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ロッキー・ザ・ファイナル   ROCKY BALBOA(2006・アメリカ)
■ジャンル: ドラマ
■収録時間: 103分

■スタッフ
監督・脚本 : シルヴェスター・スタローン
製作 : チャールズ・ウィンクラー / ビリー・チャートフ / ケヴィン・キング / デヴィッド・ウィンクラー
撮影 : J・クラーク・マシス
音楽 : ビル・コンティ

■キャスト
シルヴェスター・スタローン(ロッキー・バルボア)
バート・ヤング(ポーリー)
アントニオ・ターヴァー(ディクソン)
ジェラルディン・ヒューズ(マリー)
マイロ・ヴィンティミリア(ロバート)
トニー・バートン(デューク)
あのビル・コンティのファンファーレが流れてくると条件反射的にシャドー・ボクシングがしたくなるヤツラには必ず響くはず。60歳のオヤジが燃える姿を見て、半分くらいしか生きていないオレも熱くなれた!まさに「あしたのためにその一!やや内角を狙い、えぐりこむように打つべし!打つべし!」とにかく理屈こねてばかりいねえで人生は打たねえと始まんねえぞ!とばかりに「打つべし!打つべし!」。映画の中で実際のボクシングなんて誰も見たくないんだ!「オレの魂のボクシングを見てくれ!」とばかりに「打つべし!打つべし!」。そんなロッキーの姿だからこそ誰もが感動できる。人生とは「夢を諦めずに自分を信じて、打てるうちに、打つべし!」ただその姿勢だけが大切なんだと。

■あらすじ


5年前に最愛の妻エイドリアンを失い、一人息子にも避けられがちのロッキー・バルボア(シルヴェスター・スタローン)は今や還暦を迎えようとしていた。イタリアン・レストランを経営し生活には困らないが、心にぽっかりと空いた穴を感じるロッキー。そして、彼は再びリングに上がる決意をするのだった。『ロッキー』シリーズ第6作目であり、16年ぶりの続篇。


■人生のあしたのためにその一



「熱さ!」・・・「とにかく能書きはいいんだよ!」・・・「だから何がしたいんだ?」・・・「だったら何故しないんだ?」・・・
「結局周りから浮き上がりたくないからだろ?」

21世紀は
「取り繕った世紀」になる可能性があるといわれている。この取り繕ったとは、何かする時にとりあえず周りを気にしてからするといった感覚。芸能界でも少しでも度の過ぎた行動をすれば、バッシングの名を借りた、ただのイジメが氾濫しているように、現実の社会においてもこの取り繕いの観念が支配的である。

そして、
取り繕うとは結局は長いものに巻かれろの姿勢なのである。結局情報ばかりに先回りされて、なかなか前に進めない時代。そんな時代を閉塞感に包まれた時代と言う。そんな時代だからこそシルヴェスター・スタローンはこの作品を作ろうと思い立ったのだろう。

歴史的傑作ともいえる『ロッキー』から続編を追うごとについた無駄な肉を削ぎ落とし、ハングリー精神だけを抽出した。閉塞感という若者にさえも老化現象の悪影響を与えている現代社会に、本物の「あしたのためにその一」を叩きこむ!
「夢を忘れるな!自分を信じて、打てるうちに、打つべし!」。そんなオマエを笑いたいやつは笑わせておけ、それはソイツが自分自身を笑ってるのと同じなんだから。


■ストレートに人生に叩き込め!



スタローンが『ロッキー6』の製作発表をした時、私を含む大方の反応は、「スタローンもヤキがまわったな」だった。そして、世に出た作品を観て、私は感じた
「ロッキーにはボクシングしかないように、スタローンにはロッキーしかないんだ」と。そして、一人の人間にとって、燃え尽きることが出来る自分の分身を生み出せる機会はどれだけあるのだろうか?

スタローンは年をとり、セミリタイアのような作品の数々に出演し、溜まった鬱憤をこの作品に見事に反映させた。そして、この作品には間違いなく世界中の人々を感動させ、涙させ、勇気づける何かがある。

ヨレヨレになって、息子からもそっぽを向かれ生きているオヤジが、過去の栄光にすがりつきつつも、それを原動力にし、新たな前進のために奮起する姿に感動を覚えないか?このオヤジを見て、純粋に血沸き肉踊らないか?ジャニーズの連中の見せ掛けの熱さにまみれてるやつらにでも余裕で伝わるこのオヤジの熱気。

これほどの熱さを体現できるスタローンは間違いなく素晴らしい。いくらステロイドを打とうとも、整形をしようとも、立ち上がり前に進み続ける姿勢が観ている人々を勇気づけるからには、彼は一人の素晴らしい芸術の体現者なのである。

この作品は、『ロッキー』という芸術作品を作り上げた男の、30年後の魂の叫びなのである。だからこそ説教臭く、その分だけスタローンの熱気でムンムンしている。素晴らしいではないか?60のオヤジが身体を張って、メッセージを伝えたいというその姿勢。
押し付けがましいとかではなく、むしろこんな時代にこんなにストレートに球を投げかけれる姿勢が羨ましくないか?と感じる。


■人生には「勝ち負け」以上のものがある



「同じ場所に長くいると、その場所が自分自身になる」


脚本担当落合信彦ばりの超アツイメッセージが物語全編を包み込んでいるのだが、素晴らしいセリフの連続で実に心地良い。「ロッキーのパンチがオレの急所に当たるぜ!」というこの心地良さ。そして、ロッキーが自分の原点に立ち返るその姿も本作の魅力の一つである。『ロッキー』を愛する人々なら涙もののロッキーの過去の回想。そしてふと投げかけられるこの問い
「あなたも自分の懐かしい場所を訪れてみても良いのではないか?」。過去の思い出の眠る場所。・・・そこにあなたの失われた夢の欠けらが置き去りにされているかもしれない。

前半部分は『ロッキー』ファンじゃない限り展開の遅さを感じる可能性がある。しかし、『ロッキー』ファンにとってはこのゆったりとした展開が、実に一作目の『ロッキー』ぽくて心地良いのである。あの喋り方、歩き方、服の着こなし方、気のいいおせっかいぶり、リトル・マリーの登場、不恰好な犬を愛する優しさ・・・。

スタローンの描く世界観は、単純だと言われがちだが、上記の要素を考えれば、結構練りこんである事が分かる。そして、泥まみれの人々・動物を思いやる気持ち。この部分があるからこそ、最後の試合へともっていく流れも光輝くのである。それがたとえ強引であろうとも。

人生は勝たなければ意味がないと言う人々がいる。しかし、勝ち組、負け組と数年前もてはやされたが、何が勝ちで何が負けなのだろうか?「とにかく目でわかる勝利をつかめ!」では子供の時代からテストは一番でした。という人と同じではないか?
そういう人は必ず成人してからも目に分かる勝利を求め、そのために人間的な魅力をかなぐり捨て、人を人とも思わぬ独りよがりの言動・行動を取り続け、精神的に崩壊していく。

「勝ち負け」より大切なものがあるんだ!
この作品はちまたに溢れる自己啓発本よりも遥かに上の次元で、人の生き様を捉えている。それは一作目の『ロッキー』が描いていたものでもあった。しかし、2作目以降作品をおうごとに、ただ単に勝ち負けの要素が先行し、つまらなくなった。そして、6作目で「勝ち負け」にこだわることを止め、作品に魅力と厚味が生まれた。

一言でいえば、「勝ち負け」は単純であり、それを求める人間には、「厚味」が失われるということだ。
そして、人生はほとんどの人が、いやほぼ全ての人が、負けるのが人生であり、勝者がその瞬間に「勝てねば人生に意味なし!」と言っても、誰の心も打たないということなのである。


■打てるパンチから打て!じゃないと一発も打たずに終わるぞ!



「オレは世間を気にするのはやめた。それから自分で考えることを覚えた」

「自ら挑戦しようとする人間を止める権利が誰にある!?」

「年をとるほど失うものは多い。残った僅かなものまで奪わないでくれ!」


ネヴァーギブアップ!スタローンと言えばこの言葉だ。「決して諦めない折れない心」。日本の歴史上の人物で言えば土方歳三のようなしつこさと強引さ。私は60歳の男がこの作品を撮るにあたって、「死を覚悟して」撮影しているように思えた。それくらいにストレートにそのエネルギーが伝わってくる。

特にトレーニングと試合のシーンの熱気。この二つのシーンはスタローンの体格維持の都合上一番最初に撮影されている。スタローンはこのシーンを撮る為に6ヶ月間自分の肉体改造のために徹底的にトレーニングしたという。映画の製作交渉をし、脚本を作り上げ、肉体を作り上げ、役柄を磨き上げ、監督として演出し、試合シーンも実際に自分でする。60歳のオトコのこの映画にかける姿勢を「死を覚悟して」と言わずして、他になんと形容することが出来ようか?

ちなみに試合のシーンは、ラスベガスのホテル「マンダレイベイ・リゾート&カジノ」でジャーメイン・テイラーとバーナード・ホプキンスのミドル級世界タイトルマッチの試合が行われた会場で実際の大観衆の目の前で撮影は行われた。そして、、本作の敵役は、現役ライト・ヘビー級チャンピオン、アントニオ・ターヴァーだった。それ故に撮影中にターヴァーがスタローンをノックアウトするというアクシデントもあったという。


■エイドリアンへの愛・・・愛し続けることの美しさ



本作のプレミアにて、タリア・シャイアとバート・ヤング

「古い傷を新しい傷で忘れたいのか?」

「皆情熱を持っていてもその炎を燃やせる人は少ない。でもあなたはその機会を得た。燃やすべきよ!」

「世間にどう映るかより、それが自分の信じる道かどうかよ」


確かにこの一連の心に響くセリフに関わってくるマリーというロッキーの新たな女性の友人の存在も悪くないのだが、ロッキーを励ます役柄はやはりエイドリアンにやってもらいたかった。最もエイドリアン役のタリア・シャイアは是非出演させて欲しいとスタローンに嘆願していたらしい。しかし、スタローンが「脚本的にエイドリアンは死ぬことになっているんだよ」となだめたという。「死ぬ場面だけでも」と彼女は食い下がるほど、タリア・シャイアもこのエイドリアンという役柄を愛していた。。

この作品を観てる私達も、失ってからエイドリアンが『ロッキー』という作品にとっていかに重要だったかを気付かされるだろう。彼女がいたからこそロッキーがいた。そして、彼女の死の喪失感が、この作品のポイントなのである。ロッキーは5年前に最愛の人を失った・・・。

そして、失ったことが、新たな人生の前進へとつながるきっかけになったのである。人生は喪失感の連続である。その失ったものを愛しながら、それを力に変えて進んでいく。それがなければその人の人生は失ったものを本当に愛しているとは言えないのである。


■自分を信じなきゃ人生じゃないぞ!



「好きなことに挑戦しないで後悔するより、醜態をさらしてでも挑戦する方がいい」

「人にバカにされても平気な人間に成り下がってしまった」

「人生ほど重いパンチはない!だが大切なのはどんなに強く打ちのめされても、こらえて前に進み続けることだ!そうすれば必ず勝てる!」

「自分の価値を信じるなら、パンチを恐れるな!他人を指差して、自分の弱さをそいつのせいにするな!それは卑怯者のすることだ!」

「自分を信じなきゃ人生じゃないぞ」


父と子の和解。その時に息子に投げかける熱い思い。この60歳のオヤジには息子に伝えたいメッセージがあった。そして、伝える熱い魂と勇気があった。
息子はオヤジに怒られたことによってオヤジの強い愛情を心の底から実感できた。親と子の関係について深くえぐりこんだ何かがこの作品には存在する。

コミュニケーション不足が誤解を生み、歪んだ孤独を作り上げてしまいがちな現代の親と子、そして、夫と妻の関係。最も不滅であるべき関係が構築されていない場合、人が気弱になった時に精神的な支えになるべき拠り所さえもなく、彷徨い苦悩し絶望する。そして、その絶望が自分を信じようとする気すら失わせる。自分を信じていく為にはいかに親と子、夫と妻の関係が重要かということもこの作品は教えてくれている。


■やはりグレーのスウェットはコイツにこそ似合う



「一発喰らうたびに特急とキスしたような衝撃を与えるパンチング・マシーンになるんだ!」


スタローンという男は実に賢い。それは義兄ポーリーという男を毎作どんなにうざかろうとも丁寧に描写している所にある。前作までことごとくうっとおしい親戚に過ぎないポーリーが本作では見事に昇華している。そして、忘れてはいけない全作出演しているロッキーのトレーナー・デュークの存在。

ミッキー亡き後のトレーナーと言えばコイツだ。モハメド・アリのトレーナー・バンディーニブラウンのようなコイツの派手な言動が凄く良い。そして、生卵一気飲み∞肉屋で冷凍肉をサンドバッグ∞階段駆け上がり≠ニいったおなじみのシーンがおなじみのテーマ曲で再現される。もう鳥肌もの。

ちなみに当初はミスターTとドルフ・ラングレンが試合のコメンテーター役で出演予定だったという(結果的には降板)。


■心は年取らないと証明して見せてくれ!



「クレイジーなオヤジめ」「安心しろ、お前もそうなる」

しかし、試合前から登場するマイク・タイソンのその姿。まさに最強にクレイジーなオヤジの登場。それにしてもいかつすぎる。もっともタイソンはスタローンの対戦相手役をしたくて、スタローンに電話をかけたらしいが、断られたという。その代わりにこのカメオ出演をあてがわれたという。


「心は年取らないと証明して見せて」


もう素晴らしいとしか言いようがない。60歳のオヤジが現役チャンピオンと戦うその姿。「こんな映画今まで存在したか?」そういった次元の素晴らしさ。「心は年取らない」この言葉そのもののシーンである。この最後の十分間の試合のシーンを見ても、何も感じないあなたであるならば、あなたの「心は老衰状態」ということだろう。

しかし、ビル・コンティの音楽。もうこれはノーベル音楽賞というものがあれば、それに値するほどに素晴らしい今やクラシックだな。やはり名作は名曲なくしては作られないということである。


■ロッキー・バルボアは永遠に不滅です



賛否両論のエンドロール(フィラデルフィア美術館前の階段でロッキーのマネをするファン達の姿を映す映像)は、お世辞にもいいセンスとは言えないが、まあこれほどの作品を作ってくれたのだからスタローンのやりたいようにやればいいだろう。

本作の撮影は2005年12月ラスベガスから開始された。38日間の撮影期間で2400万ドルの予算をかけて製作された。世界中で1億5500万ドル(全米で7020万ドル)の興行収入をあげる大ヒットとなった。

− 2007年10月7日 −


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