。『ザ・ミッション 非情の掟』でもそうだが、ジョニー・トーは音楽のセンスがすごく良い人である。

本作品は1年ちょっとかけてとびとびに撮影されたというが、そういう形跡は映画を見ている限り感じられない。しかし、アンディ・ラウの女装姿はもう少しどうにかならなかったものか?あれだとどう考えても逆に人目についてしょうがないだろう。アンディ自身も自分の女装姿の醜さには驚いたと語っていたように。

しかし、それはともかくとして本作でのアンディ・ラウの役作りは素晴らしかった。本当に癌の末期患者とも思えるその程よく痩せこけた風貌は、多くを語らずとも死がつきまとう男という役柄に説得力を持たせた。そして、そんな素晴らしい芝居を見せているアンディ・ラウをくわんとするばかりの魅力的な芝居を見せたラウ・チンワンもまた素晴らしい。本当に魅力的な作品とは、やはりこのレベルの芝居のぶつかり合いなのである。


− 2007年4月9日 −


当サイト内で使用している画像・映像キャプチャー等は、あくまで映画文化の熟成及び芸術復興を標榜する当サイトの意図により、
「映画を文章だけで云々することの不誠実さ」と「目で感じる芸術及び娯楽」である映画に対する敬意の姿勢で使用しております。よって著作権等は、全て各製作者・会社に帰属します。
画像・映像キャプチャー等の使用に関して表記の問題がある場合、又は削除依頼がある場合は迅速に応対させていただきますのでご連絡ください。
このサイトは、100%非営利に、純粋に「映画解釈の究極」を求めて運営されています。取り上げるべき作品・感想等ございましたらどんどんメールください。
当サイトはリンク・フリーです。
Copyright (C) 2007 Geijyutsu Taizen. All Rights Reserved.
Mail:webmaster@summaars.net