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女必殺五段拳   (1976・東映京都)
■ジャンル: アクション
■収録時間: 77分

■スタッフ
監督 : 小沢茂弘
脚本 : 鳥居元宏 / 松本功 / 志村正浩
撮影 : 塩見作治
音楽 : 上芝はじめ

■キャスト
志穂美悦子(中川菊)
渡瀬恒彦(高木修二)
ミッチーラブ(ミッチー)
鈴木正文(中川武夫)
田中浩(宮本)
田淵岩夫(野田一平)
ケン・ウォールス(ミッチーの兄・ジム)
女必殺五段拳
さすがの悦っちゃんファンでも、さすがにこの作品は厳しいよな?小沢茂弘最後の作品。コーリアン・クラブとびわ湖タワーと東映京都撮影所で95パーセント撮りあげられた作品。茂弘の113作目のお祝いに・・・。「今回はラクぅ〜に撮って来てくれたまえ。びわ湖の帰りに、近衛十四郎の雄琴のソープで慰安旅行も兼ねて遊んで来ていいから」。内容もそんなレベルのゆる〜いノリの作品。

■あらすじ


京都の呉服屋の箱入り娘・菊(志穂美悦子)は、年頃の女性だったが、男性よりも空手の稽古に熱心だった。そんなある日菊は、妹弟子ミッチー(ミッチー・ラブ)の兄が、ミッチーと生まれ故郷の沖縄でレストランを開く事を夢見て大金を稼ぐため、麻薬シンジケートの用心棒となって働いていることを知るのだった。そして、菊は友人の麻薬捜査官・高木修二(渡瀬恒彦)と麻薬ルート撲滅の為の行動を開始するのだった。


■アナーキー・イン・ザ・トーエー 小沢茂弘


志穂美悦子 志穂美悦子 志穂美悦子
小沢茂弘(1922−2004)はこの作品を最後に映画界を去った。まず前もって言っておこう。この作品は、全くの駄作である。しかし、ある一点において本作は語るべき価値がある作品だ。その一点とは・・・東映京都撮影所全体が悪の巣窟だったというアナーキーな設定においてである。

かつては片岡千恵蔵、市川右太衛門、鶴田浩二、高倉健といったスター映画を撮り続けてきた男の最後の作品は、悦っちゃんとミッチー・ラブが主人公の冴えない和製クンフー映画だった。そして、オチは自分も含めて撮影所全体が麻薬シンジケートの日本支部だったという設定。さらに「わんぱくでもいい、たくましく育って欲しい」なんてことを当時言っていた田中浩を悪役に据え付け、アンド片桐竜二という何とも煮え切らない敵どもを配し自嘲するそのフテブテしさ。

この作品をもって東映を首になった小沢茂弘は、自分で自分の首を刈り取る形で、この作品の構成をずたずたにした。
東映京都にアナーキーな爆弾を投げつけて去っていった当時55歳のこのオヤジ。「立つ鳥跡を濁しまくり」のこの姿勢。まさに一人だけのピストルズだよなこのオヤジは。


■少しこの後の小沢茂弘について語るならば


この作品は、完全に小沢茂弘が、最後の慰安旅行を兼ねて撮影されたような作品である(10分くらい立つと小沢監督自身も本作に映画監督役で登場している)。まずはコーリアン・クラブ。そして、大人の社交場=雄琴に近いびわ湖タワー。そして、謎の(山師的な)空手家・鈴木正文の存在。悦っちゃんのオヤジ役を演じているこの男は、他の和製クンフー映画に出演している時のように、空手を披露はしない。

本作においては、学芸会のようなオヤジの宴会芸を延々と見せ付けられるのだが、それを許した小沢には、ある意図があった。実は、小沢はこの作品で、東映を首になった後、鈴木を社長にして正武プロという会社を設立(1976年7月28日)し、専務に納まっていた。
この会社の設立の目的は、『笹川良一伝』という(どういった層が好んで見るのか分からない)ネタを製作するためであり、そのスポンサーとして佐川急便を当てにしていた。

しかし、肝心の佐川急便は脱税事件に見舞われ、資金の目処もつかなくなり、更に笹川良一夫人から脚本の内容に反対意見を出され、結果的に鈴木に裏切られる形で、小沢は会社を自主退社させられてしまったのである。そして、苦難の末に易者になるのだが・・・そんな波乱万丈の55歳からの男の一念発起が始まるきっかけの作品がこの作品だった。つまりこの作品の頃の小沢は「笹川良一伝」で頭が一杯だった。


■謎の黒人・ケン・ウォーレス


女必殺五段拳 女必殺五段拳
この作品の見所は、間違いなくタイトルバックに流れる(空手着のりりしい)悦っちゃんとミッチー・ラブ(1960− )による組み手姿のみだろう。こんな2人となら
「やさしく組み手よろしくおねがいします!」と言いたくなる位きりっとした格好良さ。でも悦っちゃんが格好いいのは、ココまでだった・・・

ところで唐突に登場するケン・ウォーレスというクンフーの使い手の黒人。どうやらアフロヘアーをばっさり切ったジム・ケリーではないらしい。この男は何者だろうか?いまだ不明である。もしかしたら当時JACでイチオシしようとしていた黒人俳優だろうか?それとも当時アメリカで黒人映画が流行っていたので、沖縄か厚木の米軍基地あたりから引っ張ってきたのか?それとも気だるい挿入歌を歌っていた歌手か?

それにしてもびわ湖タワー。時代を感じさせるよな。ココは無料だったのでよく親に連れてってもらったよ。
70年代の映画の楽しみって、こういった今は滅び去った遊園地の現役バリバリの姿を堪能できるところにもあるよね。


■本当はこの作品はこの姿で完成する予定ではなかったのではないか?

女必殺五段拳 女必殺五段拳
「亭主にうまい料理を食わせ、子供を立派に育てる。それが女の幸せってもんじゃないだろうか?女はしょせん女だ。たまには男の言う事も信じてみなよ」結局コレを否定してない女性がいまだ多いかも・・・・

藤純子の作品で言えば高倉健や鶴田浩二的な役柄で登場するのが、渡瀬恒彦(1944− )だ。
シーンごとに、ナチュラルのもみあげとすっげぇ怪しいもみあげに目まぐるしくチェンジするその姿を見てオレは思った。この作品は、どうやら元々は、こういう筋の作品ではなかったんじゃないかと・・・

前半で小沢監督自身が監督として出演していたが、何故か後半にはチャンバラトリオの一人が監督になっている事といい。恐らく本来はどこか違った場所を敵の本拠地にしようとしていたが、予算の都合か先方の都合か、もしくは日程的な都合により、撮影所内で全て終わらせろ!という指示が出たのではないだろうか?

それにブチギレタ小沢が、そのまま東映京都撮影所を敵のアジトにしたのではないだろうか?しかし、そんな事を考えてみても理解不可能なシーンは、
「コーリアン・クラブ三千里」の芸を延々と観客に見せ付ける意図である。ミッチー・ラブの超大根な芝居を見せつける意図は3歩譲歩してまだ分かるのだが・・・元々ゼロに等しい映画のリズムはこの出し物で氷点下に急降下した。(案外その意図は、映画で宣伝する代わりに遊び代がタダとかかも?)


■志穂美悦子というファンタジー


「見逃してくれ・・・ねっねっ。おじさん金ならいくらでも出す」


いいねえ汐路章。おじさん金ならいくらでも出す!≠アのセリフ回しのセンスが妙にエロいよなぁ。おじさん金ならいくらでも出す!*ュに脳裏に残るフレーズでした。

最後に一言野暮なことを言わせてもらおう。(五毒拳ではなく)五段拳とはなんぞや?恐らくそれは、ケン・ウォーレスの存在と共に、永遠の謎だろう。しかも東映の事なので大した解答も用意されていないだろう。

それにしても悦っちゃんという女優は、お世辞にも褒められるような主演作品に、恵まれていたとは言えない。しかし、そんな悦っちゃんに何故今多くの男女が惹きつけられるのだろうか?オレはふと考えてみた。そして、思った。悦っちゃんに今現在日本に生きる自分自身の姿を投影しているのではないかと・・・

悦っちゃんは、クンフー・ブームの勢いの中、その有り余る才能を十分に発揮するアクション映画に恵まれず、約10年のキャリアの後に、悦っちゃんに忠実とは言いがたい剛君を内から支える道を選んだ。そんな悦っちゃんの姿に私たちはもどかしさを感じている。あの20代の全盛期の頃、もっと素晴らしいアクション映画が残されていたら・・・そして、30代の成熟期に仕事をしていたらもっともっといいものが出来ていたかも・・・

悦っちゃんの魅力は、そのものずばり並外れた才能の不完全燃焼に機縁している。そして、それは不完全燃焼の中生きる私たちそのものでもある。どうせなら結婚を機に剛君が専業主夫になって、悦っちゃんはバリバリ仕事してくれていた方が良かった・・・。そんな果てしない可能性をいまだに感じさせてくれる悦っちゃんだからこそ。だらしなく引退復帰を繰り返すへっぽこ芸能人とは、別の次元のファンタジーとして悦っちゃんは存在し続けているのである。

− 2008年1月17日 −


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