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新幹線大爆破   (1975・東映東京)
■ジャンル: パニック
■収録時間: 153分

■スタッフ
監督 : 佐藤純弥
原案 : 加藤阿礼
脚本 : 小野竜之 / 佐藤純弥
撮影 : 飯村雅彦
音楽 : 青山八郎
特殊撮影: 小西昌三 / 成田亨

■キャスト
高倉健(沖田哲男)
宇津井健(倉持)
千葉真一(青木)
山本圭(古賀勝)
丹波哲郎(須永)
日本映画史上最高にスリル満点のパニック映画。最初で最後のW健さんの共演。そして、実写版ゴルゴ13を演じた2人の共演。さらには高倉健最初で最後の悪役といった「変わった状況の高倉健が堪能できる」作品である。そして、この作品を見て見よ!今邦画に欠けているものが何か容易に分かるはずである。そう、気骨のある40代の役者の欠如が邦画の凋落の原因なのである。

■あらすじ


零細工場を経営していた沖田哲男(高倉健)は、続く不況の中工場の経営に失敗し、妻子にも逃げられた。そんな彼が元職員の仲間たちと共に、ある計画を立てた。そして、沖田は国鉄に連絡した。「ひかり109号に爆弾を仕掛けた。その爆弾は時速80キロに達した際スイッチが入りそれ以上の速度で走っていれば問題ないが、再び80キロに減速すると爆発する仕掛けである」そして、沖田はUSドルで500万ドル用意しろと要求した・・・


■高倉健が新幹線爆破犯を演じる爽快さ!



本作が公開された1975年までに『大空港』(1970)『タワーリング・インフェルノ』(1974年)『ポセイドン・アドベンチャー』(1972)といったハリウッドの大型パニック映画の数々が上陸し、大ヒットを連発していた。そう70年代前半は世界的に空前のパニック映画ブームに沸いていた。

そんな折、1973年の年末に東宝が『日本沈没』を公開しさらに大ヒットを飛ばした。そして、実録やくざ映画で勢いに乗る東映も負けじとパニック映画製作に乗り出した。機を見るに敏な東映は1975年に山陽新幹線が博多にまで開通したのに目をつけた。そして、本作を作ったのだが、製作が2ヶ月ほど遅れ、封切の2日前に完成したということもあり、宣伝活動をする期間がなかったので、興業的に惨敗を喫したのであった。

更に本作は新幹線大爆破という内容ゆえ国鉄から全くの協力を得られない中作られた作品である。つまり全ての新幹線の撮影は、
隠し撮り撮影か、模型での代替え撮影なのである。こういうところのタフさは、さすが天下一タフでこすい(褒め言葉)映画会社東映である。しかし、劇場予告で「ひかりは今巨大な棺おけと化した」とまで断言する東映はすごすぎる!

この作品は後に、フランスで公開され大ヒットした。この作品の制作費はちなみに3億円で現在の貨幣価値で言うと22億くらいの超大作だった。ちなみに20年後ハリウッドで製作された映画『スピード』のアイデアの多くは本作から流用されている。


■郷^治のズーズー弁がたまらん



まずはこの悪党づらの男・郷^治(1937-1992)の登場である。宍戸錠の弟であり、伝説の歌姫ちあきなおみの夫。ちなみにちあきなおみは1992年に癌で郷が死んで以来芸能活動をしていない。それくらい夫を愛していたのである。この映画の中での郷^治は、ただの卑劣な悪党だが、私生活で1人のいい女に慕われ続けるこの男のオーラを感じて欲しい。

それにしてもこの映画の中での郷のズーズー弁はかなり憎たらしくてよろしい。
「ばかかたんな!おめぇ〜らあれでじぇにうんともうけるんだべ。」ゼニをじぇにという所が抜群のセンスだ。


■東映お得意の秒殺ゲストその1 志穂美悦子



「ひかり109号に爆弾を仕掛けた」

志穂美悦子(1955− )嬢の登場する!そして、早々と退場していく。ビジンダーを経て女必殺拳シリーズでブレーク中のえっちゃんはやっぱりお美しいが、わずか数秒のみの出演である。沖田哲男(高倉健)の脅迫電話を鉄道公安本部長宮下(渡辺文雄)につなぐ交換手役という何の重要性もない役柄で、顔見せ的に出てきて消えていく。


■油指数100の宇津井健VSサニー千葉



当時のサニー千葉と熱さで張り合える男は、この男だけだったであろう。ある意味、和製ブルース・リーの宇津井健である。ストップウォッチの持ち方一つしてみてもこの男はバイタリティにあふれている。ちなみに背景に映る新幹線コントロール室は、無名の外国人俳優をドイツの鉄道関係者に仕立て本物の新幹線コントロール室の内部を盗み撮りし再現したという。さすが東映である。
法律よりも映画製作最優先というこの姿勢が誠に素晴らしい!

そして、爆弾を仕掛けられた新幹線「ひかり109号」の運転士がサニーである。ほぼ同年代の映画に『激突!殺人拳』という作品があるが、そんなサニーが運転士なんのだからかなり心強い限りである。サニーと宇津井健との会話のシーンにおいても両者の油ギッシュな濃い芝居合戦が繰り広げられている。


■東映お得意の秒殺ゲストその2 北大路欣也



そして、沖田の仲間である、古賀勝(山本圭)を捕まえるために空港で張り込む刑事役に北大路欣也(1943− )登場。それにしても『仁義なき戦い・完結篇』の頃だけあって、日焼け&角刈りの超いかつい出で立ちである。

今後ちょいちょい出てきてくれるのかと思ったら、悦っちゃん同様一分もたたずに退場してしまった。しかも、転んだ女の子を助けたすきに、古賀に包囲網まで突破されるという間抜けな刑事の役柄である。それにしても、
東映は一分も満たないカメオ出演者を堂々と共演者扱いするのだから、この腹黒さは大蔵貢もびっくりである。

それにしてもこの作品における警察はかなり間抜けである。鈴木瑞穂演じる花村捜査課長が、500万ドルの身代金の受け渡しに関して電話してきた沖田に「金は間違いなく渡すから、爆弾の外し方を今教えてくれないか?」と交渉する所がある。どう考えても、
道行く人に後でお金振り込むからお金を貸して下さい理論だろう。こんな手に引っかかる犯罪者がいればお目にかかりたいものである。もちろん本編でもあっさり拒否られている。


■東映お得意の秒殺ゲストその3 田中邦衛



永遠のマドンナ藤浩子様が登場する。高校教師という役柄である。白衣に運動靴にスカート姿。さすがに東映である。青少年の妄想を膨らますキャスティング力に感服(っていうか30秒くらいの登場なので誰も気づかなさそう)。しかし、この白い美脚はかなりいいものを見せてもらったお得感がある(っていうか短すぎてそんなわけね〜か)。

そして、田中邦衛と川地民夫が一分くらいで登場し退場していく。この映画豪華キャスト映画なのではなく、どうやら豪華ゲスト映画なのだろう。それにしても田中邦衛には北海道が似合う。


■片山由美子と松平純子様



片山由美子がスナックの女役で登場する。これも一分未満の登場だが、彼女は『プレイガール』シリーズ、『女囚701号 さそり』でそれなりに有名な女優だった。そして、この作品を最後に結婚で引退した。ブリジッド・バルドーが好きなだけあり、それっぽい魅力的な女性である。

結局ファッションは回りまわるとの事だろう。彼女のメイクは回りまわって、80年代後半に見ればけばかったが、今見れば全くけばくないのである。

そして、松平純子様まで登場する。もちろん一分未満の出演である。つけまつげさえなんとかすれば、彼女こそ典型的な現代美人だろう。とても清楚な感じの美女ですごくマイタイプである。ある意味夏目雅子チックな風貌の女優だった。


■回想シーンはダサいが、それでもこの作品には熱さがある!


それにしても健さんはブラジル好きだなぁ。500万ドル手に入ったら何をするという回想シーンで、
「俺はブラジルにでも行ってみようかな?」と言う。他の映画でもよく健さんは、ブラジルにでも・・・と言うのである。しかし、回想シーンの入り方のレベルの低さは、この監督の限界を感じさせるところである。試しに同時代に作られたセルジオ・レオーネの『夕陽のギャングたち』(1971)を観てしまうとその差は歴然としている。最も製作期間などもあるのだろうが・・・

それにしても宇津井健が熱い!ストップウォッチ片手に熱く語るもう一人の健さん。この男の熱き伝説はこの年の『赤いシリーズ』から始まるのである。はっきり言って、1950年代から現代まで現役で活躍している男性の俳優は、彼と三国連太郎ぐらいだろう。このアドレナリン全開のスーパーサイヤ人顔負けの熱さぶりこそが彼の長生きの秘訣なのだろう。
「109号に止まれなんて指令私にはとても出せません!」う〜〜ん。熱い!


■東映お得意の秒殺ゲストその4 多岐川裕美



そして、伝説の2ショットである(?)。サニー千葉とその実弟・千葉治郎との新幹線並行運転ショットである。その時に何故かサニーがにやりと笑うところが運転手っぽくなく、他の映画で見るサニー丸出しのケレン味たっぷりでよろしい。しかし、帽子を取ると、ドーベルマン刑事そのもののパーマにいかついサングラスには驚いた。まさに銀行に立てこもった梅川昭美か、村西とおるかと見間違えるばかりなのだから。こんな運転手いるか??

多岐川裕美もまた一分未満の登場であるが、グランド・ホステスのコスプレが最高によろしい。この頃の多岐川裕美は、恐ろしいばかりの美貌に満ちていた。彼女の容貌はかなり現代人受けするルックスだろう。


■健さんの死に様ってかなり珍しくないかい?



それにしても最後の健さんが格好良い。やっぱり健さんにはサングラスが似合う。この感じこそさいとうたかおがイメージしていたゴルゴ13そのものだろう。そんな最高にクールな健さんは、スカンジナビア航空で無事逃亡あと一歩のところで、離婚した妻との間の子供のいかにもばればれなリアクションによって身元がばれてしまうのである。

おそらく100人中100人が健さん逃げ延びてくれ〜〜の心境の中、空港の滑走路から飛び立つコペンハーゲン行きの飛行機を見つめながら撃ち殺されるのである。

健さんは死に様も格好よすぎだ!!しかし、丹波哲郎の号令の下に射殺されると同時に流れるJALジェットストリームな音楽はどうにかならんのだろうか?ちょっと興覚めである。音楽は青山八郎である。この男こそ、一年後の『君よ噴怒の河を渉れ』で、伝説のヘンテコ音楽を奏でさせた張本人なのである。


■腐りきった日本社会に挑戦する男たち


しかし、予告編を見て思ったのだが、『東映パニック映画 第二弾』とあるが、第一弾はどの作品なのだろうか?この作品はクランクインの2日前に完成したという。それゆえにろくに広報活動も出来ず、超豪華スターの競演で制作したにもかかわらずヒットしなかったのである。一年後の『犬神家の一族』とは対照的である。こちらは角川春樹によるすさまじい広報活動によってスーパーヒットとなった。

倒産した町工場の経営者(高倉健)と夢破れた左翼学生運動家古賀勝(山本圭)、そして、沖縄からの集団就職労働者(織田あきら)が
「いいじゃねえか。ヒロシが死んだってオレが死んだって。極端に言や、あんたまで死んだって。とにかくこれをやり遂げりゃ、俺たちは負け犬じゃなくなるんだ!」と言うセリフに、歪んだ現代社会に挑戦する限りなく負け犬に近い男達の最後の意地が見えてくる。

実際、歪みきった現代社会においても、理解しやすい心境だろう。腐りきった日本から脱出するためにも最後の賭けをして日本を脱出しようぜ!って考える人達は現在かなり多いことだろう。

そして、この作品は高倉健唯一の悪役の作品である。しかも、健さん自らの希望による出演である。健さん自身も、仁侠映画が実録やくざ映画に押され、自分自身のあらたな可能性を見つけ出さないといけない超過渡期に来ていたわけである。高倉健が日本を代表する俳優になった決定的な時期は1975年〜1980年の間の時期であろう。


− 2007年2月1日(部分修正2007年11月15日) −


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