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やくざ戦争 日本の首領   (1977・東映京都)
■ジャンル: 東映ヤクザ
■収録時間: 132分

■スタッフ
監督 : 中島貞夫
企画 : 俊藤浩滋 / 日下部五朗 / 松平乗道 / 田岡満
原作 : 飯干晃一
脚本 : 高田宏治
撮影 : 増田敏雄
音楽 : 黛敏郎 / 伊部晴美

■キャスト
鶴田浩二(辰巳周平)
佐分利信(佐倉一誠)
成田三樹夫(片岡誠治)
千葉真一(迫田常吉)
松方弘樹(松枝四郎)
菅原文太(石見栄三)
やくざ戦争 日本の首領
一般的に言えば本作は、『ゴッドファーザー』の足下にも及ばない。『仁義なき戦い』には、戦後の闇市から這い上がる若者達の熱気があった。一方この作品には、ただただ東西のやくざ戦争と政治家と企業とヤクザの腐ったトライアングルの構図の説明臭い描写だけがある。そこには叙情的な躍動感や人間的感情の演出の巧みさは欠けらもなく、ただむやみに豪華なキャストを消化していく時間配分表が見えてくるだけだった。しかし、東映やくざ映画を愛し続けてきたものにとっては、どうしても見逃せない魅力に満ち溢れた作品である。

■あらすじ


西日本最大のやくざ組織中島組の頂点に君臨する佐倉一誠(佐分利信)。彼は組織と家族を全く切り離した生活をしていた。彼の娘の壮大なる披露宴が行われているその日、若頭の辰巳(鶴田浩二)の号令により、中島組の関東進行作戦は開始された。日本の首領≠目指し、ここに東西やくざ戦争は勃発した。『日本の首領』三部作の第一作目。


■今だ日本のやくざ組織の苦悩を描ききった映画は存在しない


仁義なき戦い』(1973)の夢を再び!と東映が最期のやくざ映画大作を作り上げたが、もう時代がやくざ映画をお呼びでなかった。明らかに『ゴッドファーザー』(1972)を意識して撮られているが、製作サイドの裏社会に対する捉え方の違いが明確に映像上に出ていた。

裏社会と仲良く作った形の本作だが、やくざ社会の神秘性
(『ゴッドファーザー』で描かれていたような反発→葛藤→適応の流れが生み出す苦悩。その苦悩の深さの分だけマフィアは神秘性を増した)よりも、ただ単にやくざ群像を描いた事により、イマイチ魅力に欠ける作品に成り下がった。キャストが豪華である分非常に残念な作品である。火野正平のような無駄な主要人物を削っていったらもっと内容の深い作品になっただろう。

日本映画はこの辺りから極端に興行成績至上主義に偏るので、脚本を無視した意味のない出演者の羅列化が始まっていく。このことが、全ての大作を大味なものにしてしまっており、現在もその流れは続いている。監督ももっと時間と出演者を削って引き締めた作品を作る願いを製作サイドに出していたが、認められなかったという。


■映画とは主題の数だけ駄目なものになる


この作品において、実に巧妙なやくざ組織と企業の癒着の構図が描かれている。そして、そこに政治家も絡んでくるのだが、このドロドロした図式を見せ付ける割には他のドラマも詰め込みすぎた。

やくざの親分の家族内のゴタゴタ∞やくざ組織の歴史と近代化の葛藤∞上記の癒着∞東西やくざ戦争∞チンピラの迷走と青春という5つの主題を織り交ぜること自体にどだい無理がある。主題は、2つまでに絞った方が映画として確実に面白いものになる。

日本の大作映画の悪い癖なのだが、宣伝方法のバリエーションをつけたい為に、色々な要素をコレでもかと詰め込みたくなるのである。
しかし、本来素晴らしいものとは〈淘汰〉することからのみ生まれている。日本映画から洗練さが失われたのも、映画を知らない連中が映画をいじくりだしたことから始まっている。

この作品もそういった流れの中、無駄なものがたくさん付け加えられ、締まりのないモノへと転化していった。一般的に語ればそれが本作に対する評価だろう。しかし、私=オレは東映やくざ映画を愛すものである。以降はその視点だけで描いていくことにする。


■成田三樹夫が一番輝いている!


いかつくて渋さ満点の森山周一郎のナレーションと共に開始早々凄まじいほどに怒涛の豪華キャストがイカツク登場する。中でも成田三樹夫(1935−1990)が抜群に輝いている。やっぱ東映群像映画で、ミッキーほど目立ちまくれるオトコはいまい。『柳生一族の陰謀』(1978)でもそうだが、結局この作品の見せ場は鶴田浩二よりもミッキーのほうが遥かに多い。

今回のミッキーは三の線の風を装いながらも残忍な頭脳派ヤクザである。実際こういう露骨にコスくないオヤジが最強に怖いんじゃないかという最もリアルなヤクザ像を演じている。
飄々としているが、ソイツの背後に回ると獲物を狙う目つきに変わる・・・本作のミッキーはかなり魅力的です。


■そして、サニー千葉!コイツが狂うとやくざ映画は輝く


やくざ戦争 日本の首領 やくざ戦争 日本の首領
一方で、魅力的なのが、斬り込み舞台を率いる迫田を演じる千葉真一(1939− )だ。とにかくこの風貌と出で立ちは、
『キング・オブ・コメディ』(1983)のデ・ニーロかよというほどに濃くてかなり良い!登場早々腰ダメ撃ちで3人のヤクザを殺していきます。

オレは『日本の首領』三部作で、最も面白いのは第一作目だと思っている。その理由は、サニーが狂っていたからだ(そして、勿論鶴田浩二の存在)。サニーの狂乱がこの作品に感情の渦を生み出しささやかながらも哀愁を漂わせる結果を生み出していた。

佐分利信の重厚感が、映画を魅力的なものにしていたのも事実だが、それはサニーや鶴田という対比的な人物がいたからである。


■麻紀ちゃんのためなら!こうちゃるこうちゃる!


やくざ戦争 日本の首領
「ねえあんたぁ〜うちダイヤのついた時計ほしいわぁ〜」

仁義なき戦い完結篇』(1974)に続いてオトコにタカって生きている女を演じる橘麻紀ちゃん。もうこういう役柄をやらせると、昔こういう生き方をしていたかのような本気汁に溢れている。そして、なによりもそんな麻紀ちゃんにせがまれてマジ嬉しそうな志賀勝のナイスな笑顔。

麻紀ちゃん位のナマナマしい中途半端美女の擦れた雰囲気が、たまらなくなるのも東映やくざ映画を見続けてきたものの宿命だ。


■セリフ廻しの格好良さにおいては他を寄せ付けない


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「内輪もめする元気があるんやったら、腹にためとけ!」

「日本は広いド!戦争はこれからやないけ!」

「あほなこと言うな。やくざの喧嘩に休憩があるんか?」


そして何といっても鶴田浩二(1924−1987)の格好良さ。とにかくこの人のセリフ廻しが抜群にやくざ映画を引き締める。
彼が死んだ時やくざ映画は本当に死んだと言っても過言ではないくらいにその存在感は絶対的だった。


■朝雄&三樹夫、そして、野口貴史 分かるヤツには分かるよな?


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「そんときはそんときだわ〜〜!」VS「どうなっても知りまへんでぇ〜」

こいねぇ〜。ミッキーと朝雄の2ショットは。
アンド、オールバックにグラサンの野口貴史(1938− )でまさに最強モード。しかもこの後朝雄は小松方正との2ショットまで控えている。この作品はっきり言って、ミッキー&朝雄好きにはたまりません。

しかも、『ゴッドファーザー』を髣髴させる馬の首ならぬ愛人まぁ〜ちゃん≠フ首切断脅しシーン。このマネキンを前にして発狂する朝雄の狂乱振り。ももひき姿で階段から転げ落ち死ぬその御姿。なんかこのシーンの朝雄の狂い咲きぶりに強烈に感動するオレだった。


■野口貴史こそ東映やくざ映画の守護神なんだ!


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全国の野口貴史ファンをうならせるオールバック&グラサン姿。まさに『レザボア・ドッグス』のピンク並みの閉まりのない口元が分かる人には分かる堪らなさ!
コイツがさりげなく目立つ映画は必ずオモシロイ!これは東映やくざ映画好きにとっては語るもおこがましい常識である。

「戦闘開始でいきますでぇ」

燃えに燃えてるサニーとやけにホモっぽいネンジ・コバヤシの隣で静かに凄んで控える所が貴史っぽくてよい。それにしても濃いよなぁ〜東映やくざ映画のメンツって。やっぱやくざ映画に美男子はいらんよな?最近のはそこんとこがわかってねぇよな。


■組織が大きくなれば、人は正気を失っていく


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この頃の渡瀬恒彦(1944− )は、ギラギラしていた。もう鉄砲玉丸出しのド派手なスーツに赤のカッターシャツが似合いすぎ。そして、瞬く間に殺されるのだが、こんな瞬間でもコイツだと引き締まる。

「人間ってものは組織に組み込まれると怖いほど凶暴になれるものですね」

弘樹兄ィに高橋悦史が言うセリフだが、このセリフは何気によいセリフである。そして、悦史自身も皮肉なことに組織に組み込まれる=家族に組み込まれ後のシリーズの中で自滅していくのだった。人の命を救うはずの医者が、組織のために人を殺し、たがが外れたように転落していくのである。

彼もまた渡瀬と同じように組織にとっては、使い捨てのコマだった。


■金子信雄って相変わらずエロジジイだなぁ


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「ちみィ〜ひとりかぁ」

悪徳政治家を演じる金子信雄が相変わらずいい味出してる。
もう絶対的なMジジイの座に君臨していた頃の信雄は凄い。本作においても、背の高い美女の誘いに乗ってしまい、見事にやくざに拉致られてしまうのである。そして、ビール瓶を足場に首吊り処刑されそうになるのである。もうこの信雄コントを見ているだけで、想像通りの展開で何故か嬉しくなる(信雄はどんなに虐められても死なないので安心できる)。

「あほんだら〜!お前みたいなヤツに日本日本いわれたら日本が泣くワイ」鶴田
「絶対に許さんぞ貴様みたいなヤツは国会で告発してやるぞ!」金子
「ああ〜やりたかったらなんでもやらんかい。そのかわりなぁその日から一万人の中島組員がお前の首ねらうどぉぉ!」鶴田

無表情で脇に控える弘樹兄ィとサニーの格好良さが、この掛け合いをさらに痺れたものにしてくれた。


■サニー千葉が光りすぎる!


やくざ戦争 日本の首領
「なんやねん?わいら大人の集団就職でんがな」

関東に乗り込んだ斬り込み部隊が、警察の検挙に対して言うナイスな言い訳。

やくざ戦争 日本の首領 やくざ戦争 日本の首領
この終盤のヒットシーンが躍動感に溢れていてなかなか素晴らしい。特にヒットマン=待田京介が放った銃弾が、サニーの実弟・矢吹二朗に命中するという演出が、分かるヤツには分かるサービス(?)シーンでだった。更に散々物語を締まりのないものにしてくれた台無し男♂ホ野正平の死に様に拍手喝采したオレだった。

この事件が発端となりサニーは文太兄ィ暗殺未遂の罪で逮捕され、獄中で「かしら わしはもう あほらしてやってられんわ」の遺書をしたため自殺するのだった。サニーの物語がとにかく魅力的過ぎる。オレ的にはそれでいいのだが、一般的には、サニーが魅力的過ぎたが故に他の物語が、よりつまらなく感じさせられる結果になってしまったのである。


■組織の内部崩壊の構図


やくざ戦争 日本の首領 やくざ戦争 日本の首領
「だからお前は息の続く限りわしについてくるんだ!」

お茶漬けの味』(1952)で共演していた佐分利信(1909−1982)と鶴田浩二が25年の時を経て再び共演している。それにしても佐分利信のこの凄み。やくざ映画初出演とは思えない重厚感。まさにこの二人の融合があったからこそこの作品は、まがりなりしの説得力を持ちえたのである。

「お父さん私はサクラファミリーの一員ですよ」

この終わり方。そして、やくざ組織もまた企業のように私物化していき、内部崩壊を招いていく本質を図らずも象徴しているこのセリフが実に印象的である。

− 2007年11月17日 −


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