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インファナル・アフェア   INFERNAL AFFAIRS / 無間道(2002・香港)
■ジャンル: ドラマ
■収録時間: 102分

■スタッフ
監督 : アンドリュー・ラウ / アラン・マック
製作 : アンドリュー・ラウ
脚本 : アラン・マック / フェリックス・チョン
撮影 : ライ・イウファイ / アンドリュー・ラウ
音楽 : コンフォート・チャン

■キャスト
アンディ・ラウ(ラウ)
トニー・レオン(ヤン)
アンソニー・ウォン(ウォン警部)
エリック・ツァン(サム)
サミー・チェン(メリー)
ケリー・チャン(ドクター・リー)
インファナル・アフェア
偽りの自分を演じ続ける二人の男。一人は警察に送り込まれたマフィアの構成員。もう一人はマフィアに送り込まれた潜入捜査官。もうこの設定だけで勝負アリである。文句なしに素晴らしい香港映画。今の日本が失っている役者のパワーと物語の熱気を感じる作品である。

■あらすじ


覚醒剤取引で巨万の富を生み出しているマフィアのボス・サム(エリック・ツァン)の新しい取引を妨害するために長年の潜入捜査で疲れ切っているヤン(トニー・レオン)に新しい指令が与えられる。一方、捜査の指揮をとるウォン警部(アンソニー・ウォン)の配下にはラウ(アンディ・ラウ)の姿があった。実は彼はサムが送り込んだギャングだった。


■ストーリーと役者の勝利!


インファナル・アフェア
ある種衝撃のオープニング。そのCGで映し出されるタイトル・バックを見て感じるはかなりの「安っぽさ」と「センスのなさ」である。音楽もゲーム音楽的で薄っぺらな陳腐な壮大さに満ちている。しかし、そんな安っぽさもわずか5分も立つと吹き飛んでしまうほどの魅力的な世界観に引き込まれていく。

とにかく「警察上層部に侵入しているマフィアの構成員」と「マフィアのボスの右腕となっている潜入捜査官」という設定が素晴らしく、見事な緊張感を生み出している。また香港映画の最大の魅力でもある半ば強引にストーリーを突っ切っているところが素晴らしい。

やはりこの感覚はある種古き良きハリウッド映画の感覚でもあり、大陸に住む民の豪胆さだろう。
大きな破綻は気にせず小さな破綻を気にする日本のような島国根性の中ではなかなか作り上げにくい作品である。思い切った作品は大胆な着想でのみ生まれるのである。


■脂の乗り切った2人の再会


インファナル・アフェア
香港映画の凄さは、デュマが『モンテ・クリスト伯』で示した
「絶対にありえない状況を通して人間ドラマの恍惚を描き出す」という観点にある。この実に思い切った物語に対する切り口が香港映画の昔からの伝統であり魅力である。

そんな世界観を反映させるアジアの名優2人トニー・レオンとアンディ・ラウの魅力。潜入捜査官ヤンを演じるトニー・レオン(1962− )は、ヤンの行き場のない四面楚歌な状況や、すさみ切った生活の中から描き出される
「悪への同化と正義への使命感」のうつろな浮遊感を見事に漂わせている。

これほどの名演をしたトニー・レオンが香港電影金像奨の主演男優賞を受賞したことにより、この賞の価値はあがった。ちなみに助演男優賞をアンソニー・ウォンが受賞している。賞という物は、やはりその受賞者のレベルにより価値が生まれる。日本の賞に価値が全く生まれていないのもそれは選考するレベルの驚異的な低さからだろう。

一方、アンディ・ラウ(1961− )はラウという「警察にもぐりこんだマフィアの構成員」を演じているのだが、これまた全くスキのないエリート警官ぶりとその不敵さを、相変わらずシャープでハンサムな風貌で演じあげている。まさに本作はこの超一級の香港の2人の俳優の存在があったからこそ出来上がった世界観でもあるのである。


■俺は死体とは握手しないんだ!


インファナル・アフェア
そして、脇を固めるこの2人。アンソニー・ウォン(1961− )とエリック・ツァン(1953− )の存在感。この作品この2人と主役の2人の交錯が最高に魅力的だ。特にアンソニー・ウォンの格好良さは神がかり的で、
このオヤジは「一見冴えないオヤジ」転じて「いつの間にか一番格好いいオヤジ」の印象を見ている側に植え付ける天才役者である。

そして、この画面を一気にアンソニー・ウォン色に染め上げる魅力に拮抗する魅力を発散していたのが、『福星』シリーズでチビでデブないじめられキャラを演じていたエリック・ツァンである。果てしない演技力。この2人には年輪を重ねた男のみが出せる色気が漂っている。

画面上を見ていると明白なのだが、これら40男4人とエディソン・チャン(1980− )、ショーン・ユー(1981− )という2人を比べてみると、
年輪の重ね方次第では、磨き上げられた40男の魅力に、「若さ」では到底敵わないことが良く分かるのである。


■3人の中華美女は絶対必要!


賛否両論の女性2人ケリー・チャンとサミー・チャン。あくまでもこの2人はゲスト出演であり、物語の邪魔を全くしていないばかりか、重要な要素を担っていたので、必要不可欠な要素だった。この女性陣の存在ゆえに本作が、男だけの映画ではなく、女性にも共感できる内容と昇華したのである。

最もケリー・チャン(1973− )の相変わらず無表情な芝居よりも、やはりサミー・チャン(1972− )のさばけた女っぷりの芝居の方が魅力的である。このサミーの緩さがアンディ・ラウの芝居に一つの良い結果を生み出していた。

そして、ヤンの元彼女役でエルバ・シャオ(1979− )が出演している。コケティッシュなR&B歌手で、その美脚全開の艶めかしいファッションと色気発散振りで神星「歌姫」扱いされている彼女だが、すごく清楚な女性役で出演している。彼女は台湾で広東語が話せないということもあり、セリフが吹き替えのせいもあったのだろうが、表情の作り方等もかなりイマイチだった。

ちなみにケリー・チャンが乗っていた真珠色のカブリオレの高級車。かなり格好いいのだが、この車は日本で言うトヨタのソアラである。海外ではレクサスSC430と呼ばれている。


■本作の特化した部分の明暗部分


インファナル・アフェア インファナル・アフェア
音楽を担当するコンフォート・チャンは、『風雲ストームライダーズ』(1998)のあの薄っぺらいゲーム音楽風のスコアを担当しただけあって、才能の欠けらも見出せない男で、まさに手っ取り早く稼ぐ曲を作るタイプである。そんなこの男のが、ほぼ唯一この作品の足を引っ張る結果となっていた。

この音楽の世界観の幼稚さ。唯二つマシだったのは、
ウォン警視が殺害されたシーンの美しい声音に包まれた音楽と緊張感溢れる描写で流れるスリリングなスコアである。最初の方でラウとヤンがスピーカーの音楽を聴くときに流れる音楽のセンスなぞは、オペラを使うよりはマシだが、かなりのあざとさだった。基本的に物語を盛り上げるスコアは陳腐なものが多く作品の風格を見事に削ぎ落としている。

しかし、他の全てが素晴らしいので、彼のダメさ加減は全く払拭されているのも事実である。特に、クリストファー・ドイルが撮影に協力しているだけあってカメラワークが素晴らしい。
ビルの屋上のシーンの香港という雑多な町のイメージを払拭する美しい港都市ぶりを映し出す青空とビルと山のコントラストを映し出したカメラワークはさすがである。この作品においてカメラワークが貢献している部分は多大である。


■最後に涙のカタルシスが・・・


トニー・レオン
とにかく本作は全編に渡って素晴らしいほどの緊張感に満ちている。「悪」と「正義」が錯綜する二重生活を送る2人の男性の根本的な孤独の日々の苦悩。そんな中でも賢明にあがく姿。
この作品の魅力は、「人形遣いから逃れられない二体の感情を持つ人形」が、その紐をいかに切ろうかと悪あがきする姿にあるのである。やがてその紐が二体の人形同士絡み合ってしまい「抜群の緊張感」が生まれる。

そして、文句なく素晴らしい最後の終幕へと導いてくれるのである。冒頭がエンディングに投影されるこのラストシーンが、操り人形の人生を強制された男たち2人の悲しい眼差しと共に、観客を涙のカタルシスへと誘ってくれるのである。
2人の男の「若さ」が「成熟」へと変貌していく横顔に男も女も涙できる作品・・・だからこそこの作品は名作と呼ばれるに相応しい作品なのである。

ただし、このラスト寸前の以下の描写に対しては全く評価に値しない。結局は「悪」であったラウが生き残り、「正義」を手に掴み、過去の「悪」を密かに埋葬して警察組織でのエリートの道を登りつめようとするのだが、一方、死んでいったヤン。彼は「正義」の為に「悪」の世界に入り込み、やがて「悪」の世界との同化に恐れおののき、そして、這い上がれずに死んでいく。

その姿は英雄的ではあるが、当事者にとっては無残以外の何者でもない。
「死んでから英雄と讃えられることの空しさ」に満ちた演出よりも、「死んでいった君が羨ましい」という終わり方である。この「無間地獄」という絶え間なく地獄は続くという概念に絡め合わせた思想が物語中に漂うのだが、全く説得力の無い自己憐憫の思想なので私はこの部分に関しては、この映画に全く興味はない。

カミュの「シーシュポスの神話」で描かれている絶え間なく続く地獄の中での「人間の尊厳」を指摘せずに、この「無間地獄」の中途半端な解釈をもって無常観を描くと言うところには正直うすっぺらさを感じる。しかし、そんな不満な部分を遥か彼方に吹き飛ばす魅力がこの作品には満ち溢れている。

掛け値なしの21世紀の傑作映画である。


■ハリウッドさえも嫉妬したその発想の奇抜さ


『インファナル・アフェア』の企画は、2001年にアラン・マックがアンドリュー・ラウのもとに脚本を持ち込んだ時から始まった。4000万香港ドルという巨費をかけ2年の月日をかけて作られた作品だが、撮影自体は2ヶ月という短期間で終了している。元々2部作で考えられていたが、予想以上の空前の大ヒットに、急遽第2章として、ヤンとラウの青年時代を製作することになった。

そして、この作品はハリウッドが2004年に香港映画史上最高額でリメイク製作版権をブラッド・ピットが購入したことでも話題になる。結果的に2006年『ディパーテッド』としてマーティン・スコセッシ監督レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン出演で公開され大ヒットを記録した。

− 2007年8月14日 −


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