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担え銃   SHOULDER ARMS(1918・アメリカ)
■ジャンル: コメディ
■収録時間: 46分

■スタッフ
監督・製作・脚本 : チャールズ・チャップリン

■キャスト
チャールズ・チャップリン(米軍新兵チャーリー)
エドナ・パーヴィアンス(フランス人娘)
シドニー・チャップリン(アメリカ軍軍曹/カイゼル)
実際に戦争真っ盛りの時代に、戦争をここまでちゃかしてしまったこの男チャップリン。やはり喜劇王は伊達ではないのです。コメディアンには時代の先を見抜く先見の明が必要である。そして、もう一つ・・・ある日チャップリンは「あなたの映画には面白いカメラ・アングルが皆無ですね」といわれた。それに対しチャップリンは「面白いカメラ・アングルなど必要ない―わたしが面白いのだから」と答えた。この自信である。演じるコメディアン自身が自信のない笑いが昨今は多すぎる。

■あらすじ


第一次世界大戦末期、新兵チャーリー(チャールズ・チャップリン)は早速塹壕戦に参加することになる。やがて、特殊任務につくことになったチャーリーは、木の着ぐるみを着て敵陣深く侵入する。そこで出会ったフランス娘(エドナ・パーヴィアンス)と共に、見事ドイツ皇帝を捕虜にしたチャーリーは英雄として迎えられるのであった。


■世界一軍服が似合わない男


第一次世界大戦中に戦争を題材にした作品なので、チャップリンもあの有名な浮浪者チャーリーの姿で登場しない。しかし、もちろんちょび髭や歩き方はチャーリーそのものなので全く違和感がない。

それにしてもまずオープニングからやってくれる。チャーリーが新兵訓練を受ける中で1人だけボケをかましまくってくれる。
それにしてもセリフも相棒の突っ込みも無しで、回れ右だけでこんなに笑わせてくれる人そうざらにはいないです。

最近のテレビは見ていないので分からないが、昔はコメディアンがかぶりものをして周りの芸人が、「明日のためにその一」としておべんちゃらの笑いを連発していたが、何がおもしれぇ〜んだよと、しょっちゅう突っ込んでいた。笑いを強制するアメリカのTV文化(TVコメディの中での笑い声やTVショーでのADの扇動による作り笑いの演出)の影響は、それはそれなりに味はあるのだが、出演者同士で笑いを強制しあうのは、いかに自分の芸に自信がないかを見せ付けているようで空しいと本人達は思わないのだろうか?

コメディアンも偉くなりすぎれば政治家と同じで二流止まりで満足しがちになってしまうものなんだろう。


■笑いを忘れないで・・・


そして、小包のシークエンス。やはりチャーリーって哀愁があるよなぁ。おそらくこれが後への布石チャーリー流「明日のためにその一」なのだろう。
ドタバタ喜劇に、悲劇性を組み込む。キートンもこのあたりはすごくチャップリンの影響を受けている。

みんな他の兵士は、身寄りから小包や手紙が届くのにチャーリーには届かない。しょうがないので、寂しさを紛らわすために他人の手紙を後ろから盗み読みして、その手紙の文面にその本人と全く同じタイミングで一喜一憂するチャーリー。そして、やっと小包が来るもチーズが腐ってるのでガスマスクをして開ける始末。

更に就寝時間になったのはいいが、塹壕のベッドに入るも大雨で水浸しで、蓄音機の拡声器を水の中で咥えて寝る始末。まさにここまでで戦場の寂しさと汚さ、不便さが笑いを通じて描かれているのである。

こんな状況、笑いがないとやっていけないよなと。
「死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ」だから笑いを忘れちゃいけないんだと。たえず前向きなメッセージを発するためにチャップリンは浮浪者チャーリーでいたんだろう。


■シュールな昼食


特にシュールなのがこのギャグ。お昼の時間に、塹壕でワインをあけるために、ワインボトルを頭上に掲げて敵に撃ってもらい開けて貰う。さらに煙草の火も・・・という具合に、何とも不思議な連係プレイである。戦場の不便さをここまで強烈に皮肉ったギャグはそうないだろう。

しかも敵をいともあっさりと鹿狩りをするかのような感覚で射殺して1,2,3と木に書き記していくのである。そして、ついでに鳥も殺して、4と・・・。人間も鳥も同じ扱いで・・・シュールすぎるよこのギャグ。

チャップリンの天才性は、ギャグ・シークエンスのバラエティの豊富さである。お得意のだるまさんが転んだ≠ゥらこういったギャグまで・・・その広く深くゆえに何回も見る価値を生み出し、あらゆる国の人々・年齢層、何十年経っても残る普遍性を生み出しているのである。



■チャップリンの笑いの特徴の最もたるものは?


そして、最高のネタがこれ!特殊任務を与えられたチャーリーが敵陣深く侵入するために木の着ぐるみを着て、侵入していくシーンである。このシーン、実に見ごたえのある笑いの連続で、チャップリンのコメディ・シークエンスの中でも有数の出来だろう。

敵に見つかって逃げるのは森の中へという非現実且つ安直な発想で笑いを提供できるところがまた素晴らしい。そして、逃げた先は壁のない二階建ての廃家で、そこに住んでるフランス女性=エドナに助けられるも、チャーリーは気づかぬふりを装い、エドナの太ももに手をおいてその感触を満喫する。

彼女がよそ見してる間にチラ見をするチャーリーの姿が最高に良い。そして、ばれてもニヤリと微笑むチャーリー。こういう表情を見ているとこの男プライベートでは相当もてるだろうなと思うのである。そうチャップリンは意識的にチャーリーの身のこなしのエレガンスさを全作品に組み込んでいるのである。

実は多くの人は見逃しているのだが、
チャップリンの笑いの秘密は身のこなしのエレガンスさにあるのである。


■カヴァーニの考えるナチズムの本質とは


最終的にはドイツ皇帝=シド・チャップリンを捕虜にし、英雄になるが。実はそれは夢というオチである。しかし、皇帝を蹴っ飛ばすところなんかはさすがチャップリンである。

最後に写し出される
「世界に平和を!人類に善意を!」のテロップが良い。ちなみに本来の終わり方は、夢ではなく現実だったが、第一次世界大戦の休戦協定が結ばれるかもしれない状況だったので検閲が入り、夢のオチとなった。

本作は1918年10月に全米公開された。そして第一次世界大戦が終了したのは同年11月11日だった。


− 2007年6月29日 −


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