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ジャガーノート   JUGGERNAUT(1974・イギリス)
■ジャンル: パニック
■収録時間: 111分

■スタッフ
監督 : リチャード・レスター
製作 : デヴィッド・V・ピッカー / リチャード・アラン・シモンズ
脚本 : リチャード・デコッカー
撮影 : ジェリー・フィッシャー
音楽 : ケン・ソーン

■キャスト
リチャード・ハリス(ファロン)
オマー・シャリフ(ブルネル船長)
イアン・ホルム(ポーター専務)
アンソニー・ホプキンス(マクロード警部)
シャーリー・ナイト(バニスター婦人)
デヴィッド・ヘミングス(チャーリー)
ジャガーノート
1970年代に生まれたなら、やっぱり男も女もリチャード・ハリスだろ!?ハリスを知らない70年代生まれも今からでも遅くない、まず『ジャガーノート』から見ろ!そして『ワイルド・ギース』で止めを刺されよ!さぁ皆さんご一緒に!「ファロン・イズ・ザ・チャンピオン!」

■あらすじ


1200名もの乗客を乗せイギリスからニューヨークへと処女航海する豪華客船ブリタニック号。嵐の中の航海の最中ロンドンの船舶会社の専務宅に電話がかかる。「私の名前はジャガーノート。ブリタニック号にアマトール爆薬7000ポンドの7つの時限爆弾を仕掛けた。50万ポンドと引き換えに解除方法を教える。期限は夜明けまでだ」。直ちに爆弾処理のエキスパート・ファロン中佐(リチャード・ハリス)が召集された。果たして7つの爆弾は無事解除されるだろうか?1200名の乗員乗客の命は?


■本物の役者を観たけりゃリチャード・ハリスを見よ


ジャガーノート
そこに本物の男≠ウえ居れば、派手なアクションも女の裸もいらない!
この作品にはそんな言葉が似合う。リチャード・ハリスはまさに「無敗のヘビー級チャンピオン」だった。今のハリウッドにも日本にも軽量級はたくさんいるが、彼やブロンソンやマックィーンに勝てるような男臭さ溢れるヤツラ≠ヘなかなかいない。

最近のハリウッドスターはどいつもこいつも普段はダブダブの体つきを映画の何ヶ月か前に、専用トレーナーをつけて体をシェイプしているので、男臭さよりも嘘くささが漂ってくる。そんなジャニーズのチンケな世界観と大して変わらない嘘っぽさに満ちた昨今の俳優が、幅を利かせば利かすほど、オレの70年代生まれの血が、まだ男に男らしさが残っていた70年代のヤツラ≠求める。

昔の映画の中には、男にとっても女にとっても、痺れさせてくれる人達が一杯いた。そして、今・・・役者は映像技術の添え物に成り果てつつある。魅力的と言われる役者でさえも安心感か安定感のみで指示されているそのお粗末さ。
個性は失われ、情熱も失われ、全ては「この人が出てくると安心する」という次元でしか役者の価値は成り立っていない。「デンゼルの作品ならまず退屈しない」その程度の次元である。


■犯行予告のタイミングも絶妙


ジャガーノート ジャガーノート
「マイ・ネーム・イズ・ジャガーノート」


この爆破犯のネチネチしたイントネーションが堪らない。そして、この犯行予告の電話までの展開も観客にその世界観に溶け込ませるための猶予の役割を果たしている。昨今の映画のような展開だけ速くてその世界観に溶け込むも、へったくれもないジェットコースタームービー≠ニは趣きを異にしている。

犯行予告が捲き起こすパニック映画で、重要なのは「何かが起こる」までの導入のタメの部分だ。特に育児に手一杯の冴えないオヤジにかかる一本の電話が、発端というシチュエーションのギャップが実に素晴らしい。

「爆弾は夜明けを待っている」

脅迫電話から一転して映し出される画面一杯の赤。そして、登場する爆弾処理のエキスパート・ファロン=リチャード・ハリス(1930−2002)。爪の先に黒いものが溜まっているという、いかにも技術屋の風体で、軽口を叩きながら仕事に励む姿が、登場一分にして観客に有無を言わせぬ説得力を与えてくれる。


■全編の映像は本当に洋行上で撮影している


実際にソ連の大型船舶(正確には元々の持ち主だったドイツ人のオーナーがソ連に売り、手渡す寸前に格安でロケ用に使用してもらい、小遣い稼ぎした)を2週間レンタルし、塗装をしてブリタニック号に仕立て上げた。そして、
北海への無料ツアーと称して、手当たり次第にエキストラを集め実際に航海し、悪天候の中洋行上でロケ撮影された。

そんな中から生まれたリアリティも、本作の魅力である。特に船舶のオーナーから非難を買うことになる船上爆破シーンなどはなかなかのものである。他にもファロンらが航空機からパラシュートで降下して、ブリタニック号に乗り込むシーンなど、実際に荒れ狂う波の中撮影したので、スタントマンが溺死しかけたという。

そういったリアルな描写が中盤までに散りばめられていたからこそ、後半の緊迫した密室劇=ファロンの爆破物との格闘も手に汗握る展開になったのである。


■何気に素晴らしい存在感を示す太っちょの旅客係


ジャガーノート
本作はなかなかの豪華キャストで作られた作品だが、船長役のオマー・シャリフ(1932− )とその愛人役のシャーリー・ナイト(1936− )はイマイチ消化不良な役柄に徹している。一方、ファロンをサポートするチャーリーを演じたデビッド・ヘミングス(1941−2003)と陸地にいる専務役のイアン・ホルム(1931− )、警部役のアンソニー・ホプキンス(1937− )、船上で一人パーティーを盛り上げようとする娯楽担当の旅客係のロイ・キニアー(1934−1988)は魅力的な役柄を演じている。

特にロイとシャーリーが仮装パーティーでダンスするシーンが何気に素晴らしい。メインの爆弾処理以外に、乗員乗客の描写もしっかりと押さえているからこそ、より最後の爆弾処理に緊迫感がうまれるのである。
パニック映画の勝敗は一重に、多人数の登場人間の(深く掘り下げる時間はないので)浅くとも要領よく観客を惹きつけられるポイントを散りばめられるかにある。

そして、ロイ・キニアーの存在は、観客と登場人物に接点を持たせる親近感溢れる素晴らしい存在として機能している。
「道化役よりも、本心は私もみんなと同じように怯えたいんだよ」とシャーリーに言うシーン。間違いなく彼も危機に対して立ち向かっている一人なのだと観客が実感できる素晴らしいシーンである。


■綿密に積み重ねられた緊張感の上には、煽りの音楽も演出も必要ない


ジャガーノート ジャガーノート
「お前は相当出来るな。ジャガーノート。しかし、私も負けてはいないぞ」

「私の仕事は次の24時間を生き残ることだ」


爆弾処理に励むファロンの姿。ドラム缶の中に仕掛けられた時限爆弾。光センサーやワイヤーなどいたる所にトリガーが仕掛けられている中、ファロンとチャーリーがネジを一つ一つ緩めていく所から既に緊張感溢れるタッチで描かれる。ごく小さな動きでさえも緊張感へと繋げ、積み重ねていく事によって、最後のあのシーンの緊張感を爆発的なカタルシスへと転換させていく。

一度は船の揺れによってファロンは爆弾処理の失敗の被害から逃れる。しかし、その代わりにチャーリーがその間違った判断に従い爆死してしまう。神の采配・・・。ファロンは自暴自棄になり、爆弾処理を諦め、酒をあおるが、再び闘志を取り戻す。

手が震える自分に対して言い聞かせるファロン。
「何を怖がる充分に長生きした」と。そして、チャーリーを失った悲しみと死に対する恐怖心を押さえ込みあのシーンへと突入していく。ファロンが人間としての弱さを見せたからこそより緊迫感を持って、描かれるあのシーン・・・


■爆弾処理に二者択一を持ち込んだ最初の作品


ジャガーノート
「赤か?青か?」

爆弾処理の恩師でもある犯人に問うファロン。そして、犯人は答える「青だ」と。タイムリミットは近づく。(信じてもいいのだろうか?・・・)ファロンが考えた末に彼はとっさに赤を切る。赤を切って失敗したならば、「青を切る」とファロンは言っていたので、間違いなく部下達も赤を切って死んでいただろう。

しかし、ファロンはとっさの判断に賭けた。そして、勝利した。
「ファロン・イズ・ザ・チャンピオン」と手を叩く姿を映し出すロングショット。そして、朝日の中の甲板上で安堵する乗員乗客の姿。ロイの手に自分の手を重ね合わせるシャーリー。シャーリーは煮え切らない男である船長よりも、ロイという誠実に生きる男に心を通い合わせていた。二人の人生にも朝日が射し始めたのだ。

勝者は常に孤独なもの。真の勝者に駆け寄って共に歓喜する人々は誰一人いない。しかし、だからこそ勝者とは美しいものなのだ。ファロンは最後の最後に知っていた。恩人でもある犯人の思いを。政府はテロ再発防止の為には人命の被害は止むを得ないと言う。しかし、そんなテロを巻き起こしたのは政府自身の上ばかりを尊重して、下に対しては使い捨てという姿勢からなのだった。

そんな中で、ファロンの恩人も心が歪んでいった。いや彼も勝者になるために政府のように歪んだ心になろうと決心した。だからこそ勝利のためにファロンを陥れようと最後の最後に決意した。そして、ファロンはその心が理解できた。だから彼は勝ったのである。

− 2007年12月9日 −


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