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史上最大の作戦   THE LONGEST DAY(1962・アメリカ)
■ジャンル: 戦争
■収録時間: 179分

■スタッフ
監督 : ケン・アナキン / ベルンハルト・ヴィッキ / アンドリュー・マートン
製作 : ダリル・F・ザナック / エルモ・ウィリアムズ
原作 : コーネリアス・ライアン
脚本 : コーネリアス・ライアン / ジェームズ・ジョーンズ / ロマン・ギャリー / デヴィッド・パーサル / ジャック・セドン
撮影 : アンリ・ペルサン / ジャン・ブールゴワン / ワルター・ウォティッツ
音楽 : モーリス・ジャール

■キャスト
ジョン・ウェイン(バンダーボルト中佐)
ロバート・ミッチャム(コータ准将)
ヘンリー・フォンダ(ルーズベルト准将)
クルト・ユルゲンス(ブルメントリット上級大将)
レッド・バトンズ(スチール一等兵)
史上最大の作戦
間違いなく戦争映画の最高峰であり、こう言うと不遜だが、少年時代にテレビで見て「わくわくした」戦争映画である。私は少年時代に『プライベート・ライアン』や『プラトーン』のような戦争の本質を描いてはいるが、残酷描写のある戦争映画を見るよりも、ヒロイズム感覚溢れる本作のような戦争映画で少年の感性を磨く方が良いと考える。若いうちから人生の暗い側面を今の時代は見せすぎる。若いうちは明るい側面を子供に見せてやるべきである。そして、大人になってからも本作は、「生きる活力」を与えてくれる素晴らしい作品である。

■あらすじ


1944年6月6日、連合軍総司令官アイゼンハワーは遂に「ノルマンディー上陸作戦」を決行する号令を全軍に発した。約300万人もの連合軍将兵がナチス・ドイツに支配されたヨーロッパの解放を目指し、空からはバンダーボルト中佐(ジョン・ウェイン)を筆頭に、そして、海からはコータ准将(ロバート・ミッチャム)を筆頭にヨーロッパ本土上陸作戦を決行する。


■映画史上まれに見る超豪華キャストが映画を食い潰さなかった例


史上最大の作戦 史上最大の作戦
まさに史上最大の戦争映画である。その超大作ぶりは当時1000万ドルという予算で作られた作品であり、48人の大スターを出演させたということからも容易に想像できるが、数えてみたのだが48人も大スターが出てはいない気がする(20数人だと思うのだが・・・)。こういう所ははったり屋ザナックらしく、吹いたもん勝ちの発想だろう(後に深作欣司と角川春樹が見習う)。

そんな結構いい加減な発想で作られた
本作がただのホラ吹き映画で終わらなかった理由は、以下の3点によるところが大きいだろう。まず一点は、脚本を原作者コーネリアス・ライアンと『地上より永遠に』(1953)『シン・レッド・ライン』(1998)の原作者ジェームズ・ジョーンズら5人に共同作業させた点。そして、二点目はケン・アナキンら3人の監督に英語、フランス語、ドイツ語パーツと分担して演出させた点。最後に三点目はザナックが自家用ヘリで飛び回りながら全てを見事に統括した点にあるだろう。

これがフランシス・フォード・コッポラだと、こうはいかなかった筈である。

ちなみに監督のうちの1人、アンドリュー・マートンは1959年に『ベン・ハー』においての戦車競技シーンの名演出によりアカデミー特別賞を受賞している。彼が本作の全アクションシーンを担当したのだが、ノルマンディー上陸シーンの撮影には6ヶ月費やしたという。エキストラとして23000人の米英仏軍の兵士達を雇い撮影したという。


■ジョン・ウェインとレッド・バトンズ


史上最大の作戦 史上最大の作戦
超豪華キャスト映画は、得てしてスターの配置を何よりも優先してしまいがちになり、それによってストーリーに集中できない、もしくは破綻を生み出してしまう。
そして、結局はただのスター達の顔見せ映画=10年後に見れば「この人一瞬売れてたなあ的回想映画」になってしまうのである。しかし、前述の要素により、本作はそういった破綻を見事に回避している。

本作の主役は、間違いなくこの4人だろう。ジョン・ウェインとロバート・ミッチャムとリチャード・ベイマーとレッド・バトンズである。物語のほとんどのシークエンスはこの4人に帰しているのである。この将校2人と一兵卒2人のバランスが絶妙に良く。将校2人と一兵卒2人が物語り上でほとんどかち合わない所が本作の脚本の見事なところなのである。
特に最後にジョン・ウェインがレッド・バトンズの存在に気づかずに去っていくところなど実に素晴らしい(ちなみに2人は『ハタリ!』(1961)で共演している)。


■米英からの大スター達


それでは48人の大スター達を列挙してみよう。まずはアメリカ・イギリスから出演している役者の顔ぶれが凄い。ジョン・ウェイン、ロバート・ミッチャム、ヘンリー・フォンダ、ロバート・ライアン、ロッド・スタイガー、ジェフリー・ハンター、ロバート・ワグナー、ポール・アンカ 、スチュアート・ホイットマン、リチャード・ベイマー、サル・ミネオ(『理由なき反抗』)、レッド・バトンズ、エドモンド・オブライエン(『ワイルドバンチ』で生き残る爺さん、『裸足の伯爵夫人』でアカデミー助演男優賞受賞)、ロディ・マクドウォール(『猿の惑星』のコーネリアス)、エディ・アルバート(『ローマの休日』のカメラマン役で有名)、メル・ファーラー(当時オードリー・ヘプバーンの夫)、ピーター・ローフォード、リチャード・トッド、リチャード・バートン、ケネス・モア、ショーン・コネリー(この時期丁度ジャマイカで『007/ドクター・ノオ』の撮影中)、ジョージ・シーガルと言った具合である。ちなみにアレック・ギネスとリー・ストラスバーグもカメオ出演している。

さらにザナックは元アメリカ大統領アイゼンハワーに本人自身の役をやってもらおうと交渉し、本人も乗り気だったという。結局メイク担当者が、アイゼンハワーを若返らせることは難しいということで出演は叶わなかった。。ちなみにジョン・ウェインの演じたバンダーボルト中佐役は当初チャールトン・ヘストンで考えられていた。

他に当初英軍の従軍牧師役にダーク・ボガードが出演予定だった。


■それぞれの思惑


史上最大の作戦 ジョン・ウェイン
1960年の『アラモ』製作によって多額の負債を抱えていたジョン・ウェインは、本作の役柄を得るために相当ザナックに無理難題を吹っかけたという。結果的にジョン・ウェインは25万ドルの出演料を手にした(他の有名スターの出演料の最高額は2万5000ドルだった)。

ちなみに本作の出演を希望していた『ドラキュラ』で有名なクリストファー・リーは、オーディションを受けたが軍人らしく見えないと言われ落とされる。彼は実際に第二次世界大戦に出征していたにもかかわらずである。

一方、ピーター・ローフォードの出演は、人気や才能を認められてではなく、当時ピーターはアメリカ大統領ジョン・F・ケネディの妹パトリシア・ケネディ(1924−2006)と結婚していたので、ザナックはピーターに在仏米軍の兵士と戦車、上陸艇をエキストラとして使用させてくれと大統領に口添えしてもらう為に彼の起用を決定した。


■仏独の名優達


フランスからもなかなかの渋好みの名優が出演している。まずはルーラン神父役で『天井桟敷の人々』(1945)のジャン=ルイ・バロー(1910−1994)、そして、女子修道院長役でバローの妻であり、1930年代のフランスの大女優マデレーヌ・ルノー(1900−1994)、キーファ中佐役に『女の一生』(1958)のクリスチャン・マルカン(1927−2000)、そして、バロー夫人役で『天井桟敷の人々』のアルレッティ(1898−1992)が出演している。

イリナ・デミック イリナ・デミック
ちなみに冒頭で、自転車に乗って太ももと巨乳の胸元を見せつけながら登場する紅一点のレジスタンス役の美女はイリナ・デミック(1937−2004)という女優であり、当時ザナックの愛人だった人である。『シシリアン』(1969)などにも出演したが女優として大成しなかった。
結局、役を掴むためにプロデューサーと寝る女性は、共演者の尊敬を勝ち取れないので、女優として大成しないことが多い。

そして、ドイツからも後に007で悪役を演じることになる2人、クルト・ユルゲンスとゲルト・フレーベが出演している。しかし、何と言ってもハンス・クリスチャン・ブレヒだろう。大海原に5000隻の大船団を見つける将校役が最高にはまっていた。あとはマクシミリアン・シェルとハーディ・クリューガーが出れば完璧だったのだが・・・



ノルマンディー上陸作戦とは?


史上最大の作戦 史上最大の作戦
本作の原題である「最も長い日」とはノルマンディー上陸作戦が行われた1944年6月6日のことを言う。正式作戦名はオーバーロード(大君主)作戦である。実に18ヶ月かけて立案された作戦で300万人近い兵員がドーバー海峡を渡り、北フランスのノルマンディーに上陸した。まさに史上空前の上陸作戦であり、現在に至るまでこれに匹敵する上陸作戦は行われていない。

「血のオマハ」
本作戦において、オマハ・ビーチにおける米第1歩兵師団の上陸作戦が最も熾烈を極めた。オマハに割り当てられた水陸両用シャーマンの多くは予想より高かった波のせいで次々と浸水し、海岸に到着する前にほとんどが失われてしまった上に、地雷原の中を走らなければならなかったためである。オマハ・ビーチに34,000人の米軍が投入されたが、2,400人の死者を出す結果となった。

ちなみに、実際の撮影においてもエキストラの米兵達は、水が冷たくて溺れると怖いので・・・と誰一人上陸艇から水中に飛び降りようとしなかったので、その態度にウンザリしたロバート・ミッチャムは一番最初に飛び降りたという。


■印象深いシーンの数々


レッド・バトンズ 史上最大の作戦
本作には魅力溢れる印象的な名シーンが存在する。

・ロンメルが「連合軍にとってもドイツ軍にとっても一番長い日になるぞ」と言ったと同時に、ベートーヴェンの交響曲が流れるオープニング。

・作戦前夜に博打でツキにツキまくったシュルツ(リチャード・ベイマー)にマルティニ(サル・ミネオ)が言う。「悪いときに儲けたな?」そして、シュルツは一人思い出す。「(前の作戦の時)あの晩、大儲けしたら次の日、足を折って2ヵ月も歩けなかった」そして、シュルツは一人ごちて呟く
「これだけ負けるのに何時間かかるかな?」。

・早く戦いたくてうずうずしているバンダーボルト中佐(ジョン・ウェイン)が、出動の知らせを聞いてコーヒーカップを投げて走っていくうれしそうな後ろ姿。

・海岸線を双眼鏡で見ているドイツ軍のプラスカット少佐(ハンス・クリスチャン・ブレヒ)が「最後にもう一度見てみよう」と海岸線を双眼鏡で覗いたと同時に恐るべき程の大船団を確認し絶句する抜群のたじろぎ。

・「ちゃんと合図したのに」と言って殺されるマルティニ。

・教会の塔にひっかかってしまった上に、下からはドイツ兵に狙い撃ちされ、しかも耳の傍では鐘が鳴り響くという状況で放置されるスチール一等兵(レッド・バトンズ)。

・シュルツら連合軍兵士とドイツ軍兵士が壁一枚隔ててお互い気づかずにすれ違うシュールさ。

・最後に隊からはぐれたシュルツが負傷した英国空軍パイロット・キャンベル(リチャード・バートン)に言うセリフ。
「聞いてくれ俺は今日一発も撃ってない」そして、キャンベルが言う。「ヤツは死に、俺は動けなくなって、君は道に迷ってる。どうやらこれが戦争らしい」。


■本作の芸術性


有りのままに戦う男達の「熱さ」みなぎる空気が、見ている側に「パワー」を与えてくれる作品である。
よく映画の隅々にまで顕微鏡を通して観察するかのようにけちをつけたがる人々がいるが、私は、芸術とは細部ではなく全体で判断すべきものだと認識している。

芸術に数学的精密さを求めると、それはつまらないものになり、芸術ではなくなる。芸術とは曖昧なものであり、人間の感性が芸術に惹きつけられるのもその曖昧さゆえなのである。

本作の明確なる芸術性は何かと問われれば
「史実に基づいた人間の勇気を多面的に最大限引き出した」所にあるといえるだろう。何十人もの人間の死と生を映画的表現により濃縮に濃縮した作品が本作である。そして、あらゆる年齢層にあらゆるメッセージを与える多くのものを含んでいる作品でもある。

本作は1962年アカデミー作品賞、美術監督・装置賞(白黒)、編集賞にノミネートされ、撮影賞(白黒) 、特殊効果賞を受賞した。ちなみに本作の製作中に丁度製作していた超大作『クレオパトラ』(1963)によって、20世紀FOXは最も財政難の時代だった。リチャード・バートンとロディ・マクドウォールは『クレオパトラ』の撮影の合間に本作に出演している。

− 2007年6月21日 −


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