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ポルターガイスト   POLTERGEIST(1982・アメリカ)
■ジャンル: ホラー
■収録時間: 115分

■スタッフ
監督 : トビー・フーパー
製作 : スティーヴン・スピルバーグ / フランク・マーシャル
原案 : スティーヴン・スピルバーグ
脚本 : スティーヴン・スピルバーグ / マイケル・グレイス / マーク・ヴィクター
撮影 : マシュー・F・レオネッティ
音楽 : ジェリー・ゴールドスミス

■キャスト
ジョベス・ウィリアムズ(ダイアン・フリーリング)
クレイグ・T・ネルソン(スティーヴ・フリーリング)
ヘザー・オルーク(キャロル・アン・フリーリング)
ビアトリス・ストレイト(ドクター・レッシュ)
ゼルダ・ルビンスタイン(タンジーナ・バロンズ)
ポルターガイスト
子供が安心して恐がることの出来る良質のホラー映画。テーマパークのような豊かな色彩と光彩が奏でるシンフォニーを通り過ぎると、最後にそこにはビックリするお化け屋敷のような展開が待ち構える。一人も死人が出ない安心感。ホラーを親子が一緒に楽しめるように作ってみましたという姿勢は、今でも新鮮であり、逆に今の方が、視野の狭いホラーが氾濫しているとも言える。怖がらせるだけでは物足りない。怖さの中にファンタジーの持つ恍惚感や映像的な美しさを追求した作品。

■あらすじ


深夜に点けっぱなしのテレビの砂嵐の前に佇む少女キャロル・アン(ヘザー・オルーク)。やがてテレビの前で彼女は「ハロー」と声をかける。そんな姿を見て呆然とする家族の人々。その日を境に邸宅内で不思議な出来事が頻発する事になる。そして、嵐の夜、庭の大木がキャロル・アンの兄ロビーに襲い掛かる。早速父スティーブ(クレイグ・T・ネルソン)と母ダイアン(ジョベス・ウィリアムズ)は救援に向う。そして、無事ロビーを助けたのも束の間、キャロル・アンが行方不明になってしまう。


■親子が安心して楽しめるホラー映画の誕生


ポルターガイスト ポルターガイスト
ポルターガイストとは、ドイツ語で騒ぎ立てる霊魂≠ニいう意味である。1970年代末から人々は、未知なる物に惹きつけられた。それはUFOであったり、宇宙人であり、心霊現象だった。そういった流れの中で1982年にスピルバーグは『E.T.』と本作を発表した。

片方は、宇宙人をファンタスティックに描き、本作は、心霊現象をファンタスティックに描いた。
一人も死人が出ないホラー映画の誕生は、本来子供には未知の領域だったホラー映画の門戸が開かれた瞬間でもあった。


■何故テレビに少女は吸い込まれていったのか?


ポルターガイスト ポルターガイスト
そんな子供に対しての意図とは裏腹に、本作にはまた別の側面もあった。郊外に開発された新興住宅地。隣の家と同じ型のテレビリモコンによる電波障害。ラジコン。『スター・ウォーズ』印のキャラクター・グッズの数々。小鳥の死骸を便器に流そうとする母親。キッチンに備え付けられた小型テレビ。睡眠中も点けられたままのテレビ。ベッドに座りマリファナを吸い合う30代の夫婦。

新興住宅地の開発が急ピッチで進んだことによって、多くの家族は大きな屋根の下で分散していった。そして、実はこの時代が、現在につながる家庭崩壊の兆候でもあった。この作品の前半部分は実に退屈である。そして、それはこの一家の倦怠の姿が描き出されているからである。ベッドでマリファナを吸い合うが、会話の噛み合わないこの夫婦。そして、おもちゃに囲まれているが、何か神経質な2人の子供と、思春期に差し掛かり両親を煩わしく思う娘。

特に主人公のダイアンからは、ホットパンツ姿で30代前半の若さに溢れる肌を持て余し、子育てに邁進してはいるが、何か満たされないものを感じる。そこにポルターガイスト現象が起こる。一つの危機の中で、娘と離れ離れになり、子への親の責任と愛情を再認識し、そして、
大きな離れ離れの空間から、一つの小さなモーテルで肌を寄せ合うラストへと展開していく。

ずっとテレビに見守られて生きていたこの家庭が、テレビの呪縛から解放される。そうポルターガイストとは、そのものテレビに象徴される情報の騒がしさであり、悪癖の象徴でもあるのだ。あなたの家庭では子供がテレビに奪われていませんか?
そういったメッセージが秘められた作品でもある。


■子役が実に生き生きとしている


ポルターガイスト ポルターガイスト
オープニングから中盤にかけて、砂嵐状態のテレビに話しかけるキャロル・アンの姿を皮切りに、キッチンで独りでに動く椅子、子供部屋に侵入する庭の木、飛び交うおもちゃといった怪奇現象が続く。段々と拡大していく怪奇現象が、見ているもの(特に子供)にいつ沸点に達するのだろうか?とオドオドと期待≠ウせてくれる。

そして、キャロル・アンが戸棚の奥に吸い込まれ消えてしまう。スピルバーグの素晴らしさは、子供を一個の人間として描くところにある。そして、この作品がホラーとして成立した最大のポイントはしっかりした子役による子供らしい芝居にあった。

ヘザー・オルーク
ヘザー・オルーク(1975−1988)が、キャロル・アン役に選ばれた経緯は実に微笑ましい。MGMの売店の傍の椅子に腰かけて一人の少女が母親を待っていた。そんな少女に一人の男性が話しかけた。「名前はなんていうのかな?」
「私の名前はヘザー・オルークです。でも知らない人とこれ以上は話せません」と少女は答えた。そして、男性は母親を待った。「私の名前はスティーブン・スピルバーグです」と戻ってきた母親に自己紹介した。(『E.T.』のドリュー・バリモアをキャロル・アン役にすることもスピルバーグは考えていたが、結局はもっと天使のような少女の方がいい≠ニいう結論を出す)

ちなみに、(この作品の隠れた名シーン)台所を移動するダイアンが数秒食卓から目を離した隙に、テーブルの上にピラミッドのように複雑に組み合わさった椅子の山が登場するシーンはワンショットで撮影されており、単純に観ていて驚かされる。このシーンの撮影にあたり、あらかじめ椅子の乗っかかるテーブルと元のテーブルを僅か数秒で摩り替えたという。


■ジョベス・ウィリアムズの魅力


ジョベス・ウィリアムズ ジョベス・ウィリアムズ
この作品を初めて観たときは、中学の時だった。洋画劇場か何かでやっていたが、もうその時に頭に残ったのは、
「ビフォー、アフター」を繰り返すオヤジの姿と、小麦色の長く引き締まった脚(身長171p)で、少年を挑発しているかのように画面上を駆け抜けるジョベス・ウィリアムズの姿だった(ケート・キャンプショーといいスピルバーグってこういう女性がタイプなんだね)。

32歳にして16歳の娘がいるという設定も驚きだったが、何よりも中学生だったオレにとって、こんな魅力的なお母さんがいたらヤバイかも・・・というのが正直な印象だった。この作品はオレにとって、ホラー映画というよりもジョベス・ウィリアムズで妄想する類いの映画だった。

ジョベス・ウィリアムズ ジョベス・ウィリアムズ ジョベス・ウィリアムズ
ジョベス・ウィリアムズ(1948− )は、オペラ歌手の父を持ち、児童心理学者を目指し、勉強しているうちに興味のあった演劇の世界に飛び込んでいった人である。当初テキサス出身の彼女は、その強い訛りを修正するのが大変だったという。やがて30代になってやっと『クレイマー・クレイマー』(1979)の端役で注目され始める。

1981年『戦争の犬たち』の端役で出演したが、アメリカ公開版においては彼女の登場している全てのシーンがカットされていた。しかし、スピルバーグはこの作品の英国公開版をロンドンで観て、即座に彼女こそがダイアン役に相応しいと感じ、契約を交わしたという。

本作以降『ザ・デイ・アフター』(1983)『再会の時』(1983)などの代表作がある。1982年に『デンジャラス・ビューティー2』(2005)などでそれなりに有名な監督ジョン・パスキンと結婚している。1992年に彼女は『ON HOPE』という短編作品を監督しアカデミー賞にノミネートされた。


■物語を面白くする二つの波


ポルターガイスト ポルターガイスト
娘が消えてしまい超常現象を研究するグループに助けを求めるのだが、そんな彼らでさえも茫然自失する程に邸宅内の心霊現象は凄まじかった。ここからこの作品は盛り上がる。逆に言うと前半の45分間は、ある意味退屈とも言えるほどに物語の進展に欠けていた。

この作品の魅力的な波は、二段階に分けてやってくる。第一段の波はフリーリング家の凄まじい超常現象に直面した研究家のリーダー・レッシュ博士が、コーヒー・カップを震える手で持ち上げる姿と同時にやってくる。そう彼女の登場がこの作品の展開を面白くしてくれるのである。

ちなみにレッシュ博士を演じるビアトリス・ストレイト(1914−2001)は、ブロードウェイの名舞台女優であり、1976年に『ネットワーク』でアカデミー助演女優賞を受賞している。当初この役柄はシャーリー・マクレーンにオファーされていたという。


■光彩によって未知なるものを演出する発想の素晴らしさ


ポルターガイスト ポルターガイスト
レッシュ博士の助手の一人が冷蔵庫からフライドチキンを取って咥えながら、ステーキを焼こうとフライパンを探している時に、急にステーキが動き出し、破裂してしまう。更に驚いて落としたフライドチキンには蛆虫が沸いていた。そして、嘔吐を催し洗面所の鏡を見て一呼吸入れている内に自分の顔面がみるみる腐敗していく。自らの手で血まみれになりながら眼球を飛び立たせ骸骨化していくこの男。

(結局は妄想だった)この描写はトビー・フーパー色の強いドギツさに溢れていて凄く良い。そして、光の洪水が溢れる美しい超常現象のシーンが始まる。これこそスピルバーグの真骨頂であるファンタジー溢れるシーンであり、『未知との遭遇』から継承されている
未知なる物=この世のものとは思えない輝きというイメージで作られた名シーンである。


ポルターガイストの呪いの実態

ポルターガイスト ポルターガイスト
ホラー映画において、
「これを観れば呪われる」という宣伝文句がもっとも効果があるとされている。しかも実際に出演者が公開後すぐに死んでいたりすると、その宣伝力は絶大となる。ただし、そんな人の不幸を売り物にする宣伝方法は、その時は効を奏しても、後の世において卑下されるだけである事も言うまでもない。

この作品もシリーズ化されるにつれそういった「呪われる」を売り物にしていく傾向(それを売りにするしかない程にどうしようもない続編だったという側面もあって)が強くなり、それがこの第一作目自体の純粋な評価を下げる結果となってしまった。それではその呪いとも言われた第一作目の関係者の死の現実を見てみよう。

長女役を演じたドミニク・ダン(1959−1982)は、本作が全米公開された約5ヵ月後にウェスト・ハリウッドの私道でボーイフレンド・
ジョン・スウィーニー(1956− 、レストランのシェフ)によって絞殺された。本作の成功により、テレビシリーズ『V』に出演する事が決まった矢先の出来事である。ちなみに彼女の兄は『アフター・アワーズ』(1985)などで有名な俳優グリフィス・ダンである。

ジョン・スウィーニーはハンサムな青年だったが、直情径行型で暴力的な所があり、1981年から交際を始めて以来、痴話喧嘩を繰り返していたという。そして、1982年10月30日彼女のアパートに押しかけてきたジョンは、彼女からジョンとの別れ話の相談を受けていた元ボーイフレンドと激しい口論をし、その後すぐ近くの私道でドミニクの首を絞めた。

救急隊が駆けつけるもドミニクは5日間のこん睡状態の後1982年11月4日死亡した。享年22歳だった。後にジョンに対する公判が行なわれる。彼は殺害以前にも彼女の首を絞めたことがあり、前のガールフレンドの鼻の骨を折った事もあったという事実が露呈した。にもかかわらず懲役6年という短期の判決が出てしまう。

更に遺族の怒りをよそに、2年半で保釈になり仮出所を果たしたと言う。仮出所後犯行現場からそう遠くないレストランでクックとして働いている事実を遺族が突き止め、謝罪を要求するも開き直り、職場を追われるハメになる。以降名前を変えてシアトルで暮らしているらしい。


■テーマパークのアトラクションのような最後の展開

ポルターガイスト ポルターガイスト ポルターガイスト
そして、第二段の波がやってくる。霊媒師タンジーナ(130p)の登場である。この人の声音といい雰囲気といいもう見事としか言いようのないほど、役柄にはまっていた。そして、この人の存在感がこの作品の終盤の展開に異様な緊迫感をもたらした。

壮絶な魔物との死闘の果てに、キャロル・アンは両親の元に戻ってくるのだが、この邸宅の怨霊の本質は、墓の表面だけを移動させ、棺おけはそのままにしていたスティーブの働く不動産屋の利益優先型の土地開発の姿勢に機縁していた。

そして、除霊されたと思われた魔物は、その牙をむき出しにして再び襲い掛かる。ここからの描写は明確にトビー・フーパー色が強い。骸骨の羅列の中、崩壊していく邸宅から間一髪逃げ切るフリーリング家の人々。その終盤の大味っぷりは観る人それぞれによって印象も変わってくるだろうが、本質はテーマパークのアトラクションのノリである。


■オレもジョベスと泥レスしてェ〜〜


ポルターガイスト ポルターガイスト
もっともそんな事よりも少年時代のオレにとって、65番のTシャツとパンティ一丁の姿で逃げ惑い躍動するダイアンの姿だけにひたすら釘付けだった。
とにかく部屋中を壁伝いに一回転する姿といい、骸骨を相手にした泥レスリングの姿といい、少年にとっては、魔物や骸骨よりも遥かに刺激的な姿がそこにあった。

ポルターガイスト ポルターガイスト
ちなみに泥レスシーンを始め使用された骸骨は本物だったという。勿論本物だという事がジョベスに知らされたのは、散々骸骨と泥レスリングした後の事だった。

他にもこの泥レスのシーンを撮るにあたり面白い逸話がある。照明に囲まれて撮影するという事もあって、それが倒れてきて感電することはないか?と疑心暗鬼なジョベスを安心させるために、スピルバーグはパンツ一丁になって泥の中をクロールして安心させたという。


■スピルバーグ・サマー


同じ時期に同じ場所で『E.T.』を撮影していたスピルバーグは、形上は『悪魔のいけにえ』のトビー・フーパーに監督を任せていたが、実際の所(1981年5月11日から8月4日の)撮影期間中ジョージ・ルーカスとハワイ旅行に行った3日間を除いて毎日セットに顔を出していたという。

家族愛を強調して、親子で安心して鑑賞できるホラー映画を作りたかったスピルバーグは、フーパーの撮り上げた最後の展開に難色を示し、一時は緊迫した関係が続いたが、やがてスピルバーグが折れる形で最後の展開が認められた。

本作は1070万ドルという巨費で製作され、全米だけで7660万ドルの興行収入を挙げる大ヒット作(1982年当時ホラー映画で第8番目の興行収入を挙げる)となり、「ポルターガイスト・ブーム」という社会現象まで生み出した。そして、同じ6月に公開された『E.T.』の本作を凌ぐ大ヒットと合わせて、
1982年夏は「スピルバーグ・サマー」とまで形容された。

スピルバーグは本作についてこう語っている。「E.T.がウィスパー(ささやき)だとしたら、ポルターガイストは絶叫だね」と。

− 2008年1月20日 −


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