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鷲は舞いおりた   THE EAGLE HAS LANDED(1976・イギリス/アメリカ)
■ジャンル: 戦争
■収録時間: 123分

■スタッフ
監督 : ジョン・スタージェス
製作 : ジャック・ウィナー / デヴィッド・ニーヴン・Jr
原作 : ジャック・ヒギンズ
脚本 : トム・マンキウィッツ
撮影 : アンソニー・B・リッチモンド
音楽 : ラロ・シフリン

■キャスト
マイケル・ケイン(クルト・シュタイナ)
ドナルド・サザーランド(リーアム・デヴリン)
ロバート・デュヴァル(マックス・ラードル)
ジェニー・アガター(モリイ・プライア)
ドナルド・プレザンス(ハインリッヒ・ヒムラー)
鷲は舞いおりた
ジョン・スタージェスのやる気のない演出が全てを物語っている。マイケル・ケイン自身が納得のいっていない作品である。ただこの緩めの空気の中でも原作の素晴らしさが少しばかりの見せ場を作ってくれたことが救いである。

■あらすじ


敗戦色の濃くなったドイツが、起死回生の作戦としてなんとイギリス首相チャーチルの誘拐作戦を実行することにした。実行部隊はクルト・シュタイナ(マイケル・ケイン)大佐率いる16名の空挺部隊。それを後方支援するはIRAの闘士リーアム・デヴリン(ドナルド・サザーランド)。かくして、ドイツ最期の望みをかけて作戦は実行されるのである。


■ジョン・スタージェスのやる気のなさ


マイケル・ケイン主演でジョン・スタージェス監督の戦争映画であれば、否応無しに期待感も募るものである。しかも第二次世界大戦末期のドイツ軍の空挺部隊によるウィンストン・チャーチル英国首相誘拐の極秘作戦の物語であれば尚更である。

しかし、本作は明確に失敗作である。その理由は何よりもスタージェスの演出である。この作品を最期にスタージェスは監督をすることはなかったのだが、それも頷けるほどに精彩の欠いたただの凡作に成り果てている。

もっとも後にマイケル・ケイン自身が言及しているように、映画への情熱をすでに失っていたスタージェスは、引退の小遣い稼ぎに本作の仕事を引き受けたので、撮影に対する気迫は全く感じられなかったと言う。
「映画自体は良くも悪くもない凡作だった。しかし、今も私が怒りを感じるのは彼が露骨にやる気がなかったこの仕事に対する姿勢だ」


■空挺部隊の描き方の甘さ


まず本作の魅力が欠ける描写となったのは、シュタイナー大佐率いる部隊が、どうも精鋭部隊と呼ぶには無個性すぎると言う点である。
それならば同時代の傑作映画『ワイルド・ギース』(1978)の傭兵部隊の描写の方がはるかに優れている。そして、空挺部隊が舞い降りていく描写が実に地味すぎる。こう言っては悪いが、あっさりとみんな英国に進入できすぎなのである。

本作の題名を示すシーンを印象的なシーンにしなくてどうするのだ?と首を傾げたくなるあっさりとした演出である。

シュタイナーが率いる空挺部隊に個性がないことから、彼が1人で色々しているようにしか見えない。そして、本作のポイントなのだが、最初にシュタイナーがポーランドでユダヤ人女性を逃がそうとし、軍籍を部下もろとも剥奪されたり、チャーチル誘拐作戦も部下が少女を助けたことにより発覚するのだが、折角こういった魅力的なストーリーラインも部隊の無個性ゆえにまったく活きてこないのである。

さらに、せっかく少女を助けてもあの死に様では映画的に感動も薄れると、もはやスタージェスは考えるほどの気もなかったのである。まさにスタージェス率いる製作班は、本作の中の平和ボケしているまぬけな駐屯米軍そのものだったのである。道理でこの描写だけうまかったわけだ。


■リーアム・デブリンのミスキャスト


ロバート・デュバル
本作において、シュタイナ役も重要であるが、それと同じくらいリーアム役も重要であった。ドナルド・サザーランドという人は飄々とした中に秘めた冷酷さやプロフェッショナルぶりを演じさせれば右に出るもののいないくらい良い役者だが、魅力的な10代の娘を瞬間で落とすと言う役柄には説得力がなかった。正直どう見ても怪しいオヤジである。

そもそも、出会いからキスまでの流れが不自然すぎる。このリーアムとモリイのシークエンスはそれでなくても、弛みがちな作品をより弛ませてくれた。ちなみにリーアムの役は当初リチャード・ハリスが演じる予定だった。

一方で、本作で最も魅力的だったのはアイパッチのドイツ軍将校ラードルを演じたロバート・デュヴァルと、ヒムラーを演じたドナルド・プレザンスである。もうこの2人は最高としか言いようのない存在感を出していた。

「パーティーで美女にウィンクされたら引っ込めないのがオトコと言うものだろ」
ラードルが言うセリフである。このセリフのシーンが本作のハイライトである。


■ジャック・ヒギンズ


本作は1975年に発表され全米で33週にわたり売り上げトップに輝いたジャック・ヒギンズ(1929− )の長編小説の映画化である。やはり長編小説を2時間ちょっとで映画という情報量の限られた媒体で再現することは難しいだろう。小説は登場人物の背景もしっかり描きこまれていたので、実に味わい深い名作であるが、映画の中ではそういった味わい深さはまったくない。

さらに致命的なことは小説の中での数々の名台詞が、ほとんど反映されていなかったことである。これは脚本を担当していたジョセフ・L・マンキウィッツの息子トム・マンキウィッツが才能ではなく親父のコネで仕事を手に入れただけのある出来栄えである。他の『007/死ぬのは奴らだ』(1973)でも言えるが、この男は脚本の才能が実にない人である。


■少し豪華な出演者達


ジェニー・アガター ジェニー・アガター
結構豪華なキャストが本作において出演している。まずはシュタイナを演じるマイケル・ケイン、ロバート・デュヴァル、ドナルド・サザーランドはじめ、『美しき冒険旅行』(1970)のジェニー・アガター(1952− )が出演している。アガターは少女のような可憐さのなかに色気を漂わしていてよかったが、いかんせん彼女の絡んでくる物語の筋が悪すぎた。

他にドナルド・プレザンス、アンソニー・クエイル、コリン・ファレルか?と勘違いするほど似ているトリート・ウィリアムズ、そして、ラリー・ハグマンも出演している。


オペレーション・シーライオン


第二次世界大戦中にドイツ軍が英国本土に上陸して工作活動を行ったことはなく、本作のイーグル作戦もフィクションではあるが、本作に似たような作戦を実際にドイツ軍部は立案していたのである。その名もオペレーション・シーライオンである。

1939年11月ドイツ海軍総司令官エーリヒ・レーダーがイギリス本土上陸作戦の可能性を立案させたことから始まる。7万人ものドイツ軍を上陸させる壮大な作戦を立案させる。しかし、1940年7月にイギリス海峡の制空権獲得のために行ったバトル・オブ・ブリテンの敗北により、1940年10月には作戦実施を諦めることになる。

そして、以降は1941年6月に開始されたソ連に対してのバルバロッサ作戦におけるモスクワ攻略の失敗や、アメリカ参戦により、オペレーション・シーライオンどころではなくなったのであった。ちなみにドナルド・プレザンスが演じたハインリヒ・ヒムラーは実在の人物で、ナチス親衛隊長官として恐れられた人だが、ドイツ敗戦後の1945年5月23日服毒自殺をした。


■悲しすぎるスタージェスの最期の幕引き


結局シュタイナは、チャーチルを暗殺するが、実は替え玉だった。そして、射殺されるシュタイナ。一方作戦の失敗によりラードルも銃殺され、ラストに河畔に佇むリーアムの目の前で、潮が引き座礁しているドイツの魚雷艇の姿を背景に物語は終わるのである。

結局この作戦は何の得があったのか?敗戦間近の混乱そのものの無駄なあがきに過ぎなかった・・・もし、ジョン・スタージェスが監督ではなかったら、本作はこの空しいラストシーンをより効果的な演出でしめてくれただろうが、残念ながらスタージェスの幕引きでもある本作は、それに相応しい何の魅力もない終わり方で終了していった。

OK牧場の決斗』『荒野の七人』『大脱走』を撮った男にしてはあまりにも無様で情けない最期の作品であった。
年をとっても尚映画に対する情熱を持ち続けることがいかにすごい事かを逆の意味で実感させられる作品であった。

ちなみに本作の題名「The Eagle Has Landed」は1969年にアポロ11号の着陸船イーグルが月面着陸に成功した際に、地球への連絡に使った言葉である。

− 2007年6月4日 −


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