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サブウェイ・パニック THE TAKING OF PELHAM ONE TWO THREE(1974・アメリカ) | |||||
| ■ジャンル: サスペンス ■収録時間: 100分 ■スタッフ 監督 : ジョセフ・サージェント 製作 : ガブリエル・カツカ / エドガー・J・シェリック 原作 : ジョン・ゴーディ 脚本 : ピーター・ストーン 撮影 : オーウェン・ロイズマン / エンリケ・ブラボ 音楽 : デヴィッド・シャイア ■キャスト ウォルター・マッソー(ザカリー・ガーバー警部補) ロバート・ショウ(ミスター・ブルー) マーティン・バルサム(ミスター・グリーン) ヘクター・エリゾンド(ミスター・グレイ) アール・ハイドマン(ミスター・ブラウン) |
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■あらすじ ニューヨークの地下鉄でペラム123号が、4人の武装した男達に乗っ取られた。サブウェイ・トレイン(地下鉄)をハイジャックするという空前の出来事の中、武装犯のリーダー・ミスター・ブルー(ロバート・ショウ)はニューヨーク市に対し、18人の人質と引き換えに、100万ドルの身代金を要求した。そして、地下鉄公安局のガーバー警部補(ウォルター・マッソー)は早速人質救出のために動き出した。タイムリミットは僅か一時間果たして人質を救出出来るのだろうか? ■100万ドルを持って逃げ切ってくれ! ![]() 「100万ドルを持って逃げてくれ!」初めてこの作品をビデオで見た当時、中学生のオレはそう願っていた。冷静沈着なミスター・ブルーが、殺して殺して逃げ切ってくれ!ガキにとっても、そういった単純さにおいてこの作品はとても楽しめるものだった。 私の友人の多くもガキの頃この作品を見て同じ感情を持ったという。「逃げ切ってくれ」という感情が。なぜそこまで犯人に感情移入できたのか?ガキがオヤジ達に共感してしまうその魅力は何か?実際の時間に合わせて進行する物語。小気味良く犯人・警察・市政サイドを映し出すリズム感。時代の空気と都市と人間を見事に捉えている映像。そういったものが織り交ざって物語の中に現実感を生み出していた。それがこの作品の魅力である。 70年代の映画にはこういった作品が多かった。『スターウォーズ』の中にさえも生活観が存在し、現実感を導く要因へとつながっていた。そして、そういったものが存在したからこそ登場人物に感情移入する余地が生み出された。 だから最後に追い詰められるショウがマッソーを騙まし討ちしてヘッドロックとグーパンチでもかまして、無事逃げおおせてくれ!と心底望むことが出来たのだった。 ■緊張感が途切れたとき敗北はその身に降りかかる ![]() 「Gesundheit!」 劇中で無線機越しにミスター・グリーン(マーティン・バルサム、1919−1996)がくしゃみをするたびにガーバー警部補(ウォルター・マッソー、1920−2000)が言うセリフがこれである。「お大事に」といった意味のドイツ語だが、このセリフ一つが最後の最後に何千発の銃弾よりも鮮やかな閃光を鑑賞者の前に放ってくれる。 そんな最後のシーンの一寸前に、ももひきにガウン姿で薄汚れたベッドに金をばら撒き、札束のプールの中で嬉々とする生き残りのハイジャック犯グリーンの姿が爽快さとは逆の感情を観ているものに湧き上がらせる。今の日本の中年男女のそこら中に鬱積する虚しさ・憤り・・・ そして、そんなオヤジの大勝利を一瞬にして崩壊させるマッソーの表情。こんな表情で見られたらどんな犯罪者でも心底ぞっとしてしまうのではないだろうか?ある意味底冷えするほどの恐怖に満ちたこの表情があったからこそこの作品は見事に成立したのだった。 ■実は的を得ているステレオ・タイプな日本人の描写 ![]() 一度聞いたら耳から離れないほどに男くさいデヴィッド・シャイアによる70年代チック丸出しの軽妙なオープニング・スコア音楽が素晴らしい。 「東京の地下鉄でも犯罪はあるんでしょうな?」 1995年に勃発するオウム真理教による東京地下鉄サリン事件を思い出させるセリフとともに、NYの地下鉄に研修にやってきた日本人たちとガーバーのやり取りが映し出される。一見すると「モンキー」やら差別的な単語が飛び出しており、うんざりさせる程に差別的で歪曲された日本人の描写とも言えるが、そのオチの部分で差別を笑い飛ばす姿勢が存在するのを見逃してはいけない(英国訛りと聞いてホモだろ?と言ったり黒人を「ニガー」と言って殴ったりしている)。 ■70年代な乗客たち ![]() ちなみにこの作品において現在ハリウッドで活躍する二世俳優達の両親が出演している。ガーバーの右腕的存在であるリコを演じるジェリー・スティラー(1927− )と、操縦士デニー・ドイルを演じているジェームズ・ブロデリック(1927−1982)である。この二人の息子はベン・スティラーとマシュー・ブロデリックである。 二人の父親もなかなか魅力的な芝居を見せているが、なんといっても妙に印象深いのが、マリアム・ダボとジュディ・フォスターを足して二で割ったかのようなブーツにジーンズ、臍だしルックでクロスワードをしているモデルのようなお姉様と鬼瓦のような形相の黒人の地下鉄職員の女性&黒人のポン引きである。 ■ロバート・ショウの安定感 ![]() 「最初に誰を殺す?」「誰でもいい」ミスター・ブルー 「忠告するよ。これが終わったら精神病院へ行け」ガーバー 「25万ドル。いいや、今年分のワイロは取り終わったよ」ガーバー ハイジャック犯のリーダー・ミスター・ブルー(ロバート・ショウ、1927−1978)の経歴が、アフリカを転戦した元傭兵という所がいかにもこの時代的で素晴らしいが、それ以上に素晴らしいのがショウの落ち着いた英国英語のセリフまわしである。やはりこういった作品の悪役にはシェイクスピア俳優の品の良さが似合う(『ダイ・ハード』然り)。 ちなみにあまりにも有名な話だが、この作品でハイジャック犯たちがミスター「色」で呼び合っていた状況を、クエンティン・タランティーノが自身のデビュー作『レザボア・ドッグス』(1992)において、悪党同士でミスター・ピンクやミスター・ブロンド(これは色か?)という風に呼ばせる状況で再利用した。 ■リメイクする必要があるのか? ![]() 1973年にジョン・ゴーディ(1913−2006)が発表したベストセラー小説を翌年映画化した作品が本作である。当初テレビ・ムービー等で着々と良作を撮っていたスピルバーグも監督候補に挙がっていた。 本作の映画化にあたり、当初ニューヨーク市の交通局は、実際にニューヨークの地下鉄構内を撮影することを拒否した。その理由は模倣犯罪の勃発を恐れてだった。結局当時のニューヨーク市長リンゼイの仲介により、7万5000ドルの反ハイジャック保険の加入と27万5000ドルという法外な地下鉄構内使用料により撮影が許可された。 本作は2009年公開予定でトニー・スコット監督、デンゼル・ワシントン、ジョン・トラヴォルタ、ジェームズ・ガンドルフィーニ出演でリメイクが決定している。 − 2008年3月20日 − |
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