HOME
■サイト内検索

■洋画
 □カタカナ順
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
 □クラシック
 □ドラマ
 □コメディ
 □サスペンス
 □アクション
 □ポリス
 □スパイ
 □犯罪
 □カー
 □ミュージカル
 □史劇
 □文芸
 □戦争
 □西部劇
 □アドベンチャー
 □パニック
 □ギャング、マフィア
 □SF
 □ホラー
 □スポーツ
 □香港
 □ドキュメント
 □アニメ
 □エロス
 □B級
 □アカデミー賞
 □カンヌ映画祭
 □ヴェネチア映画祭



■邦画
 □ひらがな順
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
 □名作
 □ドラマ
 □喜劇
 □サスペンス
 □アクション
 □刑事
 □時代劇
 □戦争
 □文学
 □パニック
 □東映ヤクザ
 □ギャング、ヤクザ
 □特撮
 □怪奇
 □ドキュメント
 □アニメ
 □エロス
 □B級
 □海外映画祭受賞
ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦   JUNIOR BONNER(1972・アメリカ)
■ジャンル: ドラマ
■収録時間: 103分

■スタッフ
監督 : サム・ペキンパー
製作 : ジョー・ワイザン
脚本 : ジェブ・ローズブルック
撮影 : ルシアン・バラード
音楽 : ジェリー・フィールディング

■キャスト
スティーヴ・マックィーン(ジュニア・ボナー)
ロバート・プレストン(エース・ボナー)
アイダ・ルピノ(エリー・ボナー)
ジョー・ドン・ベイカー(カーリー・ボナー)
ベン・ジョンスン(バック)
バーバラ・リー(シャーメイン)
ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦
深い確執の中、相手の期待にそって生きることが出来ない現実。それに対してお互いがお互いを尊重し合い生きていく。男女の関係においても、親子の関係においても最も重要なことは、お互いに過剰な要求をすることよりも、お互いを尊重しあい生きていく姿勢ではないだろうか?そして、男が器用になればなるほど女の魅力も相対的に失われていく理由がコノ作品に示されている。

■あらすじ


盛りを過ぎた元ロデオ・チャンピオンJB(スティーブ・マックィーン)は、自分が振り落とされた荒牛サンシャインを追って、故郷アリゾナ州プレスコットに帰ってくる。「シドニーで一山あててやる」と牧場まで売ってしまったロデオ・スターの父エース(ロバート・プレストン)や別居中の母、そして、実業家の兄とギクシャクした再会を交わしつつも、お互いの絆を確認しあう。そして、地元のロデオ大会で再び荒牛サンシャインと対峙するJBだった。


■カウボーイと馬は、車で移動する時代になった


ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦 ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦
この作品は、時代から取り残されつつある男を描いた作品ではなく、自分の生きがい≠フために生きることの出来る普遍的な男の生き様を描いた作品である。本当に自分のしたいことをするのならいろいろな犠牲が付き纏う。しかし、そんな中で生きている男の魅力が観ている心を捉えて離さない。

ジュニア・ボナーとはペキンパーそのものであり、マックィーンそのものだった。映画やレースに情熱をかけ多くのものを犠牲にし栄光を勝ち取った男たち。そして、顧みて現在、これほどの生き様の強烈さを見せ付けられる人々がどれだけいるのだろうか?

作中母は言っていた
「お前とお父さんは幸せな人間ね」このセリフは決して皮肉ではなく、母の本心だった。何かに賭けられる情熱を持ち続けることの出来る人生。これこそ男の生き様ではないか?現代人はそんな男らしさを去勢され、我慢することだけが美徳という美学を振りかざしているが、この作品の前にはそんな理論もただただ空しく聞こえてくる。


■ロンサム・カウボーイ 孤独を愛せる男


スティーヴ・マックィーン スティーヴ・マックィーン
孤独の中愛馬と共に、ボロボロのオープンカーを走らせるジュニア・ボナー(以下JB)。野宿をし、愛馬とリンゴをかじるその姿は淋しげだが、自分の時間を楽しんでいる男のゆとりがある。

値の張るオープンカーでJBを抜かしていくロデオ仲間が、後部座席に二人の魅力的な美女を侍らせている。「淋しくないのか?」「淋しいぜ(ロンサム)」と答えるJBの表情。しかし、この答えにはどこか余裕がある。そんなJBを見て一目惚れする二人の女性。

女は孤独な男に惚れる。それは友達がいない孤独ではなく、孤独を愛せる男という意味だ。しかし、そんな女たちも孤独を愛する男に抱かれ去っていく。彼が淋しいのは淋しさを愛してるからだった。独りでいる時を愛する男に女は最も惹かれ、やがてその最も惹かれた部分に寂しさを感じ去っていく。


■本物の男とは、規制された中では生きていけないもの


ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦
久しぶりに故郷に帰ると、その姿はどんどん変貌していた。父の牧場の家も取り壊され、両親は別居している事実をただ物悲しそうに黙って見つめるJB。母、兄、そして、父との対面。どこか居場所の悪そうな様子に見えて、実際の所居心地やはりうれしい肉親達との再会の一時。

「破産した?・・・人生の転機さ」

今の大企業の二世社長や、芸能人の息子、二世三世議員には、手に入らない言葉。そして、彼らとJBのような男の徹底的な違い。生まれながらの安定の上にあぐらをかく男と、本物の男の違い。社会が悪い方に安定すればするほど、本物の男は少なくなってくる。

それは男以上に女にとって悲劇なのだ。つい先週の水曜日(2007年11月中旬)ミナミの居酒屋で私と友人は食事していた。席について1時間くらいたち友人がトイレに行った時に、隣の22、3のカップルのうちの女性が、簾越しに声をかけてきた。後でその女性と電話で話していると、こっちの話の方が面白いからということだった。

つまり女性の感性が落ちてきたのは、周りの男のつまらなさに反比例してのことであり、本質的に女性は感性を求め彷徨う生き物なのだ。それはともかくとして、あのブルドーザーとJBが対峙し、バックさせられるシーンや、父の牧場の家が取り壊されるカットバックは、実に象徴的であり、効果のあるショットである。


■男たちが魅力的に子供になれる瞬間・・・


ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦 ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦
ロデオパレードの枠を飛び越えて暴走する60歳の父親と30代の息子。友達のようにはしゃぎながら馬を走らせるその姿。
本当にペキンパーという男は、オヤジたちが無邪気に悪ノリする姿を描くのが好きな人だ。そして、オヤジが悪ノリ出来ないことこそ、現代社会の本質だとも見抜いている。

馬と列車。開拓時代と機械化時代の境界線でもある駅のベンチでエースとJBは、酒瓶を回し飲みしながら言葉を交わす。素晴らしく叙情的なシーンである。夢を求める父と破産した息子。そんな息子を慰める一言が、「人生の転機さ」なのである。

「男というものは女と酒には弱いもんだ」全く魅力的な父である。


■JBにとってやはり家族は宝物だった


「こうみえても愛してるんだぜ」


昨夜殴られた借りはしっかりと返す兄貴。酒場でJBの顎にパンチをお見舞いして仲直りする兄弟。このスカッとした関係。決してソリの合う兄と弟じゃないが、この兄の描写が実に素晴らしい。本作で兄を演じるジョー・ドン・ベイカー(1936− )がベストアクトとも言える深みのある役柄を演じ上げていた。


■自分に没頭している男に惚れなくて女をしている価値があるのか?


本作のハイライトであるロデオ大会が繰り広げられる。ここで馬に乗り颯爽と走るベン・ジョンソン。この作品のジョンソンが実に輝いている。特にこのシーンのスローの情感の美しさ。彼こそ本物の元ロデオ・チャンピオンであり、
ロデオに専念する為に一時映画界を引退していたほどロデオに情熱を賭けた人だった。

そして、ロデオに没頭するJBの男臭さに、金持ち男と一緒に観戦していた美女も、コロっとやられてしまう。これはもう言葉の領域ではなく、女性には容易に分かる魅力的な男が醸しだす色気の領域だろう。そういった意味ではJBの父エースも同じような色気を発散している。

やはり女性にとって、「何かに一生懸命」になって「自分に没頭している」男には魅力を感じてしまうものである。「シドニーで一山あてる」というハタから見れば馬鹿げた夢でも、あそこまで熱く語れるオヤジなら、若い女性でさえも惹きつけられるだろう。女性にとって情熱の欠けた男と過ごしていく人生なぞ、金と安定を担保に人生を台無しにしてしまうようなものなのだから。

そう言えば最近テレビでそういう女性をよく見かける。芸能人の婚約。
男の情熱を見抜けずに、男から金と安定のみを見抜くことに躍起になり、仮面のような男女関係の中で、子を産み、何の情熱のかけらもない家族を築いてしまった女性。まさに人生の敗北者たちである。


■マックィーンの男臭さが切ないくらいに臭ってくる作品

ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦 ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦
オーストラリアの広大な土地で暮らす。これはマックィーンが脚本に加えたものだった。そして、彼自身の口癖もまた
「オーストラリアに渡って、未開の地に消えてしまいたいな」だった。マックィーンが現代人を今も惹きつけるその魅力は、決して飼い馴らされないその本来の生き様からにじみ出たものなのである。

ちなみにマックィーンは撮影中に実際に牛と格闘し、左手首にひびが入ったときにこう言ったという。
「くそ!こいつはル・マンよりずっと危険じゃねえか!しかも、ちっともおもしろくねえ!」

そして、再びロデオ・チャンピオンになったJBは、父のためにシドニー行きのファーストクラスの切符を買ってあげ去っていくのだった。美女とも別れ、母とも別れ、独り去っていくJB。男を磨きたい場合は、出会いの分だけ別れを経験しなければならないとJBのこの姿が気づかせてくれる。


■バーバラ・リーとアイダ・ルピノ


バーバラ・リー ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦 ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦
バーバラ・リー(1946− )。彼女はマックィーンが14年連れ添った妻ニールと離婚調停中に『ゲッタウェイ』でアリー・マッグローと出会うまでの間、付き合っていた女性である。エルヴィス・プレスリーの恋人だった人でもあり、才能よりも美貌と肉体美で仕事を勝ち取っている類いの女性であり、その芝居には観るべきものは全くない。

ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦 バーバラ・リー バーバラ・リー
一方、JBの母親を演じるアイダ・ルピノ(1918−1995)は魅力的である。彼女がこの一家の大黒柱であり、精神的支柱であることを理解させてくれる重要な役柄を見事に演じ上げている。『ハイ・シエラ』(1941)や女流監督としても有名なアイダは語る。

「私は『昼下がりの決斗』が大好きだったので、役を引き受けることになったのよ。・・・撮影が済んだ時、彼は私のところへ寄って来て、私を抱きしめながらこう言ったの。《ウ〜ン。いまもなお麗しきかぐわしさ》ってね。だから私は彼を見て《あんたいったい何言ってんの》と言ってやったわ」

ちなみにペキンパーが売れない監督だった1950年代にアイダの屋敷の隅っこにある小屋にタダで居候させてもらっていたという。


■興行的には大失敗したが、間違いなく傑作である


ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦 ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦
「オレはサムに《お前にも一つだけいいところがあるぜ》と言ってやった。サムが《それはなんだ》と聞くので、オレは言ってやった。《おまえさんの体重が60キロくらいだからさ。もし100キロ近くあったら、おまえさんは世界中の人間に向って、生かしといてやるから1時間につき5ドル寄こせって言うだろう》ってね」
マックィーン

「仕事をする上でサムのいいところは、彼は理屈からはいらないという点だ」マックィーン

ペキンパーは英国で『わらの犬』の仕事が終了するとすぐに帰国し、本作に取り掛かった。興行的にはペキンパーが「私がこの作品を作ったということを知らない以前に、この作品を観た人を私は知らない」と言ったように大失敗した作品だった。

− 2007年11月10日 −


当サイト内で使用している画像・映像キャプチャー等は、あくまで映画文化の熟成及び芸術復興を標榜する当サイトの意図により、
「映画を文章だけで云々することの不誠実さ」と「目で感じる芸術及び娯楽」である映画に対する敬意の姿勢で使用しております。よって著作権等は、全て各製作者・会社に帰属します。
画像・映像キャプチャー等の使用に関して表記の問題がある場合、又は削除依頼がある場合は迅速に応対させていただきますのでご連絡ください。
このサイトは、100%非営利に、純粋に「映画解釈の究極」を求めて運営されています。取り上げるべき作品・感想等ございましたらどんどんメールください。
当サイトはリンク・フリーです。
Copyright (C) 2007 Geijyutsu Taizen. All Rights Reserved.
Mail:webmaster@summaars.net