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宮本武蔵・完結編 決闘巌流島   (1956・東宝)
■ジャンル: 時代劇
■収録時間: 105分

■スタッフ
監督 : 稲垣浩
原作 : 吉川英治
脚色 : 稲垣浩 / 若尾徳平
撮影 : 山田一夫
音楽 : 團伊玖磨

■キャスト
三船敏郎(宮本武蔵)
鶴田浩二(佐々木小次郎)
八千草薫(お通)
岡田茉莉子(朱実)
田中春男(秩父の熊五郎)
瑳峨三智子(お光)
宮本武蔵・完結編 決闘巌流島
宮本武蔵人生最大の山場『巌流島の決闘』。カタルシスを生み出そうという作為的な意図のない稲垣浩のあくまでも淡々とした演出が、内面的なものを描き出すためにはあまりにも展開が場当たり的過ぎた。この第二部、第三部には武蔵の『武者修行』的な要素は微塵も感じられなかった。ここが内田吐夢=錦之助による武蔵との最大の優劣の差だろう。

■あらすじ


しばし、刀を置き法典ヵ原にて弟子二人と畑を耕し百姓として生きる宮本武蔵(三船敏郎)。そこへお通(八千草薫)と朱実(岡田茉莉子)も人づてに聞きつけやってくる。野武士との争いや武蔵を巡る女の意地などを経て、一通の手紙が武蔵の元に。それは佐々木小次郎(鶴田浩二)からの果たし状であった。場所は、豊前小倉藩領の船島(巌流島)・・・


■失ったテンションは戻ってこなかった


宮本武蔵・完結編 決闘巌流島 宮本武蔵・完結編 決闘巌流島
「だが俺は今頃になって生きる尊さを知った。この土が教えてくれたのだ」


残念ながら三船=三国コンビが作り出していた第一部のテンションは、戻ってこなかった。凡庸に巌流島の決闘を繰り広げるも、印象に残るはただ美しき浜辺の朝日のみ・・・たしかに三船の武蔵としての佇まいも、鶴田の小次郎としての佇まいも魅力的なのだが、物語のペースが抜群に悪いのである。

そして、風景は美しく捉えられているのだが、人と人の迫力や情念がまったく画面からほとばしって来ない決闘シーンのカメラワークだった。やはりスクリーンからそういった感情をほとばしらせるのは一流の感性と時間が必要だということである。

第二部、第三部は、明確にその製作期間から見て、やっつけ仕事に成り下がっていた。おそらく稲垣には慢心もあったのだろう。彼は片岡千恵蔵の『宮本武蔵』三部作(1940)と同じく千恵蔵の『宮本武蔵 一乗寺決闘』(1942)や『佐々木小次郎』三部作(1950〜1951)と武蔵映画を最もよく撮っている人である。

それだけ武蔵に思い入れがあるのだろうが、もはや三順目の巌流島ということもあり、何かテンションの高さよりも、ただ要領よく仕事をこなしていたのだろう。


■しかし蝿を箸で取るシーン迫力ないなぁ


宮本武蔵・完結編 決闘巌流島 宮本武蔵・完結編 決闘巌流島
この作品で一番輝いていたのは、田中春男(1912−1992)だった。そう武蔵の二番弟子秩父の熊五郎を演じている。このやくざモンの熊五郎と一番弟子の城太郎少年の掛け合いが最高に可笑しくて微笑ましい。
二番弟子なので少年を「城太郎さん」とさんずけで呼ばないといけないのだ。それでいて二人は固い人間としての絆で結ばれていくのである。

皮肉なことだが、このサイドストーリーに心地良さを感じるほど、武蔵とお通と朱実の三角関係は何とも煮え切らない関係だった。メインストーリーは上滑りにすべり、ただただ主役三者の魅力のみ別々にそれなりに輝いていただけだった。

「体は穢れても、心まで穢れていません」
と女郎にまで堕ちた岡田茉莉子が三船敏郎に色仕掛けで迫るシーンを見ていると、『人間の証明』(1977)で20数年後に演じる夫婦という役柄を思い出して何とも奇妙な感覚に捉われる。


■瑳峨三智子の登場


宮本武蔵・完結編 決闘巌流島
さて前作のラストにおいてお通さんの可憐さを目の当たりにしてつい押し倒してしまった武蔵だったが、この煩悩を恥じるがごとく本作においては木彫りの観音様を彫ったりしている。実に静かに物思いにふける武蔵なのだが、だからといって内面的な葛藤などが描き出されているのかと言うとそういうわけでもない。

ただ単に物語が沈滞しているだけである。そして、この沈滞は瑳峨三智子(1936− )の初々しい姿をもってしても穴埋めすることは出来なかった。それにしてもこの頃から瑳峨三智子は目つきが何ともいやらしい。



■第二部、第三部は評価せず


宮本武蔵・完結編 決闘巌流島 宮本武蔵・完結編 決闘巌流島
しかし、冒頭の素晴らしい絶景の滝に佇む佐々木小次郎の姿がとても美しい。この美しい滝で「つばめ返し」を披露するのだが、実際に小次郎が「つばめ返し」を編み出した福井県の一乗滝ではなく、
静岡県の白糸の滝で撮影されている。まさに水と光が織り成す虹のファンタジー溢れる美しい映像美に溢れている。

日本映画初の総天然色『宮本武蔵』映画として、アカデミー外国語映画賞まで受賞して始まった三部作だが、1950年代当時の日本の絶景と雰囲気、さらに若き大スターたちや懐かしの役者をただただ堪能する姿勢で見るのが、相応しい作品である。よってそういった部分に興味のない人には一作目以降は、全く見る必要性のない作品である。

− 2007年7月22日 −


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