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バルジ大作戦   BATTLE OF THE BULGE(1965・アメリカ)
■ジャンル: 戦争
■収録時間: 175分

■スタッフ
監督 : ケン・アナキン
製作 : ミルトン・スパーリング / フィリップ・ヨーダン
脚本 : フィリップ・ヨーダン / ミルトン・スパーリング / ジョン・メルソン
撮影 : ジャック・ヒルデヤード
音楽 : ベンジャミン・フランケル

■キャスト
ロバート・ショウ(ヘスラー大佐)
ヘンリー・フォンダ(カイリー中佐)
ロバート・ライアン(グレー将軍)
チャールズ・ブロンソン(ウォレンスキー)
テリー・サヴァラス(ガフィー軍曹)
ダナ・アンドリュース(プリチャード大佐)
バルジ大作戦
ロバート・ショウのナチス軍服を中心に物語りは回る。シェイクスピア俳優はコスチュームの魔力に取り付かれているとよく言うが、この映画のロバート・ショウは、心の底からナチス軍服の数々を着る喜びを画面上に漂わせているのである。そんな彼がもし、当時の東部戦線に放り込まれたなら虐殺の指揮を悠々と執っていただろうと想像させる狂気の狭間で芝居をしている姿が見れるからこそ、観客は禁断の恍惚感を感じるのである。本作は禁断のコスプレ・ショーなのである。

■あらすじ


1944年12月16日、ナチス・ドイツの敗北が濃厚な中、早くも戦勝ムードが立ち込める連合軍を尻目にドイツ軍は、1940年のフランス電撃侵攻作戦をもう一度と、アルデンヌの森を抜ける一大反攻作戦を開始した。25万のドイツ軍が7万5千のアメリカ軍に奇襲をかけたのである。


■格調高い版画調のタイトルロール


バルジ大作戦
ピューリッツァー賞受賞作家ジョン・トーランド原作によるオールスターキャスト戦争大作。主演キャストは、ヘンリー・フォンダ、ロバート・ショウ、ロバート・ライアン、チャールズ・ブロンソン、テリー・サヴァラス、ダナ・アンドリュースとなかなかの豪華キャストである。

とにかくオープニングのオーケストラによるマーチ、そして、見事な版画調のタイトルロールからして戦争映画の風格を醸し出している。



■実質上の主役はヘスラー大佐


ロバート・ショウ
ドイツ軍のヘスラー大佐を演じるロバート・ショウ(1927−1978)がとてつもなく格好いい。本当はイギリス人の俳優だが、この頃のロバート・ショウは2年前の『007/ロシアより愛をこめて』の殺し屋役から乗りに乗っている時期なので、今回のクールなドイツ将校もばっちりはまっている。何よりも、金髪にロングコートに、ブーツに革の手袋と言ったナチス・ドイツ将校姿がここまで似合う役者はそうざらにいないだろう。


ヨアヒム・パイパー


ヨアヒム・パイパー
ヘスラー大佐のモデルとなった人物は、
ヨアヒム・パイパー(1915−1976)SS中佐である。バルジの戦い時のパイパーの年齢はなんと29歳である。その甘いルックスからは想像もできないほどの勇敢さと、優れた指揮能力を持った軍人として知られる。ポーランドでの第二次世界大戦開戦からバルカン、ソ連と転戦し、1944年1月親衛隊(SS)中佐に昇進。6月の連合軍のノルマンディー上陸作戦に対して、イギリス軍に対し局地戦で80両もの戦車を撃破し勝利する。同年12月のバルジの戦いにて先鋒部隊・パイパー戦車団(約5000名と約100台以上の戦車)を率いアントワープ攻略を目指す。この時にマルメディ虐殺事件が起こる。パイパー戦車団の一部隊が、86名のアメリカ兵捕虜を銃殺した。

結局孤立無援状態になったパイパー戦車団は敗走する。1945年アメリカ軍に降伏する。大戦後パイパーはマルメディ虐殺事件関与の疑いで軍事裁判にかけられ絞首刑を宣告される。(パイパーは銃殺刑を望んだという)のち減刑され、1956年12月31日仮釈放される。釈放後偽名にて家族とフランスで翻訳家として生計を立てるも、1976年7月13日夜自宅に火炎瓶が投げ込まれ銃撃戦の末、反ファシスト左翼集団に殺害される。


■カール=オットー・アルバーディ(1933− )


カール=オットー・アルバーディ
カール=オットーが出るナチスものにははずれがないという神話がある。そして、やっぱりこの作品にも出てきてくれた。この男が出てこないことにはナチス・ドイツものは始まらないのである。『大脱走』(1963)でビッグXを捕えるSS将校から始まり、『パリは燃えているか』(1966)『空軍大戦略』(1969)『地獄に堕ちた勇者ども』(1969)『戦略大作戦』(1970)などなど、ほとんどの出演作品で演じた役柄はどれもこれもSS将校ばかりの『ウルトラマン』時代のハヤト隊員(黒部進)似のこの男。役者をする前はアマチュア・ボクサーだったらしい。この男の顔を見ると小学生時代に下級生でいた憎たらしい少年を思い出すのである。スネオ並みの狡猾さでこの風貌なのだから憎々しさは相当なものであった。最近実家の近くで成長したこの少年に再会したが、カール=オットー並みの日本人離れした見事な風貌に育っていた姿を見て妙に安堵感を感じた俺であった。


ヨーロッパで最も危険なナチ


オットー・スコルツェニー
カール=オットーが演じた役柄のモデルは、通称
「ヨーロッパで最も危険な男」オットー・スコルツェニー(1908−1975)である。1920年代フェンシングの選手として有名だった彼は、血の気が荒く、194cmの巨漢の彼の頬の傷もフェンシングによる私闘によってつけられたものである。1931年オーストリア・ナチ党に加わり、1941年から42年にかけて東部戦線で実戦経験を積む。

1943年9月12日、権力を奪われ幽閉されていた同盟国の独裁者ムッソリーニをグライダー降下作戦により、幽閉されていたアベニン山脈の山頂にあるグラン・サッソホテルから救出した。この勲により、SS少佐に昇進し、騎士十字章を受賞した。

1944年10月21日よりヒトラーの勅命により、アメリカ軍に偽装した戦車部隊の編制・指揮を命じられた=
グライフ作戦。20名以上の英語を流暢に話すドイツ兵がアメリカ軍の軍服を着て、後方かく乱をした。この作戦はかなりの功を奏した。1945年5月に連合軍に降伏し、2年間捕虜として収容されるが。1948年7月27日脱走に成功する。後ファシスト政権のスペインの独裁者フランコの元に亡命する。さらにエジプトのナセル、アルゼンチンのファン・ペロンの諜報部のコンサルタントとなり巨万の富を得る。1975年マドリッドでがんにより死亡した。


■パンツァー・リート


さて、ヘスラー大佐が、タイガー戦車部隊の指揮官に任命され戦車隊長達と初対面するシーンが実に魅力的である。ヘスラー大佐は上官に言う「子供ばかりです」と。すると上官は言った。「実戦で大人になる」それに対してヘスラーは「昔は部下と半年は暮らした。この連中は他人です。子供ばかりだ。戦ったこともない」と冷たく言い放つ。すっかりがっかりしているヘスラー大佐に対して、1人の青年兵がドイツ軍歌「パンツァー・リート」を歌い始める。やがて皆それに合わせて歌い始め、ヘスラー大佐も歌い始める。実にあざとくない見事なシーンである。これぞ戦争映画に必要なシーンである。最近見た『男たちの大和』でも軍歌を歌うシーンがあったが、、あれは実に白々しいのである。
戦場に向けて男達が軍歌を歌うシーンもろくに演出できない監督は戦争映画を撮るべきではないのである。



■史上最強の大戦車群


バルジ大作戦
一方この作品では貴重なる2つの個性の衝突が繰り広げられるのである。ヘンリー・フォンダとチャールズ・ブロンソンの絡みである。ハリウッドにおいても全くの接点のない2人がこんなに密接に共演を果たしているとはすごく新鮮である。さらに、この2人の部隊がヘスラー大佐率いる戦車部隊に急襲されるシーンは今見てもなかなか迫力あるシーンである。雪解けの森林を走る戦車という構図がなかなか映画的によろしい。

この作品の武器は、当時のスペイン陸軍の装備を借りてスペインで撮影したので、登場する戦車等は実際のドイツ軍のものとは違うのであるが、軍事マニア以外は全く気にならないだろう。この作品が再現した迫り来る戦車群の迫力や、戦車戦の迫力は十分伝えきれているのである。

マルメディ虐殺事件もこの作品の中で再現されている。淡々と虐殺を行うドイツ兵の姿が実に不気味に描かれている。


■ピア・アンジェリ(1932−1971)


ピア・アンジェリ ピア・アンジェリ ピア・アンジェリ ピア・アンジェリ
イタリアのサルディーナ島生まれ。ジェームス・ディーンの最も愛した女性。『エデンの東』の撮影中にポール・ニューマンの紹介により出会う。しかし、母の意向によりヴィック・ダモン(1928− )と結婚することになる。(1954−1959)ダモンは『ゴッドファーザー』でフランク・シナトラをモデルにしたとされる歌手ジョニー・フォンテーン役を降板したこともあるイタリア系の歌手である。ジミーの次回作であった『傷だらけの栄光』で夫婦として共演予定だったが、ジミーの交通事故により、ポール・ニューマンが代役となった。1963年に二度目の結婚を世界的な作曲家アルマンド・トロヴァヨーリ(1917− 代表作『黄金の七人』)するが1965年に離婚した。1971年9月10日にビバリーヒルズで薬物自殺した。最後に友人に言った。「私が生涯で愛した男性は、ジェームス・ディーンだけでした」と。

この作品の中での彼女は、昔の清純そのもののイメージは残しつつも、見るからに精神が不安定そうなムードが漂っていた。ピア・アンジェリは、すごく繊細な精神の持ち主の女性だったのだろう。この作品の6年後に自ら命を絶ったのだから。テリー・サヴァラスとピア・アンジェリの美女と野獣のようなカップルのつかの間の恋愛模様がすごく心地よい。
自分に全く手も触れようとしないから・・・だから私のことを愛してくれているのよね?私も昔年下の女の子にそう言われた経験があるので、この男の気持ちもすごくよくわかり、感情移入しやすいのである。

当初この役柄はジャンヌ・モローにオファーされていたが、3ページにも満たない役柄なので引き受けなかったというが、昔の戦争映画はこういったつかの間の、気の利いた挿話を見事に挟みこんでくれるのである。


■ナチ将校のロングコートの格好良さ!


バルジ大作戦
ヘスラー大佐が、連合軍支配下のアンブレブを占領したときに、少年兵に狙撃されるシーンがある。狙撃は的を外れるが、「たった一人の息子なんです」と命乞いする父親に対して、「解放してやれ」と命令する。父と息子は抱き合って喜ぶもその後にヘスラーは一言「父親を銃殺しろ」と部下に命じて去っていく。
戦争の本質を描いたかなり象徴的なシーンである。「子供の不始末は、親の命で償わなければいけない」というシビアな時代なのだ。

それにしても、ドイツ軍が連合軍を包囲したときに、降伏勧告を出した連合軍の返答が、「nuts」というシーンがあるが、これは史実である。


■う〜ん、マンダム


チャールズ・ブロンソン チャールズ・ブロンソン
この作品のブロンソンはウォレンスキー少佐を演じるのだが、珍しく多弁に自己主張する役柄なので新鮮なブロンソンを見れるのである。ブロンソンとヘンリー・フォンダ、ブロンソンとロバート・ライアン、ブロンソンとロバート・ショウと言った奇跡的な絡みが見れるのである。しかし、ブロンソンは何をやってもブロンソンであるところは、永遠に変わらないところが『男のカリスマ』なのだろう。


■ハンス・クリスチャン・ブレヒ(1915〜1993)


ハンス・クリスチャン・ブレヒ
ドイツ出身。この人は実際に第二次世界大戦をドイツ軍の兵士として地獄の東部戦線に従軍。『史上最大の作戦』(1962)『レマゲン鉄橋』(1969)やヴィム・ヴェンダースの作品に出演する。実に味わい深いムードを漂わせたおやじだ。ヘスラー大佐の世話係兼運転手コンラート伍長を演じるのだが、物語の最後の方で、ヘスラー大佐に対し、
「あなたには戦争、私には息子が大切なんです。あなたの愛する戦争が続くことによって、私の愛するものが奪われていく」と言って、一補給係に転属するシーンが印象深い。そして、最後ヘスラー大佐が連合軍によって戦死した後、ガス欠の戦車をほっぽらかして、徒歩でドイツへと向かう敗残兵の最後尾を歩きながら、銃をぽいっと捨て晴れ晴れとした表情で引き上げていく彼の姿でこの作品は幕を閉じるのである。見事な反戦メッセージである。本当に第二次世界大戦で敗北を経験した兵士だからこそこのラストシーンは心を打つのである。

この作品の主役は、間違いなくロバート・ショウ扮するヘスラー大佐だろう。彼のりりしい軍服姿が大概の魅力をかもし出していることを否定することはできないだろう。そして、準主役は、ヘンリー・フォンダとテリー・サバラスだろう。ヘスラー大佐に関してロバート・ショウは「彼にはいろいろ感心するところがある。僕はヒーローだと思うけど・・・」というコメントを残している。

常に思うことだが、連合軍の軍服に対して、ナチス・ドイツの軍服はどうしてあんなに格好いいのだろう?ナチス・ドイツの軍服のデザインが後世のあらゆるファッションに影響を与えた事実を考えると、この映画の主役のひとつはロバート・ショウの軍服ファッションなのである。特にロングコートが格好良すぎる。

本作は純粋に戦争活劇としてのレベルも極めて高く現代においても十分に鑑賞に値する名作である。人間ドラマも戦闘シーンも見事に描きこまれているこの脚本は。あまり面白い戦争映画を製作したことがない日本の映画界は見習うべきだろう。

− 2007年4月25日 −


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