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無頼の群   THE BRAVADOS(1958・アメリカ)
■ジャンル: 西部劇
■収録時間: 98分

■スタッフ
監督 : ヘンリー・キング
製作 : ハーバート・B・スウォープ
原作 : フランク・オローク
脚本 : フィリップ・ヨーダン
撮影 : レオン・シャムロイ
音楽 : ライオネル・ニューマン

■キャスト
グレゴリー・ペック(ジム・ダグラス)
ジョーン・コリンズ(ジョセファ)
スティーヴン・ボイド(ビル・ザッカリー)
ヘンリー・シルヴァ(ルーファン)
リー・ヴァン・クリーフ(パラル)
無頼の群
グレゴリー・ペックが復讐に燃える西部の男を演じる。実に寡黙で内に秘めた復讐心を静かに演じてはいるが、脚本、カメラ、演出がそれを生かしきれなかった。テーマは良かったが、深すぎるテーマに全てが追いついていかなかった。悪くはないが良くはないといった程度の凡作である。

■あらすじ


4人組が銀行強盗で捕まり死刑執行を待つ村に現れるジム・ダグラス(グレゴリー・ペック)。彼は半年前留守中に妻子を殺害された。そして、その4人組が殺害犯だと目星をつけていた。だからこそ処刑を見守りにやってきたのだった。しかし、死刑執行寸前に4人組は脱獄に成功した。復讐に燃えるジムは、4人組を追跡し一人またひとりと敵討ちを果たしていく。しかし、追いつめた最後の一人から思いもよらぬ妻子殺害の真相を聞かされ驚愕するジムだった。


■グレゴリー・ペックというミスキャスト


無頼の群
全体的に暗い雰囲気の西部劇である。最もストーリー自体が留守の間に妻を強姦され殺害された男が、その犯人と目される4人の男に復讐するために追うといったものなのだからしょうがない。実のところグレゴリー・ペックのようなタイプの役者には暗い過去を秘めた役柄は適していない。演技力云々ではなく、彼の芝居は苦悩するといった微妙なニュアンスを表現することには適していないからである。彼がすべてにおいて演じてきた苦悩する役柄はことごとく深みに欠ける役柄になってしまっているが、
それは彼が苦悩する人を演じるのではなく、苦悩するであろう立場に置かれた人を演じることで真価を発揮する役者だからある。

これすなわち俳優の苦悩の表現の両極の存在価値と呼べる。苦悩する人を演じる芝居と、苦悩するであろう立場に置かれた人を演じる芝居は明確に違うのである。
モンゴメリー・クリフトやジェームス・ディーンやポール・ニューマンは前者であり、グレゴリー・ペックは後者である。


■抜群に噛みあってないカメラワーク


アカデミー撮影賞を4度受賞しているレオン・シャムロイが撮影をしているのだが、カメラワークが全く苦悩する男の心理状態を反映していない。心理劇ともいえる本作においてカメラの役割は段違いに重要なのだが、『王様と私』(1956)と同じようなカメラワークなので、この作品は普通の娯楽作品を見せたいのかな?と勘ぐってしまうのである。

心理劇を映像上で展開するにあたって間違いなく重要なことは、本作は心理劇なんですよと観客に確信させてあげるカメラワークなのである。その点を最も心得ているのはアルフレッド・ヒッチコックだった。


■ジョーン・コリンズ(1933− )


ジョーン・コリンズ ジョーン・コリンズ
イギリス出身の女優だが、何と言っても代表作は1980年代にアメリカでセレブ・ブームを巻き起こしたTVドラマ『ダイナスティ』(1981−1989)だろう。元々、英国王立劇芸術院出身で、マイケル・ケインやロジャー・ムーアと同期だった。やがて美人コンテストで注目されるようになり、1954年にエリザベス・テイラーの再来として20世紀FOXと契約し、ハリウッドに拠点を移す。

1963年には、『クレオパトラ』の主役の話まで持ち上がるが、エリザベス・テイラーに持っていかれてしまう。結局は『ダイナスティ』までは、華麗なる男性遍歴で有名だっただけの女優である。特にウォーレン・ベーティ、デニス・ホッパー、ライアン・オニール、テレンス・スタンプとのロマンスが有名である。

「この目と目の空間が歳を重ねるごとに魔性の輝きを増した」女優である。雰囲気は黒木瞳と研ナオコを足して2で割ったいい意味で化け物である。1980年代にこの目で見つめられたらどんな男性でも私財をなげうって骨抜きにされてもいいと考えただろう。(写真右上、1983)

ちなみに本作での彼女の芝居は全く駄目だと言って差し支えないだろう。これほど全く深みのない芝居をする女優も珍しいと思えるほどのお粗末さである。しかし、見た目はマイ・タイプである。最も、1950年代後半のジョーン・コリンズと1980年代前半のジョーン・コリンズ、どっちがタイプかた尋ねられれば躊躇もなく1980年代前半のジョーン・コリンズと答えるのだが・・・。


■4人組のお尋ね者たち


無頼の群
ジムに追われる4人のお尋ね者達が、実にくせのある役者達で固められている。そのボス格であるスティーヴン・ボイド(1931−1977)は、まだデビューしたてでステレオタイプな憎々しい芝居をしている。この翌年にボイドは『ベン・ハー』でベン・ハーの敵役を演じることになるのである。

しかし、ボイドよりも魅力的なのがヘンリー・シルヴァ(1928− )とリー・ヴァン・クリーフ(1925−1989)である。クリーフは、セルジオ・レオーネ演出による不敵なガンマン役とは180度違うびくびくしている弱々しい悪党を見事に演じあげている。
特にジムに撃たれ死ぬ間際に「本当にやっていない」と言って十字を切りながら死ぬ姿が一瞬見逃すほどに渋い。

そして、もう1人ヘンリー・シルヴァがこれほど魅力的に見えた作品も珍しかった。80年代以降はワンパターンな悪役ばかりを演じるのだが、この作品では意外に深みのある役柄を演じていた。ジムが監獄の4人を訪れたときに4人のうち彼だけが、ジムの直視に目を逸らさなかった事が、象徴的である。

「安心しろ。銃声で人は殺せない」

ちなみにもう1人のお尋ね者を演じたアルバート・サルミ(1928−1990)は、1990年に自分の妻を殺害した後、拳銃自殺をしている。


■折角の題材ではあるが、映像化するには地味すぎる題材でもあった


この作品は、意識して地味な描写が積み重ねられていくのだが、地味な描写の積み重ねにより心理的な深みを与えるにはいたっていない。ジムは疑わしき人間を片っ端から殺し、最後に自分が殺した人間達が妻を殺した犯人ではなかったことを知り苦悩するのだが、結果的に街に帰ると英雄と歓迎され、美しい女性との再婚も勝ち取るのである。この結末を前にすると、ジムの最後の苦悩はいったいなんだったんだと感じるのである。愛娘と昔愛した女性を前にして消し飛ぶ苦悩ごときは本物の苦悩ではないのではないか?

この苦悩の処理の仕方が本作の最高にまずいポイントであった。本作はどんでん返しというサスペンス的要素も秘めていたが、ヘンリー・キングの演出にはサスペンス性の意図は全くないように感じられる。それ故に本作は4悪党の魅力とグレゴリー・ペックの存在感でもった作品であることだけは確かであろう。

ちなみに原作者のフランク・オロークは1966年に映画化された『プロフェッショナル』の原作者でもある。


− 2007年5月6日 −


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