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ブリット   BULLITT(1968・アメリカ)
■ジャンル: 刑事アクション
■収録時間: 114分

■スタッフ
監督 : ピーター・イエーツ
製作 : フィリップ・ダントニ
原作 : ロバート・L・パイク
脚本 : アラン・R・トラストマン / ハリー・クライナー
撮影 : ウィリアム・A・フレイカー
音楽 : ラロ・シフリン

■キャスト
スティーヴ・マックィーン(フランク・ブリット)
ジャクリーン・ビセット(キャシー)
ロバート・ヴォーン(ウォルター・チャーマース上院議員)
サイモン・オークランド(サム・ベネット警部)
ロバート・デュヴァル(ウェイズバーグ)
ブリットブリット
男が惚れる男スティーブ・マックィーンの魅力がぎっしり詰まっている刑事ドラマ。この青い澄んだ瞳が、時には決意に輝き、時には孤独を宿す、そして、時には優しさに満ちる瞬間もある。男とは我侭な生き物だが、生き方にこだわりがないといけないことを思い出させてくれる。スピードを求めヒーローを演じることにのみこだわり続けたこんな格好いい男はめったに現れないだろう。

■あらすじ


マフィアの組織壊滅のための証人保護の任務を任されたブリット刑事(スティーヴ・マックィーン)。しかし、証人を殺され、相棒も重傷を負ってしまう。ブリットは証人は生きていると偽の情報を流し、殺し屋をおびき寄せて真の黒幕を見つけ出そうとするのだが・・・


■マックィーンの考えるヒーロー像


スティーブ・マックィーン ブリット
現代のアメリカ映画界においてブラッド・ピットを筆頭とする映画スターに絶大なる影響を与えている名優の域を超えて今やカリスマ的ヒーロー・スティーブ・マックィーンの刑事アクション。本作こそ、マックィーンのプロダクション・ソーラー・プロの第一作目だけあって、彼のしたいことの全てが詰め込まれている作品だといってよい。

この作品にマックィーンが考えるヒーロー像の答えは示されている。
ヒーローとは寡黙に自分の信ずる道をひたすら進む男。そして、そんじょそこらの女には決して理解しがたい領域に存在する孤高の存在こそ真のヒーローなのである。


■ダサい男の格好良さ


スティーブ・マックィーン スティーブ・マックィーン
オープニングのタイトル・デザインがスタイリッシュでとても斬新である。そして、『シンシナティ・キッド』(1965)『スパイ大作戦』(1966〜1973)『ダーティハリー』(1971)『燃えよドラゴン』(1973)のラロ・シフリンのテーマ曲もクールで60年代チックで格好良い。

冒頭のブリット(スティーブ・マックィーン)登場のシーンなんかを見ていると、いかにブラッド・ピットなどの映画スターに影響を与えているかが分かる。ださださの寝起きシーンから登場する観客にいい意味で肩透かしするところがまた憎らしいところである。ちなみに本作は始めて、ハリウッド映画で"Bullshit!(クソッ!)"が使われた作品でもある。


■ロバート・ヴォーン


ブリット ブリット
チャーマース上院議員役で『荒野の七人』(1960)以来の競演となるロバート・ヴォーン(1932− )が競演している。彼は政治家やら官僚機構の上層部といった役をやらせたらぴたりとはまる。ヴォーンは脚本を渡され、脚本も気に入らず当初この役柄に乗り気ではなかった。しかし、マックィーンが説得したという。そして、ブリットの相棒の刑事デルゲッティを演じたドン・ゴードン(1926− )もなかなかいい味を出していた。ちなみにこの作品以降彼は『パピヨン』(1973)と『タワーリング・インフェルノ』(1974)でもマックィーンと競演する事になる。

ブリットの上司サムを演じるサイモン・オークランド(1915-1983)がブリットをかばう情深い上司を演じている。彼の今にも泣き出しそうなこわばった表情は、この作品に優しさを与えていた。


■ジャクリーン・ザ・ビューティー


ジャクリーン・ビセット ジャクリーン・ビセット ジャクリーン・ビセット
ブリットの恋人キャシー役で登場するジャクリーン・ビセット(1944− )が美しいことは、地球が自転していること並に明白なので言及する必要もないが、後半でポルシェを運転するジャクリーンの格好良さとかわいさ、そして、彼女のファッションのクールさにはやられた。
願わくば黄色のミニのワンピースにブーツ姿のジャクリーンの全身ショットを拝みたかった。

ベッドの上で「何かあったの?」と事件のことを尋ねても「君に関することじゃない」とそっけなく言うブリット。その一言に対してキャシーは言う「あなたの問題は私の問題じゃないの?」。この二人の会話がなかなか現実的でよい。

ジャクリーン・ビセット ジャクリーン・ビセット
他にも終盤でブリットの仕事現場の死体を偶然見てしまい彼の仕事がいかに暴力と醜さに満ちたものかを知ってしまったキャシーが言い放つ。「あなたって人がわからなくなったわ。何か本当に心を動かすことがあるの?もうすべてに麻痺したの?こんなひどい生活が毎日よくできるわね」ブリット「生活の半分はそうだ仕事だからな」キャシー「見ている私がたまらないわ。醜さが一杯。あなたの生活は暴力と死。すべて無感覚になったのよ。私とは遠く離れた世界よ。どうなるの?」ブリット「これからはじまったばかりだ」

ブリットとキャシーの関係は実に魅力的な関係であり、自由に30代を過ごす男性にとっては、自分自身に置き換えて感情移入しやすい関係であった。しかし、二人の関係の描写が甘すぎたのでただのジャクリーン・ビセットを登場させるだけの口実的役柄に成り下がっている。

ブリット ブリット ブリット
ラストで事件を解決したブリットが早朝に家に戻ると、恋人のキャシーがベッドで眠っていた。それを一瞥し鏡の中の自分に目をやるブリット。そして、拳銃をアップで映像が捉える。キャシーは重要な役柄であった。だからこそラストに彼女を登場させている。しかし、そこに至るまでの関係の描写の手ぬるさゆえに最高のハードボイルドの幕引きは心に響かない表面的な格好良さで終わってしまった。おそらくブリットは、日常を選ぶのだろう。そういった心の機敏がもっとわかるもっとクールな幕引きをするためにも二人の描写は、病院でのディテールよりも優先されるべきだった。


■本当にチョイ役に過ぎなかった


タクシーの運転手ウェイズバーグ役で注目を浴びて売れる過程のロバート・デュバルが出演している。全く本筋とは関係のない役柄であったが、存在感はこのころから頭の毛に反比例して濃かった。しかし、この人やマックィーンを見ているとよく理解できる。売れなかった時期が長い程、男の格好良さと渋みは増すばかりなのである。そして、ふと日本の俳優陣及び、役を演ずるタレント達を思い実感した。
日本の映画界は、もっともっと演劇界に目を向けて年季かかった頑固なタレントごときには媚びない役者を発掘すべきであると。


■史上初のカーチェイス映画


マスタング マスタング
本格的なカーチェイスが映画上で初めて現れた作品が本作品である(それ以前のカーチェイス・シーンは、車のハンドルを握った俳優と合成した背景で描写されていた)。そして、この作品こそカーチェイスの本来の高揚感を伝えてくれているのである。犯人を追いかける刑事と、その追跡をかわそうとする犯人が、ひたすらサンフランシスコの坂をタイヤをきしませて、煙を上げながら走る走る走る・・・そして、郊外のハイウェイで側面をぶつけあいながらのチキンレースの駆け引き。本当にスピード狂でカーレーサーでもあるマックィーンだからこそ編み出せたカーチェイスの基本形がこれなのである。

走る車を運転している人にはよく分かるだろうが、このカーチェイスのシーンは今見ても迫力満点である。ちなみにマックィーンはほとんどの運転を自分自身でこなした。ハイランドグリーンのフォード・マスタング390GTをこのカーチェイスのために2台購入したという。このエンジン音の爆音がとにかく格好良い!急斜面をドカンッドカンッと下っていくシーンや、犯人の追跡を終え、停止するときにスピンしかけながら急停止するシーンが特にイカス。

一方ブリットが追跡する車はダッジ・チャージャーR/Tである。運転するのは、名カー・スタントマン・ビル・ヒックマン(1921-1986)である。彼は1971年『フレンチ・コネクション』にも出演し、ニューヨークの高架線下で最高のカーチェイスを演じた。撮影中180qで疾走する車の中でヒットマン役の隣に座っていた俳優は何度も失神しそうになったという。


■マックィーンのこだわり


ブリット ブリット ブリット
原作の舞台ニューヨークをサンフランシスコに変更してまでマックィーンは坂道のカーチェイスにこだわった(ちなみに坂道を飛び跳ねながら下っていくシーンは『大脱走』でもマックィーンの代役スタントをしたバド・イーキンズが担当している)。
9分42秒のカー・チェイスのシーンのために3週間の撮影が行われた。マックィーンは金門橋上でカーチェイスすることにこだわったが、さすがにそれだけは危険ということで許可が下りなかった。

ちなみに監督のピーター・イェーツ(1929− )は、若い頃はプロのカーレーサーだった。この作品の本物のカーチェイスの迫力を見ているとCGを多用したカーアクションは所詮生け花に対する造花に過ぎないと感じてしまうものである。所詮偽者は偽者なのである。イェーツ監督の『大列車強盗団』(1967)の中のカーチェイス・シーンをマックィーンが気に入っての起用だった。

そして、意外に気づかない部分であるが、この作品のカーチェイス・シーンの始まりは、ラロ・シフリンの音楽がエンジン音にかき消されてから始まるのである。昨今の映画のカーチェイスの始まりが音楽と共にという点を考えると実に恣意的である。


■ポルシェ356カブリオレ


ポルシェ ジャクリーン・ビセット
ポルシェ356カブリオレを運転するブリット。やはりブリットには優雅なポルシェよりも荒々しいマスタングの方がお似合いである。それにしてもこのポルシェ、VWビートルがベースになってるだけあって、なかなか女性向けでおしゃれでよろしい。
ふとジャクリーン・ビセットにはこのポルシェに乗っているときに黄色のミニのワンピースを着てもらいたかったと連想した。

ブリット ブリット
本作は全てのシーンをマックィーンの強いこだわりによりオールロケで撮影された。ラストのサンフランシスコ空港で犯人を追い詰めるシーンは、中盤のカーアクションのインパクトに比べるとこじんまりしていたが、滑走する飛行機の下に潜るシーンはスタントなしでマックィーン自身が演じた。ちなみに原作においては、カーアクションもラストの空港のアクションも存在しない。

デビューしたての頃のジョアンナ・キャシディがエキストラで出演している。おそらく建築会社の受付嬢の役か撃たれた同僚の妻役の女性が彼女だろう。


■ブリットのモデル


ゾディアック スティーブ・マックィーン
ブリットのモデルは、1968年から1974年までアメリカを騒がした連続殺人犯ゾディアック事件(犯人は捕まっていない)のサンフランシスコ市警の主任調査官デイブ・トスキ(1931− )である。写真左上1969年撮影。このホルスターを肩にかけるスタイルをマックィーンはブリットでコピーした。

本作品は1968年アカデミー賞編集賞をフランク・P・ケラーが受賞した。制作費540万ドルに対し2500万ドルの興行収入をあげた。しかし、そんな事実よりも、『ブリット』という刑事ドラマが与えた影響は後に続く『ダーティ・ハリー』『フレンチ・コネクション』を見ても絶大であり、カーチェイスという部分においても、本作品は映画史上かなり画期的な作品であることは確かである。

スティーブ・マックィーン スティーブ・マックィーン スティーブ・マックィーン
『ブリット』という作品は、脚本的には破綻している部分もあるが、存在的には映画史上に残る作品としてもっと評価されて然りなのである。

− 2007年4月30日 −


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