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オーメン   THE OMEN(1976・アメリカ)
■ジャンル: ホラー
■収録時間: 111分

■スタッフ
監督 : リチャード・ドナー
製作 : ハーヴェイ・バーンハード
脚本 : デヴィッド・セルツァー
撮影 : ギルバート・テイラー
音楽 : ジェリー・ゴールドスミス

■キャスト
グレゴリー・ペック(ロバート・ソーン)
リー・レミック(キャサリン・ソーン)
デヴィッド・ワーナー(ジェニングス)
ハーヴェイ・スティーヴンス(ダミアン)
ビリー・ホワイトロー(ミセス・ベイロック)
レオ・マッカーン(ブーゲンハーゲン)
オーメン
オカルト映画ブームここに最高潮に達せり!666という数字が生み出すある種の『悪のファンタジー』が当時の観客を虜にした。悪魔というものが実際存在するかもしれないという恐るべき説得力に満ち足りた映画であり、グレゴリー・ペックとリー・レミックの存在が本作を格調高いものにした。

■あらすじ


6月6日午前6時、ローマにてアメリカの外交官ロバート・ソーン(グレゴリー・ペック)の夫人キャサリン(リー・レミック)は、男の子を死産した。その時ロバートの前に一人の神父が現れ、丁度同じ時間に生まれた男の子をキャサリンに内緒で実の子にすればと提案され、そうすることにする。そして、ダミアンと名づけられたその子が5歳の誕生日を迎えたときから様々な奇怪な出来事が起こるようになる。


■首チョンパーの衝撃!


オーメン
多くの映画でドナルド・サザーランドに並んでやる気のないオヤジを演じてきたデヴィッド・ワーナー
(1941− )が、本作においてかなりやる気満々のカメラマンを演じていることこそ一つのオカルトであるという人々の好奇の眼差しの前で彼の首チョンパーの儀式は行われる。

オーメン オーメン
そう、やはり『オーメン』といえば首チョンパーのシーンか、神父さん串刺しのシーンが印象深い。『エクソシスト』(1973)から本格的に始まったオカルト映画ブームの中作られた作品群の中でも本作は、出色のショックシーンの数々が登場する。

ダミアンの子守の娘ホリー(ホリー・パランス)がパーティー客の眼前で首吊りをするシーンから始まり、神父さんが教会の避雷針に串刺しにされるシーン、キャサリンがダミアンのこぐ三輪車によって2階から金魚鉢ごと落下するシーン、キャサリンが病院の窓から突き落とされ、救急車のルーフを突き抜け死亡するシーン、ジェニングスがトラックに積まれたガラスによって首ごとチョンパーされるシーンと連続描写される。

これらのシーンの素晴らしさは、ほとんど血が噴き出さないところにある。昨今の映画が芸術性よりも娯楽性=商業主義を重視する傾向にあるため安易な現実描写=残酷描写を好むことにより、ショックシーンはショックを生むだけで、全く記憶に残らないようになってしまっている。

実は全ての記憶に残るショックシーン(『サイコ』のシャワー・シーンをはじめ)は血とは無縁であり、極めて想像力に訴えかけるシーンばかりなのである。これは名アクション・シーンにおいても言えるのだが、
過度の流血シーンは、人間の記憶のスイッチを通り越して忘却のスイッチを押してしまうというものなのである。

ちなみにホリー・パランス(1950− )はジャック・パランスの娘であり、『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997)の監督ロジャー・スポティスウッドの元妻でもあった(1983−1997)。


■グレゴリオ聖歌の荘厳な響き


オーメン
何よりも印象深いのが、ジェリー・ゴールドスミスによるテーマ曲である。グレゴリオ聖歌による荘厳なテーマ曲
『アヴェ・サンターニ』は1976年アカデミー作曲賞を受賞した。この曲が本作の世界観の構築に果たした役割はすごく大きい。

そして、もう一人本作に貢献したのが『博士の異常な愛情』(1964)『スター・ウォーズ』(1977)の天才カメラマン・ギルバート・テイラーである。この人のカメラワークとゴールドスミスの音楽と主演俳優達の重厚な演技が三位一体となって『オーメン』は作り出されたのである。

悪魔の存在を一切描写せずに、ここまで悪魔の存在をひしひしと感じさせるこの世界観の構築は、まさに奇跡に近い所業である。


■グレゴリー・ペックとリー・レミック


オーメン オーメン
主役の2人の俳優グレゴリー・ペックとリー・レミックが素晴らしい。やはりホラー映画は若者ではなく年配の名優達の方が重厚感が出て魅力的になる。ちなみにグレゴリー・ペック(1916−2003)演じるロバートの役柄は当初チャールトン・ヘストン、ロイ・シャイダー、ウィリアム・ホールデンにもオファーされていたという。ちなみにホールデンは『オーメン2』に出演している。

グレゴリー・ペックという人は、チャールトン・ヘストンとは違いある意味的確な演技力を持った人であった。本作においても否応無しに不安が増殖していく過程を実に見事に演じあげている。

ペックは本作を25万ドルという彼にしては安いギャランティーで引き受けたが、さらに映画の収益の10%がギャランティーになるという条件だったので、少なくとも6000万ドルを手にしたと言う。そのことにより本作はペックのキャリアの中で最も高額な仕事となった。

そして、妻キャサリンを演じるのは『酒とバラの日々』(1962)で名演技を見せたリー・レミック(1935−1991)である。当時40代前半であったにも関わらず全く美貌は衰えていない。そして、相変わらず吸い込まれそうなブルーアイで魅了してくれる。

キャサリンとダミアンがヒヒに襲われるシーンは、実際のところ予想以上にヒヒが襲い掛かってきたのでリー・レミックもハーヴェイ坊やも本当にパニック状態だったという。


■ダミアン


オーメン
ダミアンを演じたハーヴェイ・スティーヴンス(1970− )は、本作以降は主だった映画には出ていないが、2006年にリメイクされた『オーメン』ですっかり禿げ上がった好中年になってゲスト出演している。

本作においてダミアンの普通の子供っぽさの中から、見ている側の先入観により魔性さがかきたてられるように描写されており、それ故にロバートと同じように見ている側も
「不幸続きのせいで子供を殺したいと思うほど父親が追いつめられた話」(リチャード・ドナー曰く)かもしれない話を悪魔と結び付けて考えてしまうのである。

ハーヴェイは実際はブロンドの子供だったが、ドナーが靴墨で染めさせ、コンタクトで目の色も変えたという。ちなみにダミアンが三輪車で家の中を走る有名なシーンは後に『シャイニング』(1980)の三輪車シーンに影響を与えたという。

そして、ダミアンの子守ミセス・ベイロックを演じたビリー・ホワイトロー(1932− )の存在感が凄まじい。ある意味一番目立っている人かもしれないのだが、
特にキャサリンを病室で死に追いやるシーンのあの佇まいとニヤリと笑う表情が怖さを通り越して惚れ惚れするくらい格好いい。ホワイトローはイギリスの舞台女優で、ヒッチコックの『フレンジー』(1972)や『モーリス』(1987)にも出演している名優である。


■悪魔の呪い


オーメン
『オーメン』製作中にさまざまなアクシデントが起こったという。

1.リチャード・ドナーの滞在するホテルがIRAテロリストによって爆破された。
2.グレゴリー・ペックがチャーターしていた小型飛行機をキャンセルしたのだが、その飛行機は日本人ビジネスマンの一団を乗せて墜落した。
3.ヒヒを撮影していたサファリー・パークでその日ライオンの調教師がライオンに襲われ死亡した。
4.撮影終了後、『遠すぎた橋』(1977)のセット上で特撮担当で首チョンパーシーンの考案者ジョン・リチャードソン(1946− )がガールフレンドとドライブ中交通事故によりガールフレンドの首が吹っ飛ぶ。そして、その時車の速度計は66.6キロで停止していた。

そういったアクシデントの数々を悪魔の呪いだと囁く撮影関係者もいたという。


■見事な撮影トリック


本作において実に見事な撮影トリックが使われている。それはキャサリンが二階から落下するシーンにおいてだが、どこからどう見てもスタントを使わずに実際に落下しているように見えるシーンである。しかし、実は壁にプラスチックの水溜りや破片などを貼り付け、その壁を床とみなして、レミックが回転しながら垂直に移動しただけというシンプルなトリックによるものだった。

こういった創意工夫溢れる撮影に対する姿勢が、CGなどの技術に全てを任せきる撮影に対する姿勢よりも魅力的を映像を生み出すのだろう。
チャップリンが言っているのだが、映画を製作するにあたり人が増えれば増えるほどその映画の質は低下するという。最近の映画のクレジットを見ているとこの言葉がずばり正しいように思えてくる。


■666


オーメン
「知恵はここにあり、心ある者は獣の数字を数えよ。数字は人の数字にして666なり」
新約聖書 ヨハネの黙示録 第13章 第18節

本作の一つのシンボルである666の数字について、聖書においてはローマ皇帝ネロ(キリスト教の迫害者)を意味するとも言われている。ちなみにキリスト教において7は完全な数字とされている。そして、当初本作の題名は『オーメン(予兆)』ではなく『アンチキリスト(反キリスト)』か『バースマーク(生まれつきの痣)』で考えられていたという。

ちなみに当初はダミアンも死ぬ予定だったが、最終段階で追加撮影により、あの見事なにやりと不気味に微笑むシーンが追加される。


■オカルト映画ブーム最高潮に達す!


本作は280万ドルの低予算で撮影され、アメリカだけで600億ドルもの収益を挙げた。この大ヒットにより3部作で製作されることが決定された。

そして、本作がリチャード・ドナー(1930− )の出世作となった。のちに彼は『スーパーマン』(1978)『グーニーズ』(1985)『リーサル・ウェポン』シリーズ(1987−1998)とヒット作を連発するようになる。当初は『死にゆく者への祈り』(1987)のマイク・ホッジス(1932− )に監督を依頼していたが、ホッジスは拒否した。結局『オーメン2』(1978)の監督をすることになるが、3週間で首になる。

− 2007年6月17日 −


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