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PTU   PTU(2003・香港)
■ジャンル: アクション
■収録時間: 88分

■スタッフ
監督・製作総指揮 : ジョニー・トー
脚本 : オー・キンイー / ヤウ・ナイホイ
撮影 : チェン・チュウキョン
音楽 : チュン・チーウィン

■キャスト
サイモン・ヤム(ホー隊長)
ラム・シュー(サァ刑事)
マギー・シュウ(カット副隊長)
ルビー・ウォン(チョン刑事)
レイモンド・ウォン(ウォン)
エディ・コー(ギョロメ)
PTU
バナナの皮にすってん転ぶラム・シュー。おいしすぎる。しかも同じ場所にあるバナナで4時間内に2回もすってん転ぶとは・・・中国人的な一つの教訓を含んだ作品。普通は同じ場所で二度と転ぼうとはしない。しかし、試しに同じ場所で二回目転んでみなよ。絶対いい結果が生み出せるはず・・・なんか一つの人生哲学だよな。同じ場所で二度転んでみよ!って。

■あらすじ


九龍で最も賑やかな繁華街・尖沙咀を舞台に、一人の非番の刑事サァ(ラム・シュー)が紛失した拳銃を廻って繰り広げられる一夜の出来事。サァの拳銃紛失を上に報告せずに穏便に済ませてやろうと、一緒になって拳銃の行方を捜すホー隊長(サイモン・ヤム)率いるPTU(機動部隊)B第二小隊の面々。一方、殺人事件を調査中のCID(特捜班)のチョン警部(ルビー・ウォン)はそんなサァとPTUの行動をいぶかしむのだった。


■統制された動きと統制されない心の美しさ


PTU
舞台は真夜中の香港の繁華街。そんな街を無機質に照らし出す光と闇の中をフォーメーションを組んで移動する機動部隊。一方、車に乗り込み移動するスーツに身を固めた特捜班。そして、血だらけになりながら失った拳銃を探す組織犯罪課のサァ刑事の三者が、4時間のすれ違いの末に生み出す一つの結末。

言葉数少なく移動する主人公達に多くの嘘をつかせるきっかけとなったのは、一房のバナナの皮だった。そして、そのバナナの皮が結果的に物事を収束させる事になる。警察同士の癒着はあってはならないはず。しかし、
そんな癒着にまみれたラストの幕切れは何故か爽やかでほっとさせる。


■「アジアの冷や汗」ラム・シュー 


PTU PTU
この物語の語り部はこのオヤジです。そう今や
「アジアの冷や汗」ラム・シュー(1964− )。大概の作品において僅か2、3分で消えて行き年間10本以上の作品に登場する香港映画を3本見れば必ず1本にはついてくる男ラム・シュー。そんなラム・シューが本作ではずっと出ずっぱりで、しかもバナナですってん転んで失神してくれます。

コイツの冷や汗は世界を癒してくれる!それは大げさだが、
コイツの冷や汗ダラダラの姿が多くのアジア人の心にどれだけのゆとりを与えてくれたことか・・・

間違いなく世界中の映画の中で
21世紀初バナナ転びを達成したのはラム・シューだろう。そして、恐らく21世紀中に後続するヤツラも出てこないことだろう。そして、このバナナ滑りによって拳銃を失ってしまうことが、全てのきっかけになるのだった。この作品のキモはここにある。

来月昇進なんだ・・・≠ニいうサァ刑事(ラム・シュー)の言葉に、情をかけて不祥事もみ消しに奮闘するホー(PTUの隊長)も、まさかバナナに滑って転んだことが拳銃紛失の発端だとは思いもよらなかっただろう。その真実を知るのは本人のみ。それがこの作品の面白さでもある。

それにしてもラム・シュー。
その頬のあたりのホクロ毛の異様な長さと、小指の爪の長さ。これがまた微妙にいいんだよなぁ。それにしても冒頭で登場する火鍋屋「方榮記」の雰囲気が実に良い。シドニーのチャイナタウンもこんな感じだった。衛生状態は劣悪だが、そんな雑多な雰囲気が下町の中国料理店の魅力だよな。オレみたいな貧乏性な人間はリッツ・カールトンの地中海料理をかしこまって食べるよりも、こういった雰囲気で食事する方が最高にリラックス出来るんだよな。


■サイモン・ヤムの渋さ


PTU
そして、この作品のもうひとりの主役がサイモン・ヤム(1954− )。ほとんど会話を発さずに黙々と任務に励むのだが、その姿は「理想の頼れる上司」像そのものではないだろうか?しかも体格がいいのでアジア人には似合いにくいベレー帽もばっちり決まっている。

ジョニー・トー自身が
「自分の作品には若い俳優はあまり使いたくない」と言っているように、やはり年齢と共ににじみ出る円熟味というものは、外見の良いアイドルのとって作ったような愁いの表情をも圧倒してしまう厚味がある。


■マギー・シュウの凛々しさ


PTU マギー・シュウ マギー・シュウ マギー・シュウ
そして、ホーの副官であり、唯一の女隊員に扮するマギー・シュウ(1965− )。167pと長身なので、男の中に入っても見劣りしない。本来はぞっとするほどにスタイル抜群でセクシーな人なのだが、そんなナイスボディを機動隊の制服で包み込み、短髪にベレー帽でキリっとしたその表情の格好良さ。

とって作ったような凛々しさではなく、本当に仕事の出来る頼り甲斐のある女の副官という格好良さと風格。彼女の存在もまたこの作品に大いなる価値を与えていた。それにしてもこの人どんどんいい顔になっていくよな。

マギー・シュウ マギー・シュウ マギー・シュウ マギー・シュウ
マギーが「中国氷室」で
檸檬珈琲を頼んだ事にびっくりしたが・・・そんな「中国氷室」で、CIDに拘束されそうになったサァ刑事の退路を阻まずに、さり気なく逃がしてやる仕草の格好良さ。久しぶりにダンディズム溢れる格好いい女を観たよ。

この作品に大いなる母のような彼女の存在があればこそ、PTUの行動にも緊張感が生まれたのだった。


■自分自身の弱さを受け止めた彼女は、やはりタフな女だった


PTU PTU ルビー・ウォン
そして、ルビー・ウォンが演じる敏腕警部。175pの長身でエリート感覚丸出しに男の部下を顎で使うその姐御っぷりに痺れるが、それ以上に痺れるのが、肝心の銃撃戦で、一発の銃弾も敵に放つ事が出来ずに銃を落としてしまい車内で震えている姿だった。

度胸はあるのだが、銃撃戦には腰砕けしてしまうその姿。そして、ラム・シューに名案を頂き、最後に素直に実行するその可愛さ。
自分自身の弱さに言い訳しない女って最近なかなかいないよなぁ。そして、そういう女こそ本当にタフな人なんだろう。


■キミはこのシーンにZを思い出したのか?


PTU
何気に印象的なティント・ブラス的なテイストのこのシーン。オレは一瞬このマフィアのオヤジは一般人の美少年を拉致ってきて、鑑賞兼弄び用にこういう檻の中に閉じ込めているのか?と
『パルプ・フィクション』のZ並みにヤバイ想像をしてしまった。しかし、どうやら真相は前半で殺害されたポニーテール男(オヤジの息子)を守りきれなかった舎弟たちが全身の毛を剃られて見せしめとしてこういう監禁をされているみたいだ。

この精神的にも肉体的にもかなり残酷なマフィアの見せしめ。後ろに無機質に並んだ自転車。色々な妄想を連想させる不気味なシーンです。


■同じ場所で同じ失敗をするヤツにこそ栄光は降りかかる!


PTU PTU
そして、やたらスタイルのいい水着の姉ちゃんの垂れ幕の前で、PTU、CID、サァ刑事が終結し、マフィアのボス二人と、現金強奪犯4人による銃撃戦が繰り広げられる。的確に銃を撃つPTUの面々達の格好良さ。
そして、おもちゃの拳銃をそうであることを忘れてとっさに撃つサァ刑事=ラム・シューのオタオタぶり。もうイチイチこいつ目障りなほどにうまいんだよな。そして、恐怖に顔を引きつらせて逃げる逃げ様の素晴らしさ。だから「アジアの冷や汗」なんです。

更に颯爽と加勢しようとするも腰が引けていたので、一発も撃てずに拳銃を落としてしまい車内に震えながら隠れるCIDの女警部。そして、物語は、再び同じ場所で4時間ぶりにバナナに滑って転ぶラム・シューの勇姿により大演壇を迎える。

同じ場所で同じ失敗をするヤツにこそ栄光は降りかかる!まさに21世紀に相応しい新感覚の哲学が、この作品にはある。人間は機械ではない。この作品で、頻繁に喧騒の象徴のように鳴り響く落ち着きのない携帯電話の音と車の警報音・・・人間はそんな規則正しい正確な音を吐き散らすためだけに生きているわけではない。

たまにこう言明したがる人がいる。組織において、失敗は許されない馴れ合いが組織を腐らせると。(道理ではそうだろう)しかし、
もし組織が利益だけを追い求め、仲間意識や馴れ合いを捨てて効率=利益に邁進した場合そこに残るのは何だろうか?ココに現在の資本主義を取り巻く闇の部分がある。

一握りの富の独占を図り、他人の不幸を計算式で弾き出し、ほくそ笑むシステム。そして、その果てにあるのは、富の独占と壮大な空間の独占だった。そして、一人ぼっち。もしくは欺瞞の人間関係。最後に莫大な富を手にしたが故に生み出されていく金のみでつながった家族の醜い馴れ合いの姿。そんな醜さにまみれた汚臭漂うヤツラが若者に労働の尊さ≠切々と語ったところで、誰一人心は動かされないだろう。

最後にアリバイ工作の為に放つ女警部の銃声こそ、携帯音、警報音とはまた違った種類の人間性の叫びだった。人間にとって最も重要なものは何か?それは
「バナナに滑ったバカ野郎を見逃し、自分の過失も見逃せる心の柔軟さ」ではないのか?


■マギー・シュウのキツそうな表情が実にイイ!


マギー・シュウ マギー・シュウ マギー・シュウ マギー・シュウ
本作は、第40回台湾金馬奨で最優秀脚本賞受賞作品に輝いた。ちなみに上の写真はその時のものではない。それにしてもこの脚の長い女性。マギー・シュウ。本当に脚が綺麗。それにしてもあの機動隊の制服でキリっとしていたボーイッシュな人が、こんなに色っぽいとは・・・ちょっと想像がつかないよね。

こんなイイ女があの女隊員役をさり気なく演じたところにこの作品の隠し味はある。彼女に注目して観てみると新たな味わいが出てくるかも・・・結局イイ女はどんな格好をしても似合うという事か?


− 2008年2月14日 −


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