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アサルト13 要塞警察   ASSAULT ON PRECINCT 13(2005・アメリカ/フランス)
■ジャンル: アクション
■収録時間: 110分

■スタッフ
監督 : ジャン=フランソワ・リシェ
製作 : パスカル・コーシュトゥー / ジェフリー・シルヴァー / ステファーヌ・スペリ
脚本 : ジェームズ・デモナコ
オリジナル脚本 : ジョン・カーペンター
撮影 : ロバート・ギャンツ
音楽 : グレーム・レヴェル

■キャスト
イーサン・ホーク(ジェイク・ローニック)
ローレンス・フィッシュバーン(マリオン・ビショップ)
ジョン・レグイザモ(ベック)
マリア・ベロ(アレックス・サビアン)
ガブリエル・バーン(マーカス・デュバル)
アサルト13 要塞警察
イーサン・ホークにアクションは似合わない。リメイクと続編ラッシュのハリウッドに渦巻く商業主義と安全保障主義からはもはや得るものは何もない。ただ時間と金を浪費し、ひたすら上っ面だけの名声を求めているに過ぎない社会なのである今のハリウッドは。

■あらすじ


大雪の大晦日のデトロイトの13分署で、すっかり年越し気分のジェイク・ローニック(イーサン・ホーク)ら警官たち。そんな13分署に、刑務所に護送途中の囚人を乗せた護送車が吹雪のため立ち寄ることになる。囚人の中には凶悪犯マリオン・ビショップ(ローレンス・フィッシュバーン)もいた。吹雪の中孤立無援の13分署に突如武装した男たちが襲い掛かる。


■それなりに豪華なキャストを揃えはしたものの


アサルト13 要塞警察
ジョン・カーペンター監督の『要塞警察』(1976)のリメイクであり、結構豪華キャストである。主役はイーサン・ホークである。『トレーニング・ディ』『ビフォア・サンセット』『生きてこそ』『恋人までの距離』『いまを生きる』など、出演作品には失敗作が滅多にないいい役者である。ドイツ語、フランス語を話し、ヴァイオリン、トランペットを演奏し、小説も書くほどに多彩でひと癖もふた癖もある性格俳優イーサン・ホークが始めて主演するアクション映画である。イーサン・ホーク主演のアクション映画というだけでも単純に興味惹かれる。

そして、ローレンス・フィッシュバーン。『マトリックス』シリーズ『ボビー・フィッシャーを探して』『ティナ』『理由』『ミスティック・リバー』で、乗りに乗っている黒人俳優である。新作映画を見るときの目安として、基本的に売れっ子の性格派俳優が出演している作品は、俳優自身が多くの脚本の依頼から厳選して出演を決めている可能性が高いので、良作である場合が多い。本作もこの2人が共演する時点で良作である可能性が高いと思われた。→実際は良くも悪くも普通に楽しめるアクション映画であった。

この2人にまぎれて懐かしい役者が出演する。ブライアン・デネヒーである。『ランボー』『F/X 引き裂かれたトリック』で印象的な巨漢の役者である。そして、ジョン・レグイザモ(『カリートの道』『サマー・オブ・サム』)ガブリエル・バーン(『ミラーズ・クロッシング』『アサシン』『ユージョアル・サスペクツ』『仮面の男』)マリア・ベロ(『ペイ・バック』『コヨーテ・アグリー』『ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス』)、ヒップ・ホップ界のスーパースター、ジャ・ルール。『ソプラノズ』でブレイクしたドレア・ド・マッテオが共演している。本作品はつまり8大スターの共演作品である。


■監督・脚本の力量ともにおそまつ


これ程の大スターをそろえた作品ではあるが、正直脚本の魅力のなさと監督の演出不足が目立った映画であった。悪い意味でこの監督のバックグラウンドが、MTVであるということがよく理解できた。つまり最初の5分は魅力的だが、それ以降はぼろが出たという感じである。最近の映画はこういう傾向が顕著である。
つまるところ音楽一曲分の集中力で映画を撮っている監督が増えてきているのである。

最初の5分は、『トレインスポッティング』のユアン・マクレガーとユエン・ブレムナーを足して2で割ったような魅力的なキャラをイーサン・ホークが唐突に演じる。その唐突な始まりに映画を途中で再生してしまったのでは・・・と思うぐらいである。とにかくかなり笑えるコントばりの麻薬潜入捜査官を魅力的に、新境地開拓で演じるイーサン・ホークであったが、この5分で物語は8ヵ月後に飛んでいくのである。そして、そこには、いつもの悩みっつらのイーサン・ホークがいるのである。いつ再び髪をそりあげて弾けてくれるのかと期待していたが、そういう展開もなく淡々と物語は終焉に向かうのである。「この監督はアクションを撮るに当たって、全く持って重要な
観客のカタルシスを満たすということを意識していない」作品なのである。

この作品は間違いなく最初の5分の映画文法で作るべきであった。
「お前はマゼランだ。麻薬という荒波を航海する開拓使だ」「オッケー。ナポレオン。ぶつを見せてくれ」こんな5分ののりで映画を進めてくれるべきだった。この5分のイーサン・ホークはやばいくらい輝いているのだ。

しかし、最近の一部の映画監督はアクション映画に関しての理解が間違っている。手持ちカメラ&ワープ映像を連発して、カット数を膨大にしているが、ことアクションにこういうMTV的手法を用いるとアクションが極端に非現実的に感じられ、逆にゲーム感覚になって迫力がなくなるのである。そして、この作品においてもアクションシーンの軽さがかなり目立った。

ストーリーは、大晦日のデトロイト、年越しの夜に大吹雪の中、犯罪組織のボス・ビショップ(ローレンス・フィッシュバーン)達が、閉鎖予定の13分署に交通網が使えなくなったために護送されてくる。13分署にいる警官は署長ジェイク・ローニック(イーサン・ホーク)含め3人のみ。そんな中ビショップが捕まると立場がまずくなる汚職警官達が、13分署を包囲し事情を知るもの全員を抹殺しようと特殊部隊を動員し、容赦なく襲い掛かるというストーリーである。


■女性を魅力的に演出する才能のない監督に使われる悲劇


ドレア・ド・マッテオ ドレア・ド・マッテオ ドレア・ド・マッテオ
監督はドレア・ド・マッテオ(1972〜 )とマリア・ベロというセクシーな素材を生かし切っていない。とくにドレアのスタイルのよさとマリアのセクシーさが見事に半減させられている。ドレアに関して言うと、『ソプラノズ』の若々しいイメージは消えうせ、彼女を知らない人が見たら40代の女性かと思わせるほどの老けっぷりなのである。問題はヘアスタイルにある。せっかく魅力的な女優を使うのであれば、魅力的に撮ってあげるべきである。

マリア・ベロ マリア・ベロ
一方マリア・ベロは、すごく大人の色気が画面から出ているのだが、それが待ったく彼女のキャラ付けに関連していないのが痛いところである。しかも、彼女はほとんど無意味な殺され方をしてフェイドアウトしていくのである。

この作品において心理カウンセラー・アレックス(マリア・ベロ)は、ジェイク・ローニック(イーサン・ホーク)のヒロイン的役割な訳だが、お互いの関係が進展することもなく、ただ単にぼろ雑巾のように殺されて終わるのである。この意外性に喜ぶ観客もいるだろうが、
基本的に映画の中での無意味な悲劇は物語の娯楽的な質を下げてしまう。どうせアレックスを殺すのであれば、ジェイクにとっての彼女の存在をもっと高めてから殺してほしかった。そうすれば、彼女の死そのものも物語の終焉に向けての盛り上がりとなるのだから。

この監督ジャン=フランソワ・リシェは、映画における人物の掘り下げ方と表現力が恐るべき程陳腐である。つまり全ての登場人物のキャラづけが物語の中で実に中途半端に淡々と描かれすぎなのである。この作品はすべてがどうも嘘くさい感覚に満ち満ちているのである。その根本は、ビショップ(ローレンス・フィッシュバーン)とデュバル(ガブリエル・バーン)の関係にあるのだろうが、その上に大事な部分を展開をはしょりすぎているので観客は映画に乗り切れないのである。


■ジョン・レグイザモでさえ活きていない


「マイク・タイソン並みにバカずらしてるよ」と言われる小悪党ベックを演じるジョン・レグイザモは、こざかしい悪党役をかなり見事に演じきった。ゲーリー・オールドマンとスティーブ・ブーシェミを足して2で割ったばりの風貌でかなりはまっていたと思うが、そんないい素材も相変わらず監督は調理し切れていないので、完全に作品から浮いた存在になっていた。


■一回きりの映画。対象年齢は13歳以下


しかし、敵がじわじわと攻め寄せてくる恐怖感はそれなりにうまく演出できていた。特に停電状態になってから赤外線スコープが13分署の中をびゅんびゅんうなるシーンはなかなかの緊張感である。銃撃戦の方も、ゲーム感覚な演出ではあるが、それなりに楽しめる作りにはなっている。

セックスと死には密接な関係が ギリシャ人はエロス≠ニタナトス≠ニ呼んだ セックスは死を忘れさせる」まさに黒いラスプーチンと呼ばれる犯罪組織のボスを演じたローレンス・フィッシュバーンには恐るべき程の風格とオーラがそなわっている。

そして、最後の最後に生き残った5人の中から、裏切り者が出るのである。ジャスパー(ブライアン・デネヒー)である。この裏切り者発覚の演出はなかなかのものだが、布石はいまいちである。それにしても、ラストの演出は非常に盛り上がりに欠ける。そして、ほぼあっさりとデュバルは死ぬのである。しかも、ジェイクがビショップを見逃す演出も全然粋じゃなくてただ追いかけられなくて逃げていくのを見送っただけなのである。

この作品全体的に役者陣が頑張っていただけに、脚本と演出のゆるさがもったいない作品である。気になる部分としては、特殊部隊の弱さと、AV5という究極の特殊部隊を呼んだにしては、ヘリで到着するだけという設定であったりと他にもジェイクの過去のトラウマ設定を生かしきれなかった部分などがあるが、しかし、単純にアクションを楽しむというレベルにおいては、この豪華キャストの共演という点に対して過敏な期待さえしなければ十分に楽しめる作品である。

ただし、一回見れば十分であり、一回も見なくても十分な作品である。

− 2007年3月10日 −


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