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怒りの荒野   I GIORNI DELL'IRA / DAYS OF WRATH(1967・イタリア/ドイツ)
■ジャンル: 西部劇
■収録時間: 115分

■スタッフ
監督 : トニーノ・ヴァレリ
脚本 : エルネスト・ガスタルディ / トニーノ・ヴァレリ
撮影 : エンツォ・セラフィン
音楽 : リズ・オルトラーニ

■キャスト
ジュリアーノ・ジェンマ(スコット・マリー)
リー・ヴァン・クリーフ(タルビー)
ワルター・リラ(マーフ)
ルカス・アンマン(カッチャー判事)
アナ・オルソ(アイリーン)
エンニオ・バルボ(ターナー)
アンドレア・ボシック(マーレイ)
怒りの荒野
オヤジの説教にイチイチしびれるウエスタンバカに捧げられた傑作西部劇!ルールその一!がなんとその十まである!普通ならルールその三くらいまでが精々だろと思うのだが、このオヤジは十まで言い放つ!そして、このルールそのなんとかが、ルール好きな日本人のサラリーマン心をくすぐった。ルール1「笑顔で挨拶しよう」ルール2「お客様第一主義」なんて言わせたがりなエセ経営者世代が、しびれにしびれたクソったれウエスタンに、一緒になって楽しめるクソ溜めバカ野郎達の咆哮を感じよ!

■あらすじ


メキシコとの国境近辺の町クリフトンで売春婦の私生児として生まれたスコット(ジュリアーノ・ジェンマ)は、肥溜め運びなどの使役をさせられ、町でもつま弾きものだった。そんなスコットにも夢があったガンマンとなり町の人々を見返すという夢を・・・そんなある日、タルビー(リー・ヴァン・クリーフ)という凄腕のガンマンがやって来た。そして、スコットはタルビーに弟子入りするのだった。


■スパゲッティ・ウエスタン!


1960年代アメリカにおいて西部劇は、終焉を迎えようとしていた。そんな時代にイタリアからスパゲッティ・ウエスタンの波が押し寄せてきた。そうセルジオ・レオーネの『荒野の用心棒』(1964)の登場である。ある意味奇妙な現象なのだが、ジョン・フォードを筆頭とするハリウッド製の西部劇に惹きつけられ、強い影響を受けた黒澤明。そして、そんな彼の影響を最も受けて作られたのが、このスパゲッティ・ウエスタンなのである。

スパゲッティ・ウエスタンのスター二人を迎えて作られた作品が、本作『怒りの荒野』である。この作品の魅力はその劇画的な展開にある。残酷描写は抑えられているが、有り得ないまでの男臭さが臭く演出されている。そして、あまり練りこまれていない脚本が逆にいい味を出している。



■説教バカの子守唄を聴かされ 震えて眠れ!


まず設定がいい。主人公は、売春婦と客の誰かの間に生まれた私生児であり、成人してからは町でも最も卑下される仕事しかさせてもらえないため、肥溜め運びを生業としている。そして、物語のオープニングで、コレでもかというほどに苛め抜かれている。

そんな時一人のワルが登場する。鷹のような風貌の凄腕ガンマン・タルビーである。そして、唐突に主人公は弟子入りするのだ。ココからがこの作品の魅力であり、全てである。ガンマンのルール10を語っていく展開がである。
そうこの作品の魅力は、オヤジの説教にイチイチしびれるバカヤロウどもに捧げられた子守唄のような作品なのである。

オレはだからこの作品を別名
「説教バカの子守唄(ララバイ)」と呼んでいる。


■咆哮するエレキ・ギターに痺れよ!


怒りの荒野 怒りの荒野
この作品には、芸術的な要素は全くない。むしろ娯楽性にどっぷりつかって作られたような作品だ。ただただ観ているヤツらを楽しませてやろうという本能だけで作られている。そして、まずこのオープニング・タイトルのセンスから、驚かされる。

かなり安っぽくて、正直かなりのダサさ。しかも、滑稽さを感じる程にシャッフルされる二人のスターのシルエット。しかし、反面リズ・オルトラーニの音楽が切れに切れている。このダサいタイトルバックと男臭い音楽のギャップが何故か観ているヤロウどもを痺れさせる。


■“ガンマンの心得10か条” 別名リー・ヴァンからの教えその10


リー・ヴァン・クリーフ
とにかくこの作品の魅力は、タルビーがスコットにガンマンの心得10か条を伝授していく流れにつきる。そして、なんとなくその場の雰囲気で勢いで言ってるようなリー・ヴァン・クリーフ(1925−1989)の胡散臭さがまた凄く良い。それに対してスコットがガンマンとして何故か凄腕になる説得力の無さが、少ししらける要素ではある。

ガンマンのルールその一! 相手にものを頼むな

そう、頼む≠フではなく全て脅して、騙して奪い取れ!ということらしいが、もっと良心的な解釈をしてみると面白い。誰かに聞く前にまずは自分で考えろ!∞回りを見回して生きるな!≠ネんか今を生きる我々に必要なルールその一かもしれない。さらに・・・

ガンマンのルールそのニ! 決して他人を信用するな

う〜ん。梶原一騎テイストでいいなぁ。信じるのは自分のみの世界観。それでいて、唯一心を許した相棒に改心されてしまい、裏切られてしまうっていうのもいかにもそれっぽくてよい。しかし、これってルール一とほとんど同じではないのかい?まあそんな野暮な突っ込みはせずにさらに・・・

ガンマンのルールその三! 銃と標的の間に立つな

ムム・・・あったりめぇだろ?これって心得じゃなくて言われなくても分かるよな?要するに常に攻撃する側にまわれ、もしくは、中立はガンマンにとって敗北を意味するから、考える前にまず標的を撃ってから考えろ!ということである。

しかし、もうコノ時点で、ほとんどの観客は、ジェンマよりもリー・ヴァンの魅力に痺れてしまうだろう。それくらいこの作品のリー・ヴァンは男の色気がムンムンしている。あのしかめっ面のしかめっぷりの渋さといい服装の着こなしといいまさに一遍のスキもない凄腕ガンマンの説得力に満ち溢れている。


■格好良すぎる奇跡の股抜きショット!


怒りの荒野
ガンマンのルールその四 パンチも弾と同じだ!最初の一撃がものを言う

まさに先手必中である。あせって先手を撃つのではなく、狙って先手を撃つことが勝利を引き寄せる。これって結構今の世の中でも使えるよな?とくに女性を落とすときには。

ガンマンのルールその五 傷を負わせたら殺せ 見逃せば自分が殺される

このセリフにおいてのリー・ヴァンの股越しショットの構図がカッコイイ。とにかくオヤジがしゃがみこんで一撃かます様は実に新鮮に格好良い。


■ルールその十一 偉そうに他人を説教しているうちに危機はやってくる


怒りの荒野
ガンマンのルールその六 危険な時ほどよく狙え

これは、正直ルールその四と殆ど同じ。

ガンマンのルールその七 縄を解く前には 武器を取り上げろ

ガンマンのルールその八 相手には必要な弾しか渡すな


まさに誰も信じるなの一言で済んでいることの繰り返し。しかし、リー・ヴァンが危機に立たされ(っていうかこのオヤジこそガンマンの心得を偉そうに吐いてる割には死を弟子に救われているのだが・・・)ジェンマに救われるシーンはかなり高揚するシーンである。


■リー・ヴァンの立ち振る舞いの美学=レオーネの美学


「よかろう好きな方法で死ぬがいい」

先込式銃を使用しての馬上での戦いの迫力は凄い。とにかくこのシーンのカット割りには迫力がある。そして、決闘の発想もハリウッドにはない斬新さがある。この作品のハイライトは間違いなくこのシーンだろう。

怒りの荒野
ガンマンのルールその九 挑戦を受けなければ全てを失う時がある

そして、スコットが正義に目覚め、タルビーを裏切るのだが。それからのガンファイトがアクロバットな軽やかさに満ちていてなかなかよろしい。しかし、自分で銃を投げた振りして撃つしょぼさとイチイチガンマンの心得を唱えながら殺していく姿はお世辞にも格好いい演出とは思えないが・・・

怒りの荒野
最後のルール 殺しは覚えたらやめられない

間違いなく最後のルールは格好良く締めくくれたな。こういうルールを吐く時は最後のルールの格好良さが全てである。そして、最後にタルビーにトドメをさし、去っていくスコット。ガンマンの心得を忠実に守りながら最後の戦いに臨んだにも関わらず、恩人の形見の銃を放り投げ、去っていく説得力の無さ。

スコットは
「一度殺し屋になることを選んだからには、死神について回られる」ことになるだろう。そして、恐らくスコットもタルビーのように死に絶えていくのだろう。というケレンミ溢れる終わり方を、このレベルの監督に求めてもしょうがない。

それにしても最後の最後まで格好良かったのは、リー・ヴァンだった。あの最後の決闘シーンで、階段をゆっくりと降りる所作の姿勢の格好良さったらありゃしない。


■イタリア産西部劇にはヨーロッパ美女の違和感も魅力の一つ


クリスタ・リンダー クリスタ・リンダー
本作に清涼剤のように登場するどうみてもヨーロッパ人のこの美女。クリスタ・リンダー(1943− )。彼女は1962年ミスユニバースのオーストリア代表の女性だった。セミファイナルまで残ったという。なかなかガーターベルトの艶めかしい姿を見せてくれるのだが、ただの添え物的な役割に留まっていた。

リー・ヴァンに本作は持っていかれたとはいえ、ジュリアーノ・ジェンマ(1938− )という
アラン・ドロンのような甘いマスクの持ち主が西部劇の主役を張るという発想は、意外に斬新である。

監督のトニーノ・ヴァレリ(1934− )は、『夕陽のガンマン』(1965)の助監督も務めた。他に『さすらいの一匹狼』(1966)、『ミスター・ノーボディー』(1973)などの監督も務めたが、今一つ傑作といえる傑作を生み出せなかった。ちなみに本作の撮影はスペインのアルメニアの荒野で行われた。

− 2007年11月14日 −


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