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コラテラル   COLLATERAL(2004・アメリカ)
■ジャンル: アクション
■収録時間: 120分

■スタッフ
監督 : マイケル・マン
製作 : マイケル・マン / ジュリー・リチャードソン
脚本 : スチュアート・ビーティー
撮影 : ディオン・ビーブ / ポール・キャメロン
音楽 : ジェームズ・ニュートン・ハワード

■キャスト
トム・クルーズ(ヴィンセント)
ジェイミー・フォックス(マックス)
ジェイダ・ピンケット=スミス(アニー)
マーク・ラファロ(ファニング)
コラテラル
これ程見事に間抜けな独りよがりな殺し屋は見たことがない。史上最強の天然ボケ・ヒットマン・ヴィンセントをひたすら楽しむしかない。クールであればクールであるほどその間抜けっぷりが引き立っているのである。

■あらすじ


いつかリムジンの会社を経営することを夢見ているロサンゼルスのタクシー運転手マックス(ジェイミー・フォックス)のタクシーにグレーの高級スーツを着たロマンスグレイの男ヴィンセント(トム・クルーズ)が乗車してきた。そして、マックスの長い夜が始まる。ヴィンセント実はプロの殺し屋で、今日一晩で5人を暗殺する予定だったのだ・・・


■タクシーを運転するマックスの美しい映像美


コラテラル
古くはテレビ・シリーズの『マイアミ・バイス』から映画『ラスト・オブ・モヒカン』『ヒート』『インサイダー』などで話題作・良作を連発している近日希に見る才能あふれる映画監督マイケル・マン、トム・クルーズ、『レイ』で2004年アカデミー賞主演男優賞を受賞したジェイミー・フォックスによる作品。ジェイミーは、同年にこの作品でも助演男優賞をノミネートされている。とにかく、男が仕事を黙々としている風景を描き出すのが、マイケル・マンはすごく上手である。タクシーの運転手の仕事を黙々としているマックス(ジェイミー・フォックス)の描写がすごくよい。そして、高解像度ビデオカメラで撮影しているだけあって、夜のロスの町並みが新鮮で奥深いのである。

「知らないもの同士こそ親密になれる 二度と会わないと思えば何でも話せるからだ」


■ヴィンセントのグレーのスーツ


トム・クルーズ トム・クルーズ
マックスのタクシーに乗るヴィンセント(トム・クルーズ)。それにしてもマンの映画に出てくる男はいつも他の映画に出演するよりも精悍に描かれる。ヴィンセントが殺害した被害者がマックスのタクシーの屋根に落ちてきたときにヴィンセントが吐くせりふがとてもよい。「
(殺したのか?)いや、撃っただけだ。銃弾が殺した

トム・クルーズのグレーのスーツはかなり高級そうである。あのグレーは安価なスーツにはない色合いと質感である。監督いわく、このスーツは九龍で仕立てたものらしい。


■よそ見しながら止めをさり気に刺すヴィンセント


ヴィンセントの2人目の殺しの最中に、一人ぼっちでタクシーに取り残されたマックスが助けを求めた相手が強盗で、マックスの財布もヴィンセントが車中に残したブリーフケースも奪われてしまうが、あっさりと仕事を終えてきたヴィンセントが強盗2人を殺害。はっきりいってトム・クルーズの悪役に全く違和感がないところがすごいところだ。トム・クルーズのような善玉ばかりを演じてきた俳優が悪役を演じ切るだけで観客は大満足だろう。とくに、ブリーフケースを取り返し、さりげに放つ最後の必殺の一発がかなり悪役悪役していてよろしい。

そして、ジャズ・バーへ。マイルス・デイビスの曲が演奏される中、マックスにヴィンセントはこう言う。「大抵の人間は、10年後も同じ仕事、同じ暮らし、その方が安全だから 同じことの繰り返しだが10分後を誰が知ってる?」

このジャズ・バーでのシーンで第3の殺人を起こすくだりでの会話のシーンがとてもクールである。「1964年の7月22日誰が店に入ってきたと思う? マイルス・デイビス。この地球上で誰よりもクールな男だ。」「俺は1945年生まれだが、俺が本当に生を受けたのは、あの晩だ。」「
奴は死んだ≠ニ思われるほどに、遠くに消えるよ。

そのあと、マックスの母が入院する病院にお見舞いに行く2人のシーンで、偶然同じエレベーターに、ヴィンセントの殺人事件を捜査中の刑事が同乗し、緊張感あふれるシーンになるはずなのだが・・・・実際は全く緊張感がなく、それ以降のストーリーの付箋にもなっていなかったのだが、マン監督に言わせれば、「ビーティーの脚本は実に素晴らしい。もし、レントゲンやMRIで脚本を調べられたらその構成の巧みさがはっきり分かるだろう」と言っているが、実際のところ、MRIで調べなくても肉眼で分かる構成の陳腐さである。


■クラブで大暴れするヴィンセント


しかし、韓国クラブ「フィーバー」でポール・オークンフォールドの「Ready Steady Go」が流れる中、第4の殺人を起こすシーンでの、FBIとマフィアとの三つ巴の銃撃戦の緊張感はさすがである。トム・クルーズという役者がいかにプロフェッショナルに見えるかという点ではなく、実はジェイミー・フォックスのただのTAXI運転手なりきりぶりが、よりトム・クルーズのプロぶりを際立たせていたのである。クルーズはこの役柄を演じるために警察の射撃場で3ヶ月の実弾をつかっての射撃訓練を受けたという。彼が実弾を撃つのは人生で始めてだったらしい。さすがに拳銃のマガジンを流麗にリロードするその姿は美しい。

トム・クルーズの格闘インストラクターの1人として湾岸戦争を描いた名著『ブラヴォー・ツー・ゼロ』のアンディ・マクナブが雇われた。

それにしても、1990年代後半からめっきりと銃撃戦のシーンの場所としてクラブが選択されるのも一つの流行なのだろう。基本的にマフィアの重要人物が、次の日に重要な証言をするにもかかわらずこんな人の出入りの激しい場所に夜遅くまでいるものなのか?と考えてしまう。

そして、2人はタクシーで逃亡し、そのさなかにマックスがヴィンセントに言う。「もし、あんたが銃で脅され、こっちの男が何を考えてるか当ててみろ。外したら殺す≠ニいわれたら?きっと殺されるね。あんたには人の気持ちなんて 分かりっこないんだ。あんたは見下げた人間だ。どういう育ち方をして、そんなハートのない人間に?人間なら誰にも備わってる根本的な何かが欠けてる。」

それに対し、ヴィンセントは、「清潔な車。リムジン会社の夢。いくら貯めた?いつか夢がかなう≠ニ?ある夜 目を覚まして気づく。夢はかなうことなく 自分が老いたことを。お前は本気でやろうとしてない。記憶のかなたに、夢を押しやり、昼間からぼーっとテレビを見続ける。」

そして、マックスはタクシーを暴走し始める。「感謝するよ。そういう考え方をはじめて教えてもらった。失うものなんかない!やりゃいいんだ!=v

マックスは今まで、希望と挫折の間を優柔不断に生きてきたのである

「人間が何かを学ぶとき、まずは模倣しそうして自分のものにする」


■ビル突入にあたり1人コントをするマックス


コラテラル
ヴィンセントの最後のターゲットが、最初にタクシーに乗せた黒人女性検事(ジェイダ・ピンケット・スミス)ということを知ったマックス。ここからサスペンス・アクションに急展開していく。それにしても、検事のいるビルに乗り込もうとするマックスのスーパーへたれぶりが小気味よい。ゴミ箱を投げてガラスを割ろうとするもガラスは割れず、拳銃でガラスを割ろうとするも、安全装置を解除してなく割れず、やっと拳銃で恐る恐る割るも、破片に気をつけながら恐る恐るガラスをくぐっていくその姿がなんともリアルでよろしい。ちなみにジェイダ・ピンケット・スミスはウィル・スミスの奥さんである


■これぞ命がけのコント!自分の投げた椅子にけつまずくヴィンセント


コラテラル
早くもいろいろな意味で伝説の自分で椅子を投げてガラスを突き破るも、その椅子にけつまずくシーン。それにしてもマックスを追いかけるその手先をぴんと張って走るその姿はターミネーター2そのものである。

残念ながら地下鉄での追跡戦は見事に迫力のない映像だった。監督は語る、わずか10時間の一夜の出来事を回想シーンもなく、登場人物が自分についてほとんど語る形もなく、物語が進行していくところに魅力を感じたと、確かにそういう物語の展開は、とても魅力的である。しかし、一夜の物語を描く場合、非現実的な銃撃戦を盛り込みすぎるとあっという間に物語が、破綻するということまでは、さすがのマン監督でも気づかなかった。

そして、それよりも何よりも、おおよそプロの殺し屋とは思えない、殺し屋ヴィンセントの行動パターンには、驚くばかりである。コメディになるほどのどじっぷりと、そんな中でも変に冷静なヴィンセントには、すっかり物語の緊張感が失われる次第である。恐らく脚本が駄目すぎたのだろう。そんな脚本を選んだトム・クルーズもトム・クルーズだが、ダメ殺し屋ぶりは悪い意味でかなり板についていた。

マン監督にとって、「十分な説明なしに観客をひきつけられるのか?」というのがこの作品の主題だった。そして、その力量で物語の当初は見事に観客をその世界観に釘付けにしていた。物語に想像力で観客にひきつけている場合。最後の方に想像力を必要としないアクションをぶつけてしまうと、必ず物語性に破綻をきたしてしまうのである。公開当時、プレスに緘口令をしいていたというが、予想通りの展開に緘口令を敷いているところが、今の時代の映画会社のせこさぶりを象徴している。
『ゼニさえ稼げれば観客を食い物にする』体質がある限りこれからの映画の向上はありえないのである。

真に観客が期待していたのは、最後の殺人が貫徹した後に、ヴィンセントとマックスはどうなるのだろうか?という点だったのではないか?せっかく硬派な人生哲学を提示していたにもかかわらず、最後は暴力で物語を完結してしまうというのは、全く低能だと感じる。そして、何よりも物語の冒頭でヴィンセントが殺し屋だということを、マックスに気づかせた時点で緊張感の意図と期待感は失われてしまったと言える。


■トランスポーター出動!そして、即仕事完了!


コラテラル
何気に冒頭に、『トランスポーター』のジェイソン・ステイサムが、トム・クルーズに暗殺指令を渡す連絡員で登場している。

 それにしても、監督によるとヴィンセントはタイで普段生活をしているらしいという設定には驚いた。そして、その理由が「仏教国で他人に干渉しない土地柄なんだ」という点に関しても。

マイケル・マン監督は、ビリー・ワイルダーの皮肉が好きで、『フロント・ページ』を、ヴィンセントの皮肉っぽさや虚無的な態度の参考にしたという。

ラストシーンに関して言えば、どうしようもないほどの終わり方だった。凄腕の殺し屋ヴィンセントがタクシー運転手マックスに撃ち合って殺されて終わる。最初の出だしが超A級映画の予感をさせたのに、終わりに近づくにつれ物語も破綻し、結末も超C級だった。監督のセンスも役者の演技力も最高だっただけに、脚本次第で映画の出来は左右されることがよく理解できた作品だった。

− 2007年3月3日 −


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