HOME
■サイト内検索

■洋画
 □カタカナ順
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
 □クラシック
 □ドラマ
 □コメディ
 □サスペンス
 □アクション
 □ポリス
 □スパイ
 □犯罪
 □カー
 □ミュージカル
 □史劇
 □文芸
 □戦争
 □西部劇
 □アドベンチャー
 □パニック
 □ギャング、マフィア
 □SF
 □ホラー
 □スポーツ
 □香港
 □ドキュメント
 □アニメ
 □エロス
 □B級
 □アカデミー賞
 □カンヌ映画祭
 □ヴェネチア映画祭



■邦画
 □ひらがな順
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
 □名作
 □ドラマ
 □喜劇
 □サスペンス
 □アクション
 □刑事
 □時代劇
 □戦争
 □文学
 □パニック
 □東映ヤクザ
 □ギャング、ヤクザ
 □特撮
 □怪奇
 □ドキュメント
 □アニメ
 □エロス
 □B級
 □海外映画祭受賞
シーラ号の謎   THE LAST OF SHEILA(1973・アメリカ)
■ジャンル: サスペンス
■収録時間: 120分

■スタッフ
監督/製作 : ハーバート・ロス
脚本 : スティーヴン・ソンドハイム / アンソニー・パーキンス
撮影 : ジェリー・ターピン
音楽 : ビリー・ゴールデンバーグ

■キャスト
ジェームズ・コバーン(クリントン)
リチャード・ベンジャミン(トム)
ジェームズ・メイソン(フィリップ)
ダイアン・キャノン(クリスティン)
ラクエル・ウェルチ(アリス)
ジョーン・ハケット(リー)
21世紀も輝き続ける最高に美しい女性ラクエル・ウェルチが名優の中で芝居をしている姿を見るだけでも感無量な一作。もちろんラクエルのビキニは欠かせないが、それ以上に美しい彼女のリゾート・ファッションが楽しめる。特に女性は中盤の花柄のブラウスに注目!いい女はへそで男を殺せる!

■あらすじ


大物映画プロデューサー・クリントン(ジェームズ・コバーン)が、妻シーラが轢き逃げされ殺された一年後に、映画スターや脚本家などの6名を、南フランスに停泊中のヨット「シーラ」号のクルージングに招待する。毎晩8時から大掛かりなゲームが繰り返されるうちに、クリントンが何者かに殺害されてしまう。クリントンを殺したのは誰か?そして、なぜか?


■ミステリーとは大人の娯楽である



『ファニー・レディ』(1975)『グッバイガール』(1977)など大人の男女関係を描かせたら抜群のセンスを持つハーバート・ロスが監督・製作にあたり、南フランスのリゾート地で4ヶ月ものオール・ロケーションで撮りあげた作品が本作である。


登場人物は見事なまでに30才以上限定の大人の為に作られた大人のための映画なのである。かく言う私も20才くらいに本作を見たが、その時の記憶はただコバーンが中盤以降登場しなくなるので残念だったという印象だけだった。しかし、30代に突入し再見してみるとこれほど大人の娯楽映画だったとは・・・。逆に言うと、そういった実感を得るためにも10代後半から20才くらいまでにまず一度は見ておくべき作品である。


■ラクエル・ウェルチのビキニと腰のくびれ



1940年生まれのラクエルにとって、今までビキニ姿でセクシー女優として『ミクロの決死圏』(1966)『恐竜100万年』(1966)『マイラ』(1970)などに出演していたが、30半ばに差し掛かり、演技力もつけていきたいという心意気で本作に出演したのではあるが、やはり、肌の露出の多いシーンばかりが印象に残る。


ただ一つのナイス・ボディ以外の見せ場は前半に不倫相手とする会話で「あなたのカードは何?プリーズ、テルミー、テルミー・・・プリーズ」と画面に次第に接近してくるシーン。
もうこのシーンは世界一セクシーなシーンの一つだろう。世の女性にはこの妖艶な大人の少女のようなセクシーさと、そのすぐ後に白いシャツ一枚で小麦色の太ももをむき出しに登場するダイアン・キャノンのセクシーさを認識してもらいたい。

女性にとって最もその英知を発散する瞬間は男性に遊び心たっぷりに甘える時なのである。お金の無心の為に甘える女は興醒めだが、自分も楽しもうと遊び心たっぷりに甘える女と対面する瞬間は男にとって至上の喜びなのである。


■ミステリーとは女で始まり女で終わるものだった



良いミステリーを作るにあたって決して譲れない要素が、魅惑の登場人物達である。本作において、白い歯をむき出しにして笑う銀髪のジェームス・コバーンをはじめ、日本で言うところの森本レオ的に無害そうなリチャード・ベンジャミン、とにかくはじけまくる美しき金髪の女帝ダイアン・キャノン(ダイアンは本作の役作りの為に約13キロ体重を増やしたという)、立っているだけで風格漂う老紳士『ロリータ』のジェームズ・メイスン(この『ロリータ』のがポイント)、そして、世界一美しい女ラクエル・ウェルチといった豪華さである。

他にも『ウィル・ペニー』(1968)『夕陽に立つ保安官』(1969)『泣かないで』(1981)のジョーン・ハケット、エマニュエル夫人=シルビア・クリステルの恋人イアン・マクシェーンが競演している。

ミステリーは、基本的に女で始まり女で終わるのがポイントであるが、本作はさすがは脚本が『サイコ』(1960)のアンソニー・パーキンスである。
女で始まり女で終わると思いきや、男で終わるのである。おそらくこのどんでん返しには、鑑賞一回目の観客は満足よく騙されることだろう。


■アンソニー・パーキンスという天才


このミステリーの王道の概念をさらに進化させた脚本担当のアンソニー・パーキンスの本作においての天才性が過小評価されすぎの嫌いがあるのが残念である。彼の脚本の完成度の高さが本作の成功に与えた功績は果てしない。ちなみに本作でエドガー・アラン・ポー賞の映画部門で脚本の二人は受賞している。

さらに二人のプロフェッショナルの名前も忘れてはいけない。一人はセット美術担当のケン・アダムスである。ケン・アダムスは007シリーズの建物やセットの美術担当でも有名なとにかくゴージャスな映画を作り上げたいと思えばこの男に頼めと言われるほどの、ゴージャス・セットを作り出す天才である。印象深い小島の洞窟に立てられた修道院やヨットの中の客室のセットなどは見事である。そして、もう1人は若き日のジョエル・シューマカーが担当した衣装である(ただしラクエルの衣装は除く)。


■ミステリーは、世界観とどんでん返しが重要


ミステリーにとって重要な要素だと言明した、魅力的で豪華な登場人物と、華麗なる衣装と、異国情緒溢れるロケーションやセットが生み出すものが、サスペンス独特の浮世離れした世界観なのである。
成功するサスペンスの条件としてマストであるのが、「生活観よりも休日の安らぎ感」を出すことなのである。

つまり、冒頭の10分は、さぁ〜これから異国情緒溢れる豪華なバカンスを楽しむぞ。というやる気満々な登場人物たちの絵が必要であり、観客の気分も盛り上げるのである。

そして、そういったものが揃った上で、はじめて小道具を駆使したどんでん返しも輝くのである。このどんでん返しの為にストーリーは存在するので、どんでん返しを演出するためには、役者の芝居の力量がかなり問われるのである。
つまり役者の力量の伴わないどんでん返しは「拍子抜け」を生み出し、役者の力量の伴ったどんでん返しは「説得力」を生み出すのである。


■そして、皮肉なオチ


ネタをばらす事になるが、今回のクリントンとリー殺害によって得をするのは、フィリップとクリスティンである。結局トムは、リーの遺産500万ドルを口止め料としてフィリップの映画製作の制作費として提供させられる上に、彼に与えられた仕事は脚本ではなく脚本の書き直しの仕事のみだったのである。

「クリントン役はユル・ブリナーでどう?トム夫婦はポール・ニューマンとジョアン・ウッドワードでどう?そして、テーマ曲はカーリー・サイモンで?」とクリスティンがフィリップに言いながら終わるのである。そして、ベッド・ミドラーの『フレンズ』というタイトルのエンディング・テーマが流れるオシャレ感覚。

アンソニー・パーキンスは良く知っている。ミステリーの中に道徳は存在させるべきではないのである。不倫も殺人も嘘も浪費も放蕩も全てはミステリーをより良くする要素なのである。


■ミステリーと大人の優雅な休日は切って切れない関係である



昨今のミステリー作品に欠けているポイントは、「大人の優雅な休日」なのである。若者の切羽詰った日常の中で繰り広げられるミステリーは、ミステリーではない。日常生活を送る日常の中のミステリーも地味で暗くなるのがオチであり、自閉症的で優雅さに欠け、ミステリーの特性は生かせないのである。


日常的すぎるものや、現実味溢れるものも時には素晴らしいものを生み出すであろうが、ミステリーはある意味のファンタジーであるべきなので、そういった貧乏臭い要素は混同させるべきではないのである。

どうせなら熱演を売りにする若いアイドルのミステリー芝居の中での色気よりも、ラクエル・ウェルチのような大人の成熟した色気に触れてみたいと感じるのも大人の娯楽の嗜み方ではないだろうか?大人の女性にとってもアイドル・ファッションよりもラクエルの今でも十分通用する大人のリゾート・ファッションに触れるほうが魅惑的ではないだろうか?

そんな大人の嗜みこそが、唯一人生の余裕を生み出し、芸術を解するゆとりへとつながるのである。

− 2007年5月12日 −


Copyright (C) 2007 Geijyutsu Taizen. All Rights Reserved.
Mail:webmaster@summaars.net