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日本の首領 野望篇 (1977・東映京都) | |||||
| ■ジャンル: 東映ヤクザ ■収録時間: 141分 ■スタッフ 監督 : 中島貞夫 企画 : 俊藤浩滋 / 日下部五朗 / 松平乗道 / 田岡満 原作 : 飯干晃一 脚本 : 高田宏治 撮影 : 増田敏雄 音楽 : 黛敏郎 / 伊部晴美 ■キャスト 佐分利信(佐倉一誠) 三船敏郎(大石剛介) 松方弘樹(松枝四郎) 岸田今日子(姉小路尚子) 菅原文太(天坊信助) 金沢碧(三浦かおる) |
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■あらすじ 西日本最大のやくざ組織中島組組長・佐倉一誠(佐分利信)は、政財界とのコネクションを活用し、全国制覇の為に東京侵攻作戦を決行する。一方、そんな中島組の動きに対して大石剛介(三船敏郎)を頂点とする「関東同盟」はひるむ事なく迎え撃つ意思を固めていた。そんな中ジャパンシップ乗取り事件やガルダネソス国営石油の利権争奪戦が展開される。巧妙な駆け引きを展開する二人の日本の首領。果たして勝つのはどっちだ?『日本の首領』三部作の第二作目。 ■本山アンナは二度と社会に姿を現すことはなかった ![]() 「バカヤロウ!見つかったらどうするんだよ」 にしきのあきら(1948−)の本音のセリフがコダマする。ここに展開するのはあきらとひろみ麻耶(1955− )のリアル・ガンジャ・ライフ。1977年10月、二人は本当に大麻所持で逮捕された。そして、逮捕の10数日後の10月29日に本作は公開された。もしかしたらこの二人はこの作品の共演がきっかけとなってガンジャ・セックスに耽る関係になったのだろうか?それはともかくとして、逮捕後、ひろみ麻耶は二度と社会に姿を現すことはなかった。 さすがにポルノ女優だけあって、揉み応え満点のひろみちゃんのおっぱい。ある意味このおっぱいを吸ってしまうと大麻並みに男を中毒にする効果がありそうだよな。でも吸ってみたいかも・・・ とにかく作品自体は散漫なエピソードの羅列に、感情移入しにくい描き込みの弱い人物が登場する。まさに『ゴッド・ファーザー』との差は歴然だった。佐分利信とマーロン・ブランドの力量の違い(佐分利は年を取り過ぎていた)とその脇に配された役者たちの描きこみ、ファミリー描写、カタルシス、哀愁、音楽・・・監督と脚本の力量の差以上に、製作日数の差がモロに出ている。 70年代の日本映画の敗因は、大風呂敷を広げすぎな内容に、誰もついていけなかった所にある。でもそれは今となっては笑い飛ばせるB級な魅力を生み出す結果につながっている。 ■ニューハーフ・ショーの衣装デザインも芦田淳かな? ![]() 「プライベートなパーチーやからな」片岡 成田三樹夫節全開!パーティをパーチーと言え。そして、看護婦さんに「ねえちゃん。パーチー済んだら飯食いに行こうか?肉か?魚か?」とエロオヤジ・フェロモン全開で迫り、中年用の鎮静剤を注射されてしまう間抜けっぷり。こいつと金子信雄がこの作品のムードメーカーだった。 そして、唐突にニューハーフ・ショーが映し出される。そうそうこの作品の衣装デザインは(元美智子妃殿下の専任デザイナー)芦田淳だったが、このニューハーフの衣裳も担当したのか?しかし、衣裳を超一流どころに依頼するのもいいが、その前にセットデザインにもっと力を入れるべきじゃなかったか?どんなに豪華な衣裳を着ようともセットやロケ地が安っぽけりゃ意味ないだろ? ちなみにタイトルロールで神戸クラブ「奈奈」という名が出てるが、これはニューハーフ・ショーパブの名前だろうか?それとも後半の高級売春クラブのロケ場所の店名か? ■般若の描かれたガウン デザインby芦田淳? ![]() 「たるんどるんと違うか!おまえたち!こんなことじゃ中島組の将来は闇じゃ!」中島 ダンボール箱一杯に詰まった十億円の金を前にして、ただ一言「確かに」と言う日本の首領″イ分利信(1909−1982)。本作において露骨にパワーダウンしている佐分利信だったが、物語終盤で登場する般若の描かれたガウン姿は悪趣味の極みで逆に格好いい。もしかしてこれも芦田淳のデザインか? ■う〜〜ん。ミスキャストかも・・・ ![]() 「今時指切るようなヤクザなんて格好悪うて表出されへんやないけぇ」 志賀勝のナイス突っ込みと共に物語は金沢碧(1953− )が高級娼婦へと磨き上げられ、東南アジアの独裁者の第三夫人になる展開へと雪崩込んでいく。こういう生き方は幸せなものなんだろうか?そして、日本を離れる前夜に殺害されてしまう。 もし生きていたら彼女はデヴィ・スカルノ(1940− )になっていただろう。ちなみに俺のシドニー時代の友人のインドネシア人の華僑は、スカルノ一族とも親密な貿易商だったが、デヴィ・スカルノの知名度は低いと言明していた。 「やくざは女は殺さんが、政治は容赦せん」中島 自殺に見せかけられて殺害されたかおるの記事を読み、部下の鬼沢(小池朝雄)を詰問する大石(ミフネ)。「まさかお前ではないだろうな」と聞かれた後の鬼沢の含み笑い。この含み笑い・・・そんじょそこらの役者には出せない悪の香り=B本当に小池朝雄という役者は魅力的な役者だ。 ■新鮮すぎる岸田今日子と松方弘樹のベッドシーン ![]() 「あなた女を道具に使うくせに、ご自分はうぶな少年みたいね」姉小路 「あなたって強いわ。でもそんなに張りつめたらちゃかえって危険じゃないこと」姉小路 「私あの子に何をしたの?たぶんいいことじゃないみたい」姉小路 乗馬服姿の岸田今日子(1930−2006)。その名も姉小路尚子。セリフはいちいちお蝶夫人口調。これが意外に様になっている。没落貴族の娘でありながら、平穏無事な日常に倦怠し、冒険を望む女性。高級娼婦クラブのママになり、華やかな蝶々を率いるが、やがてその醜さ・空しさ・儚さを目の当たりにし、失望の淵に沈みこんでしまう。 そして、愛を交わしあった松枝(松方弘樹)が、敗北感に苛まれ唯一の心の拠り所と彼女にすがりつこうとするのだが、見捨ててしまう。何とも貴族というものは結局は自己憐憫の塊であり、肝心なところでその鈍感さ故に<сNザ以上に残酷である。 ■追い詰められ上手な橘麻紀ちゃんに追い詰められたいオレ ![]() 小池朝雄(1931−1985)がいい仕事してるなぁ。さり気なく追い詰められ上手な°k麻紀ちゃんを追い詰めていくシーン。しかも麻紀ちゃんのカーラー使用中姿が最高にナイス。いかにも夕方からお水しに行きますという幸の薄さがオレのツボなんだよなぁ。しかも函館だからね。この人の表情はなんとも男の陵辱本能をくすぐるんだよな。 一方、残念なのは前作でナイスボディを披露してくれていた真樹子役の折原真紀の露出がなかったことだ。それにしても真樹子が連れてきた不良外人・アル・サンダース。こういう男を看護婦の送迎バスの運転手にしちゃいけねえだろ?オレは逆にアル・サンダースに同情してしまったよ。多分こいつも神戸港あたりに沈められてそうだから。 それにしても小池朝雄再び。そう藤岡琢也を拷問するシーンのえげつなさ。「吐いたらすぐに殺してやる」って・・・鬼畜すぎだよ。このシーンとクレーンで拷問されてるチンピラの姿は、70年代東映印なグロさだよな。 ■ノブオ・オン・ステージ! ![]() 「下手に寿命があるとそれだけ苦しみも多くなって考えものです」中島 本作の話題は佐分利信と三船敏郎(1920−1997)の共演だった。さすがにミフネが出てくると画面が締まりまくる。しかし、何か品が良すぎて怖さのないミフネだった。 「香港はあちぃ〜ですか?」 「東京の夏も暑くなりそうですなぁ」「君たちが火ぃつけたんじゃないの」 「わたくしとしてもね・・・今はこのじっとじっと我慢の子なのよ」 金子信雄(1923−1995)に女を侍らせると必ずいい芝居をしてくれるという伝説が70年代東映にあった。そして、この作品でもオン・ステージを披露してくれている。いかにも本番でアルコールが入ってそうな赤ら顔に女の子たちへのお触りと、ただキャバクラ遊びしているノブオの姿を延々と見せ付けてくれる。 ■果たして完結篇で起死回生できるのか? ![]() 最終的に中島の関東進出は見事に失敗し、若頭の松枝も自殺してしまう。そして、物語は完結篇へと雪崩れ込む事になる。それにしても超豪華キャストで作られたにも関わらずどうしてこれ程薄っぺらい作品になってしまったのだろうか? プロの仕事としては5段階評価で1にも値しないほどの出来の悪い作品である。何よりも演出能力が恐るべき程低い。日本映画の凋落は間違いなく1970年代後半の大作主義が、結果的に監督の力量不足をごまかす映画作りの奨励へと向ってしまったことから始まったのである。 これ程のキャストが揃ってこんな低レベルな作品を作り上げる中島貞夫という監督こそある意味恐るべしだった。1970年代後半力量の伴なわない監督の大作が、80年代のバブル期にさらに迷走を増長し、今にいたる凋落の流れを作ってしまったのである。日本映画はそろそろ全ての悪癖を断ち切り、新たなる製作方法を模索しなければいけないだろう。既にテレビ局主体と言う破滅的な流れの中に邦画は身を任せているのだから・・・ − 2008年3月1日 − |
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