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仁義なき戦い 代理戦争   (1973・東映京都)
■ジャンル: 東映ヤクザ
■収録時間: 102分

■スタッフ
監督 : 深作欣二
原作 : 飯干晃一
脚本 : 笠原和夫
撮影 : 吉田貞次
音楽 : 津島利章

■キャスト
菅原文太(広能昌三)
小林旭(武田明)
加藤武(打本昇)
渡瀬恒彦(倉元猛)
金子信雄(山守義雄)
成田三樹夫(松永弘)
川谷拓三(西条勝治)
田中邦衛(槇原政吉)
梅宮辰夫(岩井信一)
仁義なき戦い 代理戦争
小林旭と加藤武の初登場組が濃い魅力を出している。まさにこの二人の魅力に対抗する形で前二作組がいい意味で男汁満開に迫真の芝居を魅せ合っている。ここから『仁義なき戦い』はヤクザ映画の舞台を借りた、「誰が一番目立つかぁ!」の役者の熱い芝居合戦に突入するのである。さらにそこに大部屋俳優も遠慮なく目立とうと目を血走らせながら乱入していくのである。

■あらすじ


『仁義なき戦い』第三弾。昭和35年9月広島最大のヤクザ組織・村岡組のNo.1がヒットされる。打本組組長・打本昇(加藤武)を跡目に押そうと広能昌三(菅原文太)らは画策するも、肝心の打本は、及び腰で役に立たなかった。一方呉市の山守組組長・山守義雄(金子信雄)は虎視眈々と村岡組の跡目を狙っていた。


■衝撃的に格好良いオープニング・シーン


仁義なき戦い 代理戦争 仁義なき戦い 代理戦争
仁義なき戦い最高の「東映の波」バックの壮大なファンファーレ音楽!まさに血の序曲に相応しい。


私は『仁義なき戦い』シリーズは、菅原文太と田中邦衛と金子信雄とそして、もう1人の役者で成り立つと考えている。その男は、小林旭である。そして、この作品から小林旭が登場することとなる。

物語はいきなり暗殺シーンから始まる。広能昌三(菅原文太)や打本昇(加藤武)らが、広島市内を歩いているところにチンピラが靴紐を結ぼうとしてしゃがんだ振りをして、間合いを計り、彼らが近づいたところで銃をぶっぱなして標的の組長の殺害に成功するのである。このシーンは、『仁義なき戦い』シリーズを通しても出色の出来の衝撃的なシーンである。


■文ちゃんこそ日本のブルース・リー!


仁義なき戦い 代理戦争
ところで1973年というと、ブルース・リーの『燃えよドラゴン』が全米公開された年である(日本公開は1974年)。それにしてもこの菅原文太の切れた時の表情の作り方。実にブルース・リーチックではないか。時代のヒーローというものはやはり多くの共通点があるのだろう。

それにしても女にテレビを買ってやるためにスクラップをくすねていた組員・西条(川谷拓三)を折檻しているシーンの昌三のシャツはいかつい。このあと落とし前をつけるために西条は、小指ならぬ手首ごと自ら切り落とすのである。
このシリーズの川谷拓三。まじで敗北感あふれる芝居で観客を圧倒してくれるのである。この作品あたりから彼は本格的に目立ち始めたのではないだろうか?この役は、荒木一郎の代役で手に入れた役で、川谷拓三の名前がポスターに初めて掲載されたのである。

仁義なき戦い 代理戦争 仁義なき戦い 代理戦争
しかし、指詰めならぬ腕詰めとは、邦画史上初じゃないだろうか?しかもテレビを買ってやった女と言うのが池玲子様(1954− )というのがかなり幸の薄さリアルでよろしい。


■のぉ〜やさしいパッパちゃんよぉ


山守組に戻ることになった昌三だが、山守組長(金子信雄)の横暴ぶりに早くも衝突してしまうのである。この『代理戦争』では山守のワルいオヤジぶりがたっぷり堪能できる。チョイワルではなくまさにチョウワルオヤジなのである。

「親のやることに文句つけるんなら、お前の首くらいいつでもすげかえてくれちゃるんど」

「おまえ広島に出てけ、呉におるとめざわりじゃ!」


逆切れしたときの山守のセリフは何気にいかつくて格好良い。

仁義なき戦い 代理戦争
そして、伝説の美女・中村英子登場。今回の英子様は、和服にブルーのアイシャドウといういかにもお水なお色気むんむんモードである。何気にこのクラブでの金子信雄のタバコの吸いっぷりも、すごくよろしい。ここまで悪いオヤジだと惚れ甲斐があるというものである。

「のぉ〜やさしいパッパちゃんよぉ」とクラブのホステスにセクハラし放題である。ここまでエロオヤジぶりを全開してくれると逆に、期待してしまうものだ。シリーズを通しての金子のエロオヤジぶりを。


■知らん仏より、知っとる鬼の方がましじゃけの


打本を山守の対抗として村岡組の跡目に継がそうと画策したが、打本の器の小ささにうんざりした昌三は、関係が良くない山守を村岡組跡目に推す決意をする。その時のセリフが最高にいかつい。
「知らん仏より、知っとる鬼の方がましじゃけの」

山守組長の村岡組襲名の祝いの席で、打本をいびりまくる山守。いいよなぁこの加藤武と金子信雄コンビ。
「広島におってよ〜わしらより大事な客はあるかい。こういう馬鹿ですけん前々から村岡さんもさじなげられとったですわい」
「おい打本。相原さんもこういわれちょるけん。わしの組来てはたらかんか〜?あ〜?」
「だ〜れが舎弟にっていうちょるかい〜こんなが若衆にさせてくれ言うてきたらつかあちょろ〜いうとるだけよぉ〜」
「あらぁ、お前泣きよるんか? 泣かんの・・ 泣かんのよ  おぉっ! 」


山守のいびりように泣く打本を、慰める昌三。しかし、逆ギレされるはめに。
打本「まあ見とれ!わしはいずれ山守をつぶしちゃるけん。そんときは真っ先にそっちを的にかけちゃるけんのぉ!」
昌三
「とるんなら今ここでとりなぁ〜や!お〜!能書きはいらんよぉ!こいいうたらいつでもこいやぁ!まっとるでぇ!」
この「でぇ〜〜!」の凄みが半端じゃない。この語尾を真似できるやつはまさに神!


■邦衛のこすさ、かなり濃いのぉ〜


仁義なき戦い 代理戦争 仁義なき戦い 代理戦争
打本・明石組連合との戦争に、昌三以外みんな尻込みしている状態に怒り心頭の昌三。槙原(田中邦衛)に至っては、「組離れるけん骨拾うてくれ」と明石組に泣きついていたことを暴露されて、山守の水虫薬を塗ってごまをすり許しを請う槙原。
田中邦衛のこすさい魅力全開!このこすさかなり現代的!

仁義なき戦い 代理戦争
このショットはっきりいってかなりの奇跡ショットである。左から田中邦衛、菅原文太、中村英子、金子信雄、山城新伍、成田三樹夫、小林旭がワンフレームに収まっているのである。あるものは芸者と戯れ、あるものは密談を交わし、あるものは聞き耳を立てて・・・
そうやくざ映画が政治ドラマに変貌していった決定的な瞬間である。昌三は山守に聞こえよがしに言う「大体おやじがだらしのうて敵味方の筋ががたがたじゃけん。こっちも安全保障つけとかにゃなるまが」と。

『仁義なき戦い』がどうしてこれほどの人気を誇っているのか?それはVシネマのようにやくざ俳優が集まって実録やくざ映画を作ったからではなく、性格派俳優が集まって実録やくざ映画を作ったからである。そこらへんに明確な違いが現れている。そして、Vシネマは淡白で、東映実録やくざものは濃厚なのだ。


■三十路半ばの男のダンディズム味わえや!


小林旭(1938− )。この作品でのファッション。決まりすぎるほど決まっているやくざファッションだ。仁義なき戦いマニアの間では、菅原文太と人気を二分するほどの人気を誇っている。彼の「しょぉ〜ぞぉ〜」は何とも渋く格好いい。

そして、忘れてはいけないこの男35歳にしてこの貫禄。そう梅宮辰夫。
眉毛をそって、マイク・タイソンばりの切込みを頭部に入れて。体重までも増量しての熱演(ここにおいては芝居のためかどうかはさだかではないが・・・)。梅宮辰夫は、何気になりきり俳優でかなりの芸達者である。彼の演じたやくざのバリエーションは、東映でも最も多いだろう。そして、意外に警察サイドを演じることも多く。またそれはそれで違和感がないのである。役者としての梅宮辰夫をもっと再評価すべきであろう。

「しょうちゃん。車で通ったらポスターはったったさかい寄ってみたんや。元気でやっとんな」
くぅ〜迫力すげ〜〜。しかもその時の打本の表情のしょぼいことしょぼいこと。


■おうっくやしければ勝負せんかいぃぃ!


山守を追い込もうと策をめぐらすも、武田明(小林旭)に裏をかかれ破門される昌三に対して、ここぞとばかりに槙原が吼える!
「ははははははぁ〜ざまぁ〜みやがれ!おうっくやしければ勝負せんかいぃぃ!」槙原が本作で一番こすっからしい瞬間である。まさに機を見るに敏とはこの男のためにあるような言葉である。

広能組の倉元猛(渡瀬恒彦)は、昌三を暗殺しようとしたそんな槙原を殺害しようとするも西条に密告され、返り討ちにあい殺されてしまう。最後、猛の母の持つ骨壷に、骨を入れる昌三。何ともいえない表情で骨壷を手に持ち外に出たとたんに、槙原の刺客達が襲撃する。幸い無傷ですんだが、猛の骨壷は木っ端微塵に破壊され、路上にまだ高熱を持った骨が飛び散る。それを見て泣き崩れる猛の母。やけどするくらいに熱い骨を素手で握り締め握りつぶす昌三とその後ろに控える漢たち・・・。

仁義なき戦い 代理戦争
この瞬間に思い出すあのシーン。
「ゲタそろえてやらんかい!」「挨拶して送らんがい!」ばしっと昌三に殴られ、猛は「母ちゃんヨィー」と母に直立不動で頭を下げる。このシーンがあるから最後のシーンも一層感傷的なものとなっているのである。

「戦いが始まるときまず失われるものは、若者の命である。そして、その死はついにむくわれたためしはない。こうした死を積み重ねつつ広島やくざの抗争はさらに激しく拡大の一途をたどっていったのである」のナレーションで締めくくられるのである。


■このカタルシスが満たされないカタルシス


『代理戦争』は、きわめてよく出来た作品である。まずやくざの政治学を見事に描き出した点が素晴らしい。入り混じった人間関係の中裏切りあいが行われるのだが、その中でも、渡瀬恒彦演じる倉元猛の存在が光っていた。やくざ社会でのし上がっていくシステムを、明確にして見せ、ぼろ雑巾のように殺されていくその姿は、広能昌三の若い頃と見事にかぶるのである。

それだからこそ、ラストの昌三のあの何ともいえない表情につながるのだろう。さらに言うと、戦争の理由も昌三と山守の内輪喧嘩から始まっているだけに、昌三もそんなことのために若いモンが殺されていく構図にへどが出るほどうんざりしているのだろう。

何が何でも勝つことに昌三は、もう価値を見いだせなくなってしまった瞬間なのである。

かつてやくざ映画は仁侠映画やギャング映画のように、ファッション、ムード的な部分でのみ取り上げられてきた。しかし、そんなやくざ映画のパターンを見事にぶち壊したのが、このシリーズであった。
徹底的な現実主義。悪いやつがやられるわけではない構図。カタルシスが満たされないラスト。極めて現実的なのである。そういった新しいものを生み出していこうとするパワーと、各々の役者たちが自分自身の役者としての可能性を広げていこうとする欲望が見事に融合したのが本作品である。

そして、新しいパターンは、やがてマンネリへと向かっていく。今のVシネマも相変わらず実録やくざ路線である。しかし、
この近作のやくざがやくざの日常を演じているといった感覚には、正直私はついていけないし、その中に価値を見出せないのである。

− 2007年7月18日 −


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