HOME
■サイト内検索

■洋画
 □カタカナ順
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
 □クラシック
 □ドラマ
 □コメディ
 □サスペンス
 □アクション
 □ポリス
 □スパイ
 □犯罪
 □カー
 □ミュージカル
 □史劇
 □文芸
 □戦争
 □西部劇
 □アドベンチャー
 □パニック
 □ギャング、マフィア
 □SF
 □ホラー
 □スポーツ
 □香港
 □ドキュメント
 □アニメ
 □エロス
 □B級
 □アカデミー賞
 □カンヌ映画祭
 □ヴェネチア映画祭



■邦画
 □ひらがな順
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
 □名作
 □ドラマ
 □喜劇
 □サスペンス
 □アクション
 □刑事
 □時代劇
 □戦争
 □文学
 □パニック
 □東映ヤクザ
 □ギャング、ヤクザ
 □特撮
 □怪奇
 □ドキュメント
 □アニメ
 □エロス
 □B級
 □海外映画祭受賞
殺人者たち   THE KILLERS(1964・アメリカ)
■ジャンル: アクション
■収録時間: 95分

■スタッフ
監督・製作 : ドン・シーゲル
原作 : アーネスト・ヘミングウェイ
脚本 : ジーン・L・クーン
撮影 : リチャード・L・ローリングス
音楽 : スタンリー・ウィルソン / ジョン・ウィリアムズ

■キャスト
リー・マーヴィン(チャーリー・ストラム)
クルー・ギャラガー(リー)
ジョン・カサベテス(ジョニー・ノース)
アンジー・ディッキンソン(シーラ)
ロナルド・レーガン(ジャック・ブラウニング)
クロード・エイキンス(アール・シルベスター)
殺人者たち
リー・マーヴィンが盲人に仰々しく道を譲る、耳元で脅し文句を囁く、手に持っていない拳銃を撃つ仕草で死に絶える・・・これぞオトコのダンディズム。いちいち格好いいオヤジ=リー・マーヴィン。徹底的にハードボイルドの様式美に満ちた作品。そして、芝居の出来る役者に包囲されてしまったロナルド・レーガンの悲劇。

■あらすじ


盲学校で働く元レーサー・ジョニー・ノース(ジョン・カサベテス)を殺害した二人の殺し屋チャーリー(リー・マーヴィン)とリー(クルー・ギャラガー)。年長者のチャーリーはジョニーの死に様に疑問を持つ。「彼は何故死に臨んで逃げようとしなかったのか?」。そして、そこに100万ドルの現金強奪事件が絡んでいることを知り、その金をせしめようとする二人だった。


■このオヤジの魅力に太刀打ちできる若者はいるか?


リー・マーヴィン リー・マーヴィン
「オメエもリー・マーヴィンが好きだろ?」そんな『レザボア・ドッグス』でミスター・ブロンドが言ったセリフに100%納得してしまうリー・マーヴィンの格好良さ。とにかくクールに殺し屋稼業に専念するこのオヤジの渋み。その男の価値はオヤジになった時に初めて分かるという言葉に従うと、こいつほどオヤジになって価値の生まれた男もなかなか見かけない(あんなに格好良かったミスター・ブロンドを演じたマイケル・マドセン(1958− )もオヤジになるに従い格好悪くなってしまった)。

そして、ヘラヘラ笑いながらもそつなくマーヴィンをサポートするクルー・ギャラガー(1928− 、『バタリアン』でも有名)の頼れる相棒振りも魅力的である。一方、回想シーンにおける展開はメリハリに欠ける部分もあるが、カサベテスとアンジーの魅力で何とか持ちこたえている。

この作品は映像の画質を観ても分かるとおり本来はテレビムービー用に制作されたものだった。しかし、そのヴァイオレンス描写とエロス描写ゆえに劇場公開されることとなった。


■グラサン越しのリー・マーヴィン


殺人者たち
オープニングのサングラス越しに映るリー・マーヴィンの姿。黒のフレームにグレーのスーツにシルバー・ヘアーのマーヴィンの渋い表情。そして、仰々しく盲目の人に道を譲るそのジェントルマンな姿。彼の職業は殺し屋というギャップを見事に生かしたクールな描写が、しょっぱなから観客の心を惹きつける導火線の役割を果たしている。

そして、ゲイの相棒リー。絶えず身だしなみに気を使い、暇があれば肉体を鍛え、ヘラヘラ笑いを浮かべているこの男が、実に手際よくチャーリー(リー・マーヴィン)をサポートしていく。ちなみにチャーリー役の候補としてチャールズ・ブロンソンやジェームズ・コバーンなどの名も挙がっていたという。

「シルベスター 彼のいるところに行きたくなかったら、知ってる事は全部話すんだな」

チャーリーがシルベスター(クロード・エイキンス)の耳元に囁きかける凄み。事を荒立てるな!≠サれがプロの殺し屋の流儀だと言わんばかりの静の魅力。このシーンにリー・マーヴィンの魅力が濃縮されている。

脅しは静かであればあるほど、相手から真実を引き出せる説得力に満ち溢れる。そんな殺し屋哲学を実際に演じきれる役者は相違ないだろう。ほとんどの役者は、感情の緩急で脅しの表現をする人が多い。


■ハリウッドに疲れたカサベテスから滲み出る哀愁


殺人者たち 殺人者たち
「それより知りたい。なぜ彼が逃げずに死を選んだのか?」

冒頭で二人の殺し屋が殺害した男ジョニー。彼はなぜ生に執着しなかったのか?そんなふとした疑問から物語は急展開していく。元カーレーサーが何故現金強奪の片棒を担ぐようになったのか?

その転落していく様は現在においても適応される何かに打ち込んでいた男の落とし穴。
熱心に一つのことに没頭し、順調に波に乗りかけたときに、魅力的な女性に出会い、そっちに没頭してしまい今までの苦労を水の泡にしてしまう皮肉。

哀愁に満ちたジョニーを演じるジョン・カサベテス(1929−1989)は、当時スタンリー・クレイマー製作の『愛の奇跡』(主演:バート・ランカスター、ジュディ・ガーランド)を監督し、クレイマーと対立し降板させられた直後だった。この頃のカサベテスは、ハリウッドから敬遠されている時期でもあり人生のどん底の状態だった。そんな彼は、完全に同年から製作が開始される『フェイシズ』(完全な自費製作)の資金稼ぎのため本作に出演した。

ちなみにジョニー役の候補としてスティーブ・マックィーン、ロッド・テイラー、クリフ・ロバートソン、ジョージ・ペパード、ロバート・ワグナー、そして、リー・マーヴィンの名が挙がっていたという。


■アンジーの笑みを前にして狂わされぬ男は男じゃない


アンジー・ディッキンソン アンジー・ディッキンソン
「キミの車かい?ファンシーだね」「私みたいじゃない?」

見事に観る者を騙してくれるファム・ファタール=アンジー・ディッキンソン(1931− )。もう
この人が笑みを浮かべる時の何ともいえない口元と目尻の小皺がとても素敵だ。そして、レース場でジャンプスーツを着たときの腰のくびれと長い脚、60年代のエレガンスな髪型。ファッションの全てがエレガントであり、アンジーの魅力を最大限に引き出していた。

アンジー・ディッキンソン アンジー・ディッキンソン アンジー・ディッキンソン アンジー・ディッキンソン
決して頭の切れそうな女ではないが、だからこそ誠実そうな表情が現れる瞬間に男ならコロリと騙されるのである。本作において元々テレビムービーであるが故にアンジーのナイスボディはほとんど露出されていないのだが、その引き締まった足首だけでもエロスを感じさせてくれる。


■洗練された物腰がなければ殺し屋の価値なぞ生まれない


殺人者たち
「手を出したら可愛そうじゃないか。折角の美人なんだから」

と薄ら笑いを浮かべながらやけにシーラ(アンジー・ディッキンソン)に丁重に接するゲイのリー。一方、チャーリーは淡々とシーラを尋問していく。そして、シーラが余裕をかましてとぼけるや否やパンチを喰らわすリー。更に二人はホテルの窓からシーラを逆さにして事実を吐かせる。

美しいシーラの顔が血と涙と鼻水で醜く歪む。この一連のシークエンスは実に見事な緊張感に満ちている。
非情さとは、単に冷酷なまでの残酷さではなく、事を進めるに及んでは手段を選ばないが、洗練さを犠牲にするわけではないというこだわりなのである。この作品の二人の殺し屋は洗練されていた。

ただ残酷に事を進める殺し屋なんかに魅力はない。そんなのはただの殺人鬼と何ら変わらない。


■銃弾を喰らい死に絶えるロナルド・レーガン


殺人者たち 殺人者たち
「彼が泰然としていたのは死んでたからだ。4年前に既に君が殺してたのさ」

シーラに利用され、殺されかけたジョニー。しかし、そんなシーラを彼は本気で愛してしまっていた。だからこそ全てを失いつつも束の間の愛の思い出に生きるしかなかった。そんな彼が二人の殺し屋に対して死を受け入れ、結果的にその哀しみを感じ取ったチャーリーによってアンジーたちに対する復讐は貫徹される。

ロナルド・レーガン ロナルド・レーガン
ブラウニングという悪党を演じたこの男はのちに合衆国大統領となるロナルド・レーガン(1911−2004)である。アンジーが見事にファム・ファタールな役柄を演じ上げていたのに対し、終始硬い芝居で座をシラケさせていた。この作品を最後に役者を辞めて、政治家に転進した。この作品の2年後の1966年から二期に渡りカリフォルニア州知事を務め、1980年に第40代合衆国大統領に就任した。

とにかくレーガンの芝居は表情の変化に乏しいお粗末なものだが、初めて悪役を演じることになったレーガン自身も相当な抵抗感があったという。結果的に最後に射殺されることになるのだが、
奇しくもこの作品の17年後の1981年3月30日に、ジョン・ヒンクリーの放った銃弾を本当に喰らうことになるのである。

ちなみにブロウニング役の候補としてギグ・ヤング、レスリー・ニールセン、ベン・ジョンソン、リチャード・コンテ、スティーブ・コクラン、ウォルター・マッソーの名が挙がっていたという。


■最高にクールなラストの死に様


殺人者たち
実に主要登場人物が全て死んでしまうという凄まじい流れの中、最後にリー・マーヴィンも見事な死に様を見せてくれる。
大金の入ったかばんを手に、拳銃を落としてしまったその彼の空手で、迫ってくるパトカーを撃とうとして崩れ落ちていく様。強烈なまでにカッコイイ死に様である。

ドン・シーゲルの淡々とした演出の効果が結集したラストシーンである。突き放した映像で死を捉えるショットが素晴らしい余韻を生み出している。一人の主人公の死で始まり、もう一人の主人公の死で終わる。見事な死のリレーによる起承転結がこの作品を支配していた。

− 2007年11月26日 −


当サイト内で使用している画像・映像キャプチャー等は、あくまで映画文化の熟成及び芸術復興を標榜する当サイトの意図により、
「映画を文章だけで云々することの不誠実さ」と「目で感じる芸術及び娯楽」である映画に対する敬意の姿勢で使用しております。よって著作権等は、全て各製作者・会社に帰属します。
画像・映像キャプチャー等の使用に関して表記の問題がある場合、又は削除依頼がある場合は迅速に応対させていただきますのでご連絡ください。
このサイトは、100%非営利に、純粋に「映画解釈の究極」を求めて運営されています。取り上げるべき作品・感想等ございましたらどんどんメールください。
当サイトはリンク・フリーです。
Copyright (C) 2007 Geijyutsu Taizen. All Rights Reserved.
Mail:webmaster@summaars.net