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現代やくざ 人斬り与太 (1972・東映東京) | |||||
| ■ジャンル: 東映ヤクザ ■収録時間: 88分 ■スタッフ 監督 : 深作欣二 企画 : 俊藤浩滋 / 吉田達 / 高村賢治 脚本 : 石松愛弘 / 深作欣二 撮影 : 仲沢半次郎 音楽 : 津島利章 ■キャスト 菅原文太(沖田勇) 安藤昇(矢頭俊介) 渚まゆみ(君代) 待田京介(郡司猛夫) 小池朝雄(木崎) 小林稔侍(鉄男) 地井武男(安夫) |
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■あらすじ 川崎で愚連隊のリーダーとして暴れまわる沖田勇(菅原文太)は、やくざに対する殺傷沙汰で5年の刑期を勤める。そして、出所後すっかり様変わりした川崎で再び愚連隊を組織し、暴れまわる沖田だったが街を支配する二つのやくざ組織の間で狂犬のように死に絶えていくのだった。 ■渚まゆみ様がいたから文太兄ィの狂犬ぶりは昇華した ![]() やはり文太兄ィ(1933− )を語るにおいて忘れてはならないのが、この作品だろう。これぞ文太兄ィの伝説の軌跡の分岐点。ココから文太兄ィは疾走することになる。そう深作欣二と共に。東映仁侠映画路線の行き詰まりの中、鶴田浩二、高倉健、若山富三郎の添え物に過ぎなかった文太兄ィが、3人と対等の地位に登りつめていくことになるのである。 オープニングは後の『仁義なき戦い』シリーズと比べれば竹内力っぽいかなりオーバーでベタなチンピラ芝居を文太兄ィは繰り広げる。「1945年8月15日生まれ」だから生まれながらの負け犬なんだという能書きで負け犬モード満点に物語は展開していく。しかも、母親が売春婦で、父親は誰か分からず、年を食ってから母親はおでん屋の屋台を引きながら客引もしていたというダメ親ぶり。 「俺がぶん殴ったヤロウは数え切れないが、とにかく最初の相手がお袋だった」 狂犬・沖田の悲しい独白・・・。自分が暴力に目覚めたのは母親によってという悲しさ。「最初の相手がお袋だった」を違う解釈で捉えてみると、性欲と暴力の綿密な結びつきが理解できるなかなかリアリティ溢れるセリフだ。 ■男なら小林千枝の巨乳の間で震えて泣け! ![]() 「それに若いヤツラはどいつもこいつも髪の毛バカみたいに伸ばしやがってよ」 5年の刑期を終え、シャバに出る沖田。一緒に出所した三谷昇(1932− )の不気味さ。こいつこそ狂犬の中の狂犬という不気味さ。手に二枚刃を隠しているのだから、この作品でこいつだけは敵に回したくない男ナンバー1である(勿論安藤昇先生は別格)。 それはともかく、「ちゃらちゃらしやがって」オレは男だぜ!と早速トルコへ直行する文太兄ィ。さすが当時東映で3本の指に入るトルコが似合う男。勿論他の二人のうちの一人は山城新伍である。 それにしてもトルコ嬢を演じる小林千枝がかなりイイ!この巨乳にまみれて泡まみれになる文太兄ィの本気汁かなりいいぞ! ■愛を奪った相手から愛を取り戻したい願望 ![]() 「欲しいものは己の腕で取れ!腕で!」 堂々とニップレスをさらけ出して強姦される渚まゆみ様。とにかく化け猫かというほどの強烈メイクで座を圧倒してくれる。美人がここまでめちゃくちゃなメイクをした姿はなかなかお目にかかれない。まさに渚まゆみ様をキャンパスにピカソが絵を書いたかのようなめちゃくちゃメイクぶり! 彼女の役柄は田舎から都会に出てきたと同時に沖田ら愚連隊に拉致られ、廃工場で思う存分廻された上に、売春宿に売り飛ばされたという悲惨な境遇である。そんな彼女が刑務所帰りの沖田に再会し、怨み100倍が屈折した愛情100倍に転じていく。 ![]() 彼女の沖田への想いは、愛というものではなかった。身体を売って生計を立てている君代にとって、バージンを奪った沖田は、今となっては自分の唯一大切なものを奪った男として特別なものになってしまったのである。それは愛ではなく堕ちた二人が感じる歪んだ安らぎだった。愛情よりも兄妹愛に近いものである。 だからこそ、君代は女遊びする沖田をなじりながら、沖田の女をナイフで切りつけたりするのである。沖田に愛を奪われたからこそ、彼女は沖田から愛を取り戻そうとした。そして、それは悲劇の終焉を早める自虐行為でもあった。 ■安藤昇先生の魅力を堪能せよ! ![]() 「昔の俺にそっくりだと言った奴がいる」 安藤昇(1926− )先生。さすがに昭和の激動の時代を身一つで切り開いただけのことはある。オレは基本的にヤクザ崇拝者でもなんでもないが、この人の生き様だけには感嘆を抱かざるを得ない。戦後の日本において、政官財は悪徳の限りを尽くし、今に至って善人ヅラして踏ん反り返っている。そんな人間のクズとは対極の位置に存在するのが、安藤昇先生だろう。 とにかくこの作品の安藤昇先生は格好良すぎる。クールに凄みを利かせるその自然体の迫力。この人の存在感はやくざ映画においては後光のように輝いている。しかも二人の配下に控えるは、室田日出男と八名信夫という素晴らしさ。 ![]() 一方、沖田を野良犬のように責め殺す非情のやくざを演じる待田京介(1936− )。すぐ切れる男を演じる待田もさすがに魅力的だ。 ■死に際をとことん醜く咆哮してやれ! ![]() 「一度負け癖のついた犬はな!それっきり噛み付くことさえ忘れちまうんだ!オレタチだって同じことよ!一度逃げ足を覚えた奴は絶対に浮び上がることは出来ねえよ!」 狂犬の二人がボロ雑巾のように殺されていく中で、最後の力を振り絞って道連れにしようとする沖田。しかし、あろうことか今まで沖田をかばってくれた矢頭(安藤昇)を刺してしまう。そして、遂に敵に一矢報いることなく一方的にボコボコにされ死に果てる沖田だった。 その姿はまさしく狂犬ヤクザの現実そのものであり、ご都合主義に満ちた東映任侠路線に引導を渡した瞬間でもあった。涼しげな顔で高級車で去っていく敵の郡司(待田京介)。そして、君代の死体の傍に転がる赤飯のおにぎりと沖田の憤死死体を燦々と照らす太陽のコントラスト。 こうして東映実録ヤクザ路線の決定打は放たれた!かくして時代は60年代末から70年代初めにかけてのヒッピー、クールに物事をこなす流儀から、ブルース・リーを始めとする咆哮する野郎どもの熱き時代に突入していく。 − 2007年11月28日 − |
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