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 □海外映画祭受賞
宮本武蔵   (1954・東宝)
■ジャンル: 時代劇
■収録時間: 94分

■スタッフ
監督 : 稲垣浩
製作 : 滝村和男
原作 : 吉川英治
脚色 : 稲垣浩 / 若尾徳平
撮影 : 安本淳
音楽 : 團伊玖磨

■キャスト
三船敏郎(宮本武蔵)
八千草薫(お通)
三国連太郎(又八)
岡田茉莉子(朱実)
尾上九朗右衛門(沢庵)
宮本武蔵
三船敏郎と三国連太郎、八千草薫と岡田茉莉子。とにかくこの豪華な組み合わせと安本淳による日本の美しい風情を映し出した映像。ただそれだけで何も言う必要のない幸福感に包まれる映画である。昔の映画の持つパワーが、その時代の世界観に違和感なく導いてくれることを堪能させてくれる。

■あらすじ


関が原の戦いに立身出世を夢みて、出征する美作の国・宮本村の武蔵(三船敏郎)と又八(三国連太郎)。だが、負け戦となりお甲・朱美(岡田茉莉子)母子の元に身を寄せる。やがて、又八はお甲と結婚し京に登る。一方、武蔵は、宮本村に戻るが、新幕府に追いかけられ、沢庵和尚に引き取られることになった。そして、姫路城の城内で三年間勉学に励み生まれ変わった武蔵は武者修行へと旅立つ。


■日本の風光明媚さを堪能せよ


宮本武蔵
『宮本武蔵』と言えば、今や内田吐夢監督・中村錦之助主演の五部作が最高峰として名高いが、それ以前において公開された稲垣浩監督・三船敏郎主演の三部作もまた素晴らしい。まず何よりも素晴らしいのが、イーストマン・カラーにより残された日本の風光明媚さである。

関が原の合戦における雨の中の塹壕地帯、朱美と武蔵が乗馬する草原地帯、沢庵和尚の住むお寺、「又八のバカ!」と武蔵が叫ぶ美しい急流、川のたもとの茶店。そういった物語全般を包み込む日本の自然がこの作品をアメリカにおいて評価せしめた理由である。特に武蔵が浸かる五右衛門風呂に、差し込む光の具合など息を呑むほどの映像美に溢れている。

この作品はアメリカにおいて初めて公開されたカラーの日本映画であり、物語の巧みさよりもむしろ日本の風光明媚さに、多くのアメリカの映画人は感嘆したのである。そして、その結果が1955年のアカデミー外国語映画賞受賞となったのである。ちなみに日本映画で初めてのアカデミー賞受賞作品である。


■天下無敵の名優四人の饗宴


宮本武蔵 宮本武蔵
三船敏郎(1920−1997)と三国連太郎(1923− )の2ショットは冒頭から迫力満点である。この2人、10代の若者という役柄ではあるが、
経験のつたない若い役者を老けさせていくよりも、経験ある熟練した役者をその年齢に近づけていく流れの方が良いので、違和感はほとんど感じない。

それにしても、三船はその走り方といい木刀の振り方といい、実に躍動感に溢れている。さらに上半身の筋力の発展も凄まじいその肉体美がナチュラルな野性味を感じさせる。一方、へたれで欲望に身を任せる役柄を演じる三国も、得意な役柄だけあって見事に隠し切れぬハンサムっぷりを大いに小出しにしながら演じ上げている。

八千草薫
一方、お通を演じる八千草薫(1931− )と朱美を演じる岡田茉莉子(1933− )であるが、八千草にとって本作が初めてのカラー映画出演である。ちなみに彼女は当時現役の宝塚歌劇団(1947−1957)の女優だった。一方岡田の母親もその妹も宝塚歌劇団の女優であった。

岡田の魅力は、本作においてはまだ十分に発揮されていないが、八千草の魅力は、まさに後光が差しているほどに溢れんばかりである。


■時代劇には珍しいお通の強い自立心


「力が欲しい、私に強い力が・・・」

「私は武蔵さんが縛られてるのを見ているうちに、自分も目に見えない縄に縛られているのに気がついたの」


お通さんが言うセリフなのだが、このセリフすごく自立心の強い女性の力に溢れている。そして、八千草薫という女優にもすごく合致したセリフなのである。彼女はたしかに可憐であり美しいのだが、それだけではない芯の強さが生み出す日本人独特の「女の情念」に満ちているのである。それが彼女の最大の魅力である。


■沢庵和尚に物足りなさを感じつつ


沢庵和尚を演じるは、のちにハワイに移住する歌舞伎の名門六代目尾上菊五郎の長男・尾上九朗右衛門(1922−2004)であるが、上記の四人の俳優に比べて芝居の厚味に明らかに欠けていた。のちに三国連太郎が錦之助の『宮本武蔵』で演じた沢庵に比べれば月とすっぽんである。

水戸光子
「女は強い男に惹かれるんだ。お前さんは私を娘に返してしまった。武蔵さん。私と一緒になって・・・女はこんな恥ずかしいこと言うの命がけなんだよ。言い出したからにはあとへは退けない」

朱美の母お甲を演じるは水戸光子(1919−1981)である。そんな彼女が武蔵を誘惑するこのセリフがなんとも迫力満点である。自分の娘と同じ年代の男を手に入れようとする自己中心的な貪欲さにぞっとさせられつつも、こんな女にはまってしまう若者もいるんだろうなと又八を見ながら納得させられるのである。


■花田橋の情感溢れる名シーン


宮本武蔵
そして、物語は武蔵を三年間待っていたお通と、武者修行に出る武蔵が、花田橋で再会するシーンをもって最後の山場となる。武蔵にすがりつこうと旅の準備をしている間に橋の手摺りに「ゆるしてたもれ」と書き記し去っていく武蔵。これをもって第一部終了となる。

それにしても八千草薫の花田橋から茶店に引き返していく仕草や、武蔵が去ってしまった後の橋に佇む姿なぞ美しいだけではない、何とも言えない情感を滲み出している。この年代でこれほどの芝居をするとはこの人本当に並大抵の女優ではないと実感させるラスト3分の芝居振りであった。

特に眉間にしわを寄せる表情がまた可愛い。

最後に、團伊玖磨の音楽が素晴らしく壮大で本作にフィットしている。しかし、本作の予告で、構想一年総予算一億円と謳われているが、ほんとうなのだろうか?1954年度邦画興行成績第七位。

− 2007年7月20日 −


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