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女必殺拳 危機一発   (1974・東映東京)
■ジャンル: アクション
■収録時間: 86分

■スタッフ
監督 : 山口和彦
脚本 : 鈴木則文 / 掛札昌裕
撮影 : 中島芳男
音楽 : 菊池俊輔

■キャスト
志穂美悦子(李紅竜)
倉田保昭(椿俊輔)
室田日出男(大曽根一成)
光川環世(李白蘭)
内田朝雄(藤田徹道)
石橋雅史(本位田猪一郎)
田中久子(王美麗)
女必殺拳 危機一発
今回はなんとホットパンツで悦っちゃんが活躍するのか?っと期待したが、それはポスターだけの話だった。う〜ん、さすが東映。妄想を商売にする会社。しかし、今回の悦っちゃんのアクションは切れ味抜群だぜ。それをこのホットパンツ姿でしてくれていたら『女必殺拳 純情篇』みたいな感じで10作くらいシリーズ化されてたかもな。

■あらすじ


東京で行方不明になった幼馴染の友人美麗を探すために、香港から日本に渡った李紅竜(志穂美悦子)。クンフーの使い手椿俊輔(倉田保昭)の手を借りながら、女性の臀部にダイヤモンドを埋め込み密売している大曽根(室田日出男)のもとに美麗がいることを知る。早速美麗救出のため、行動する紅竜だったが、実は宝石デザイナーの実の姉白蘭(光川環世)が大曽根の愛人に貶められていた事を知る。二人の女性を救うために大曽根のアジトに乗り込む紅竜だったが・・・


■悦っちゃんっていい意味で∫翌オいよな


志穂美悦子 志穂美悦子
まだまだ志穂美悦子(1955− )の魅力は過小評価されている。物語なぞ山口−鈴木コンビに期待するだけ無理な話。しかし、彼女の魅力は史上最低につまらない作品にも命を吹き込んでいく。

この作品の悦っちゃんはかなり魅力的だ。僅か数ヶ月しか違いがないのに、前作に比べて悦っちゃんが段違いに綺麗になっている。ブルーのホットパンツに白ブーツのアクション。あのポスターの衣裳を期待していたオレの期待は無残に打ち砕かれたが、悦っちゃんの申し訳なさそうなアクションを見ているとそんな事あっさりと許せてしまう。

しかし、悦っちゃんは、現在の基準で言うと、肩幅と二の腕の筋肉は並みの女子プロレスラー以上だよな。
ある意味今よりも昔の方が、女性の美の基準に対して広範囲だったという事ではないか(それは素晴らしいこと)?

勿論剛君はこの逞しい腕に抱きしめられることを夢に見ていたんだろうなぁ。そして、絶対こう言ったはず「悦っちゃん。あのポスターで履いてた青のホットパンツと白ブーツすごく似合ってたよ。だから同じようなのを買ってきたんだ・・・もしよかったら履いてくれないかな」


■汚れていること!それが人間の魅力を引き立たせる!


女必殺拳 危機一発 女必殺拳 危機一発
70年代東映!って感じな音楽にのせて悦っちゃんのフォームの綺麗な飛び蹴りと共に、少林寺拳法の胴着を着ての演武姿から物語は始まる。もちろん最初は香港から始まる。しかも悦っちゃん達が広東語を話している。いいねえ。あの伝説の『ゴルゴ13 九竜の首』テイストの香港描写。

この頃の香港の船上売春宿や貧民窟といった胡散臭さは、一種のロマンだったよな。
何か汚いものを綺麗に装って隠そうとする現在よりも、汚いものは汚いままで見せる昔の方が、遥かに面白い時代だったんじゃないかな。


■悦っちゃんが一番美しい作品(推定)


女必殺拳 危機一発 志穂美悦子
颯爽と舞台は東京に移されていく。そして、悦っちゃんのアクションのキレも前作から遥かに進化している。特に上段蹴りのフォームが美しい。恐らくこの時期の悦っちゃんは本場のクンフー映画を見まくって研究していたんだろうなぁ。表情もイチイチ決まりまくっている。

そして、前作と同じようにスーパー・インポーズつきの悪党がたくさん登場する。しかし、今回は、前作のような魅力的な面々=「胡散臭い外国人」は登場しない。それがこの作品の魅力なのだが・・・

前半部分で走る貨物列車の上で繰り広げられるアクションは実に素晴らしい。実際に走る列車の上で爽快にアクションする悦っちゃんを見ていると、画面狭しと飛び跳ねて様になる人ってそうそういないもんだなと実感させられる。
そして、本当の娯楽作品≠フ主役をはれる女優は今いないんじゃないかと・・・

今日本映画に必要なのは、娯楽作品の存在である。それはクソったれジャニーズ作品でも、(ナルシシズム的な)大した芝居でもないのに悦に入ってる役者の芝居を見せられる作品でもない、純粋に楽しめる作品を自由な発想で作るべきなんじゃないのか?そして、そんな作品で爽快に活躍してくれる悦っちゃんのような女優の存在も・・・
そして、もうそろそろVシネマのヤクザものも考えた方がいいんじゃないのか?


■色っぽいよなぁ。光川環世って


女必殺拳 危機一発 女必殺拳 危機一発
今回、悪党のボス・大曽根を演じるのは、室田日出男(1937−2002)だ。とにかく表情がイチイチ濃くてB級っぽくて良い。そして、宝石デザイナーになるために日本に出てきたが大曽根に犯されその現場を隠し撮りされていて脅され、愛人にさせられてしまう紅竜の姉白蘭に、光川環世(1950− )が扮する。

っていうかそんなに社会的地位の高そうでもない白蘭がレイプ現場の動画で脅されたところで、警察に駆け込めば逆に大曽根が不利になるだけだと思うのだが・・・

この光川環世という人、台湾出身の女優だけあって、顔の作りがはっきりしていて美しい。しかし、役柄は東映映画にありがちな全く美味しくない悲惨な役柄だった。ちなみに彼女はこの作品で引退することになるが、引退の仕事がコレというのもなんだか可愛そうな話である。
室田に乳吸われて引退するなんて、なんだかなぁ。


■ニューハーフとモンゴル人とホタテマン


女必殺拳 危機一発 女必殺拳 危機一発
敵役の中でも比較的印象的なのが、この三人。オウムを肩にとまらせている酔いどれ医者とモンゴル天空剣≠フ使い手キング・ヘシウス。そして、おかまの村川眉美だ。
それにしても、エッチを隠し撮りする二人の後ろに映る写真。今時ならやばくないか?大らかな時代だったんだよな昔は。

ちなみにこの村川眉美を演じている人は、マダム・ジョイという当時赤坂にあったニューハーフ・クラブ「ジョイ」のママだった人らしい。恐らく山口君の行きつけの店だったんだろう。
「ママ綺麗だから映画出てみない」のパターンだろうどうせ。

折角70年代に綺麗なニューハーフを出したのは良かったが、肝心の山口君の演出がダメなので、全くマダム・ジョイの役柄は生きてなかった。オレ的には、もっと怪しい雰囲気でエロくエマニュエル椅子にでも座らせてスリットの入ったドレスを着させて、男の理性を狂わせるくらいの演出をして欲しかった。

そして、キング・ヘシウス(なんじゃそれ?)。案の定彼が登場するシーンで、武道家を囲っている大曽根の特訓所を映し出すときに、壮大なクラシック音楽が流れる。いかにも音楽の素養が低そうな選曲=
ムソルグスキーの交響詩・禿山の一夜。これって後に『スケバン刑事』辺りでも嫌という程使用されてたよな?

そして、またお約束的に悪党のボスが宙返りを決めるのだが・・・さらに
飼育した#髢ァ兵器・ホタテマンまで登場する。しかし、なんか本作は多く登場する割りにはコレッっていうネタに出来る悪党が不在だった。


■グロければグロいほどいいわけじゃないんだぜ


女必殺拳 危機一発 室田日出男
この作品の最大の欠点は、ただグロいだけのシーンの羅列にある。特にダイヤモンドを中国人の女性の身体に埋め込んで密輸するという手法もそうだが、それ以上に白蘭に対する火あぶりと氷攻めによる拷問シーンが、えぐい。
正直オレはこういう描写=「人の命を弄ぶ描写」には、娯楽作品といえども受け付けないな。

とにかく「え?なんでそこまでやる」のという描写が続く。最後は、「きえぇぇぇ〜〜」と奇声を発しながら白蘭の両目を突き刺す室田の姿。失神する白蘭の姿を尻目にヘラヘラ笑う室田の姿に、何気に石橋雅史がマジでうんざりしてそうな表情だが印象深い。


■倉田保昭のアクションも受ける側に問題あり


女必殺拳 危機一発 志穂美悦子
そして、いつもの如くあっさりとおびき寄せられる悦っちゃんなのだが、そのオートレース場で、何故か小走りに助走して突進してくる一人の刺客。そして、スーパーインポーズが出るや否や一撃で悦っちゃんにやられてしまう。まさにスーパーインポーズの停止時間よりも短い活躍時間だった。

しかし、悦っちゃんが敵におびき寄せられている間に、少林寺拳法東京道院に匿っていた悦っちゃんの親友・美麗がいとも簡単に暗殺されてしまう。っていうかこの作品って協力 日本少林寺拳法連盟≠セったよな?

オレは即座に「少林寺拳法ってしょぼぉ〜〜」と感じてしまったぜ。一人の人間を守れなくて何が拳法か?よく少林寺拳法がこの筋の流れで協力したよな。石橋雅史のキレのある動きとか見てても、やっぱり当時だったらオレは極真空手の方が数十倍魅力的に感じただろうなぁ。今はともかくとして・・・

遂に登場する和製ドラゴン=倉田保昭(1946− )。ちょっとむさ苦しい髪型は置いとくとしても、上半身裸になってからのアクションのキレは、受ける側と噛み合ってない気もするが、なかなか素晴らしい。但し『帰って来たドラゴン』などの本場の倉田保昭を見てしまうとどうしても見劣りしてしまうのはしょうがない。

実際の所JACと言えども、本場のクンフー映画と比較するとそのレベルの違いは明確すぎる。


■ケンシロウ対シンの空中交差ふたたび!


女必殺拳 危機一発
何故か突然この画面になります。復讐に向う悦っちゃん。今時の作品もたまにこういった劇画チックな演出を使うのが多いが、どれもケレンミたっぷりに演出するので、ダメ。しかし、
こっちの方は山口君の演出力のなさが効を奏していて、全くケレンミがないので逆に良い。

女必殺拳 危機一発 女必殺拳 危機一発
出ました出ました!「ケンシロウ対シンの空中交差」よ再び!の最後の空中戦。しかし、結果はやはりしょぼかった。しかし、白のクンフー着の悦っちゃんが格好良いので許す。っていうかこの人って衣裳に着られてるって感じがしない女優さんだよな。

そして、死の間際に姉から手渡された密輸ダイヤを「姉さ〜〜ん!」と叫びながら海に投げ捨てる悦っちゃん。オイオイ捨てんのかい?という突っ込みもよそに夕陽の中物語は終幕を迎える。

それにしても悦っちゃんを見ていて思うのだが、
この人の凄いところは、その身体能力と同じくらいの表現能力の高さにあったのではないだろうか?最近のコスチュームもの『西遊記』『さくらん』・・・などのクソッタレ映画の登場人物は、衣裳に着られてるって感じ。しかし、悦っちゃんは衣裳にフィットしてる。そこが並みではない。

そういった意味においては、彼女がなぜアクション映画以外でもその存在感が大きかったのかという答えが見つかるはずである。女優は何をするにおいてもその女優だけが持ちうる存在感を磨き上げなければいけない。まさに偉大なる名優マイケル・ケインが言った言葉そのものである。

「どんなシーンであろうとも、俳優は自分が映るシーンには責任を持たなければならない」最近の日本の若手俳優(アイドル俳優は論外)にはこの意識が著しく欠けている。厳密に言うと鏡を眺めて悦に浸ってるとしか思えない芝居が羅列されている。最近の俳優は表情までも冷凍食品のような人が多い。チンして出来上がり。でもどれも冷凍食品はやはり冷凍食品。手作りの料理の味わいが全く存在しない。

邦画の凋落は、冷凍食品のような俳優=「厳密には誰かに作り上げられた商品」が、跋扈している現状だからこそ、生み出されている当然の結果なのである。逆に言うとかつて活躍していたが、今も苦節の中俳優をしていますと言う俳優と協力して作品を作り上げて言った方が、魅力的なものが出来るのではないだろうか?

今の邦画界は、
「中身のないパッケージ商品」を輩出し続けているが、今後の世代は、そういったものに反発する「中身の伴なった手作り感覚の商品」を輩出していくようになるだろう(そうなっていかざるを得ないだろう)。脚本はダメでも、演出がダメでも、先輩にサニーがいて、感性を磨く努力を怠らなかった悦っちゃんのその姿があったからこそ、70年代は魅力的なものを輩出していけた。

一人の人間の魅力が、周りを影響し凌駕していく。悦っちゃんはそういった点においては、もっともっと評価されるべき女優なのである。彼女は間違いなく70年代を代表する女優だった。

− 2007年12月18日 −


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