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犬の生活   A DOG'S LIFE(1918・アメリカ)
■ジャンル: コメディ
■収録時間: 32分

■スタッフ
製作・監督・脚本 : チャールズ・チャップリン


■キャスト
チャールズ・チャップリン(浮浪者チャーリー)
エドナ・パーヴィアンス(酒場の歌手)
シド・チャップリン(ホットドッグの屋台のオヤジ)
ヘンリー・バーグマン(デブの失業者/バーのデブ女)
犬の生活
ステッキは持っていないがそれ以外はおなじみの浮浪者チャーリー。全てのチャップリンの名作の原点はこの作品にある。「人間の生活も犬の生活と同じ。貧乏よりも孤独、愛する人を持たないことが不幸なんですよ」と。そう、そして、孤独を絶えたものにのみ、孤独の中から大切な巡りあいがあり、幸せの扉は開かれる。

■あらすじ


浮浪者チャーリー(チャールズ・チャップリン)は、相変わらずお腹を空かせてとぼとぼ歩いていた。そんな時野良犬に襲われている白い犬を助けてあげる。そして、ある日、酒場の新人歌手(エドナ・パーヴィアンス)に一目ぼれするチャーリー。


■この「憎たらしさ」かなり魅力的


犬の生活 犬の生活
チャップリンの長編傑作の数々の原点はこの作品にあると言ってもいいだろう。本作のチャップリンのギャグは、今見ても色褪せないほど冴え渡っている。

特にオープニングで早速炸裂するギャグ・シークエンスが実にチャップリンらしい。ひもじいチャーリーがソーセージをかっぱらったところ偶然警官にみつかり、警官に追われる。柵をうまいこと使い下を転げまわり、警官を翻弄し喜ぶチャーリー。警官のケツを蹴っ飛ばしさらに調子に乗ってポーズを取ると後ろにもう1人の警官が・・・。

チャーリーの魅力はずばり、この「憎たらしさ」と「調子に乗る」ところである。とにかく憎たらしいけど憎めない。それって最大の人間の魅力。そして、警官2人からダッシュで逃げ延び、他の警官がふいに現れた時に、ダッシュからさりげないふりを装う変貌振りはかなり笑わせられる。ここらへんはもうチャップリンの王道パターンである。


■ついてない人生の先にある本当の幸せ


犬の生活 犬の生活
そして、次に続くこのギャグ・シークエンスが実に興味深い。職業安定所で、5人がけの待合ベンチの最前列に座っているチャーリーは、後から来た巨漢が強引に座ったことによりはじき落とされる。そして、いざ職業紹介の窓口が開いた時には、タイミング悪く、後から後から失業者に窓口へ向うところを抜かされていき、結局は職にありつけないという展開である。

こういったついてない人間の習性をここまで心得てる所がチャップリンの最高の強みだろう。
「コメディアンは最高級の不幸と苦労を経験していないと一流にはなれない」ということだろう。チャップリンも結果として幼少年期の不幸と苦労の経験を糧にして、喜劇王となったのである。

こういう言い方には誤解を生むかもしれないが、育ちのいい歌舞伎役者の息子が喜劇を名演するのと、少年時代を極貧の中で過ごした人間が喜劇を名演するのとでは性質が変わってくるのである。ある意味人間と言うものは一生幼少年期の習性を引きずって生きていくものなのである。

つまり駄洒落とコメディの違いはここにあるのである。


■昔のコメディは馴れ合い≠削ぎ落とした


犬の生活
ホットドッグの屋台でオヤジの目を盗んでパンをほおばるチャーリー。オヤジが振り返った時にピタッと動きを止めつつ約10枚ものパンを次々にほおばっていく。まさにだるまさんが転んだ¥態である。しかし、
こういう単純な笑いの芸にこそ本物か偽者かが見分けやすい普遍の要素が詰まっているのである。

昨今のお笑い≠フ本質は、芸に対する厳しさではなく、馴れ合いである。
そこから生まれるものは親近感であり、手の届く範囲の笑いなので、人によっては心地良く笑えるのだが、偽者の笑いの芸である。ある意味、毒舌≠ニいうのもただ笑顔も見せずにすっとぼけて語っているヤツら≠ホかりである。そして、これも明確に馴れ合いである。

ちなみにホットドッグの屋台のオヤジを演じるは、チャップリンの腹違いの兄シド・チャップリン(1985-1965)である。本作が一つの画面上での初めての兄弟共演となった。


■実は幸せは得てして、他人の不幸から生み出されている


犬の生活 犬の生活
助けた犬が見つけた財布を2人の悪漢に奪われ、それを取り返すために、酒場で飲んだくれてる2人のうちの1人を殴って気絶させ、二人羽織の要領で、見事財布奪取に成功するチャーリー。まさに伝説の二人羽織芸の瞬間である。

そして、ラストは財布のお金を元手に、酒場の歌手と田舎で畑仕事をしながら、犬と仲良く暮らすというエンディングである。そこでこの財布だが、元々は悪漢が酔いどれた金持ちから巻き上げた財布である。確かに、見ている人の多くは、他人のお金で幸せを掴むと言う姿勢には共感できかねないかもしれないが、チャーリー自身は犬が地面の中から掘り出した財布なので、天の恵みと考えている。

自分の幸せは得てして、気づいていないだけで他人の不幸からもたらされるものなのだという実にシニカルなメッセージが込められているラストだが、そういうシニカルさを込めながらも、野良犬のワンちゃんが子供を産むシーンで終わらせるところは実に見事である。

まさに一匹の野良犬が運んできてくれた幸せである。


■白い野良犬の愛くるしさ


チャールズ・チャップリン チャールズ・チャップリン
それにしても本作のもう1人の主役でもある白の野良犬が可愛い。チャップリンは犬役を選ぶためにまず入念なオーディションをした。そして、選ばれた犬と一緒に生活したという。しかし、チャップリンの厳しい躾に参ってしまったので、チャップリンは物語の途中で代役の犬を立てたという。

ちなみにこの時期のチャーリーは、独立して自分の撮影スタジオ=チャップリン・スタジオを創立した。そして、ファースト・ナショナル社(のちにワーナー・ブラザーズと合併)と、年間100万ドルの契約を結び自由に映画製作できる環境を作り上げた。そういう中で製作された第一作目が本作である。

この作品からチャップリンのドタバタ喜劇はストーリー性=感動を生み出す方向に転換していったのである。

− 2007年6月29日 −


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