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愛の泉   THREE COINS IN THE FOUNTAIN(1954・アメリカ)
■ジャンル: ドラマ
■収録時間: 102分

■スタッフ
監督 : ジーン・ネグレスコ
製作 : ソル・C・シーゲル
原作 : ジョン・H・セコンダリ
脚本 : ジョン・パトリック
撮影 : ミルトン・クラスナー
音楽 : ヴィクター・ヤング

■キャスト
ドロシー・マクガイア(フランシス)
ジーン・ピータース(アニータ)
マギー・マクナマラ(マリア)
クリフトン・ウェッブ(シャドウェル)
ルイ・ジュールダン(ディノ公爵)
ロッサノ・ブラッツィ(ジョルジオ)
愛の泉
ある日男性は美しい女性にこう話しかけました。「いいお天気ですね。お一人ですか?」
すると美しい女性は微笑みながらこう答えました。
「人はいつだってそうですよ」
そんな男性女性に捧げられた作品。新しいものに触れ合うばかりではなく、古いものにも触れ合ってみてください。その古さが生み出す幻想的な雰囲気に心地良さを感じるはずです。そして、その感性があなたの新しい魅力を引き出してくれるはずです。

■あらすじ


イタリア・ローマの合衆国流通局で働くことになったアメリカ娘マリアは、高級なヴィラで年齢も考え方も違う2人の女性と共同生活を送ることになる。一人は、著名な老作家の秘書を15年務めている(三人の中で)最年長のフランシス(ドロシー・マクガイア)。もう一人は同僚のアニータ(ジーン・ピータース)だった。そして、肩越しにコインを投げると願いの叶うというトレビの泉に、早速コインを投げた彼女達の三者三様の恋愛模様が展開される。


■50年代の女性はかくも美しき


愛の泉
女性にとって恋愛≠ニは、その年齢によってさまざまな側面を持つと言われてます。
例えば10代であれば、燃えるような情熱。20代前半であれば、選り好みをする期待感。20代後半であれば、安定した現実感といった感じにです。そして、30代を越えると多くの女性は、恋愛≠ノ自分の理想の形を求めるようになるそうです。

年齢に関係なく恋愛に
「幻想的なロマンス」を嗅ぎ取れる女性に、男性は惹かれます。男性は悲壮感の漂う女性には、肉体的な利害関係を除くと、決して惹かれないものです。

最近テレビや雑誌上で「豪華な言葉」が氾濫しています。でもそんな言葉が確実に上滑っていると直感している方々にとって、50年代のラブロマンスは、熟成されたワインのように貴方の心を温かく包んでくれることでしょう。
この時代の作品は、優しさに満ち溢れています。

そんなこの作品の魅力は、美しい魅惑の異国の地で、幻想的な恋愛模様を繰り広げる品の良い女性と男性が映し出される所にあります。この50年代のエレガンスを貴方の美しさの活力にしてください。


■三者三様の恋愛模様が映し出される楽しさ


50年代特有の色彩感覚で映し出される風光明媚なローマを舞台に、三人の男性が登場します。小説家として高名な老年の紳士と、独身貴族の男性、そして、弁護士を目指しながら働く男性です。3人がそれぞれに魅力的であり、鑑賞者にとってどの男性が、自分の理想に近いかと考えながら見るのもこの作品の楽しみ方の一つでしょう。

一方、三人の女性が登場します。若くて自分に自信のある女性、成熟期を迎えた女盛りの女性、落ち着き頼りがいのある女性。これまたそれぞれに魅力的であり、鑑賞者にとってどの女性に自分が近いだろうかと考えながら観ることができます。

そして、そんな理想の男性と自分に近い女性が、結果的に結ばれるのか?それとも違うタイプの女性と結ばれてしまうのか?そんな結末を予想しながら見る楽しみにも包まれた作品です。



■トレビの泉に投げられたコイン


愛の泉
泉の中の3枚のコイン どれもが幸せを探してる 恋を求めて投げられたコイン 望みが叶うのはどの一枚だろう♪

もう幻想的としか表現しようのないハープの音色と共に流れるフランク・シナトラの美声が、瞬間にして鑑賞者の心に溶け込んできます。トレビの泉を始め、様々なローマの名所を映し出す映像。コレは、お子様向けの恋愛ごっこではない、大人対象の恋愛映画なんだと一瞬にして理解させてくれるシナトラの落ち着いた歌声の中に秘められた情熱。

「銀貨を投げると望みが叶うのよ。いつか再びローマを訪れることができるわ」

女性が三人集まれば、似たもの同士が集まらないとよく言います。そして、この物語の三人も、三姉妹であるかのように、それぞれ違う個性を持った女性です。長女フランシスはしっかりもの。次女アニータは男勝りで勝気。三女マリアはおちゃめで好奇心旺盛といった具合です。


■マリアとディノ公爵


愛の泉 ベンツ220カブリオレ
「ローマでは何事もあせってはダメ」

颯爽と登場するディノ公爵が乗る車は、ベンツ220カブリオレ。1951年から1955年にかけて、世界中で2275台しか生産されなかったという高級車です。

「つきあう女はベニスの女≠ニ呼ばれるのよ」「なぜ?」「ベニスに行こうと誘われるからよ」

「女たらしなんて嘘よ。無邪気な少年みたいだわ」


プレイボーイとして独身貴族を謳歌しているディノ公爵に興味を持つマリアだったが、正直3組のカップルの中でこのカップルだけが、実に現実味のないカップルです。悠々自適の金持ちで教養もある青年が、見栄っ張りのマリアの嘘に翻弄され、最後には結ばれる。

ちょっとディノ公爵にマリアだと、公爵もすぐに退屈しそうな女としての薄っぺらさが目につきます。6人の中で最も魅力に欠けるマリアを演じたマギー・マクナマラ(1928−1978)は、本作の前年にオットー・プレミンジャー監督の『月蒼くして』でデビュー作にして、オスカーにノミネートされるという当時大変期待された女優でした。

しかし、元々精神疾患を持つ女性であり、この作品の後はイマイチ良い作品にも出会えず、1964年に女優を引退します。引退後はタイピストとして働いていました。そして、1978年一人淋しく睡眠薬自殺しました。傍らには長年の精神疾患と孤独の人生の苦悩について書き留めた遺書がありました。


■貴族的恋愛と庶民的恋愛の両方に存在する優雅さ


愛の泉 愛の泉
一方、気風のいい女性アニータの恋の相手ジョルジオの乗る車は、
ブレーキがなくて、停める時は助手席の人間が前もって飛び降りて、手で支えて止めるというある意味素晴らしい車です(ちなみにクラクションは、みんなで叫ぶ)。オンボロの車に乗って、ローマ郊外の農村でデートする2人。

そして、素朴なジョルジオの人柄に惹かれていくアニータ。男性の立場から見るとアニータという女性は、勝気ではあるが、情が深そうでなかなか魅力的です。

上流階級の恋と庶民の恋が、配置されそれぞれの恋の魅力がこの作品には発散されています。こういう対比を見事にやってのけるのは、やはり監督や俳優の精神年齢が、現在のそれに比べて遥かに高かった所に機縁するのでしょう。恋愛映画ほど作り手の本質が分かるジャンルはありません。
ジーン・ピーターズ ジーン・ピーターズ ジーン・ピーターズ
アニータを演じるジーン・ピーターズ(1926−2000)が、実に魅力的です。そして、この作品の3年後に彼女は『アビエイター』(2004)で描かれたエキセントリックな大富豪<nワード・ヒューズと結婚しました(1957−1971)。


■ルイ・ジュールダンの魅力

愛の泉 ルイ・ジュールダン
今の尺度で観ると、マリアがディノ公爵を騙すシーンは、お茶目というよりも薄っぺらさが目立ち素直に楽しめない所があります。これは多分にこの女優の持つ(リズ・テイラーをより華奢にしたような)悪い部分の影響もあるのでしょうが、それ以上にディノ公爵の人の良さにつけ込んでる感じが鑑賞者を不愉快にさせるのでしょう。

ラクリマ・クリスティが好きなワインやら、ロッシーニのセビリアの理髪師≠ェ好きやら・・・何か最近の日本の芸能人の女性(特にモデル上がり系)が、「オードリーが好き」なんて言ってる様な次元の薄っぺらさです。

相手役がルイ・ジュールダン(1921− )という役者じゃなかったら、本当にこのカップルの恋愛模様は退屈なものになったでしょう。その全ての物腰において、やはりヨーロッパ人の俳優にしか出せない魅力。落ち着きと風格=Bこの人には同性さえも惚れさせる格好良さがあります。


■本当に魅力的なカップルはこの2人だった


愛の泉 愛の泉
「あなた(子猫)に泣きつくほど孤独じゃないわ」

本作は2人の若きカップルを中盤まで描き、終盤はこの成熟したカップルに(唐突に)焦点を合わせます。この意外性が実に素晴らしいのです。そして、フランシスを演じるドロシー・マクガイア(1916−2001)が、他の2人の女優との決定的な演技力の差を見せ付けてくれます。

やはり女の魅力は、年を重ねるごとに磨き上げられるもの。
30代から40代にかけて磨き上げられた女性は、宝石のように輝き、20代のどんな魅力的な女性でさえも寄せつけない。ドロシーの表情の変化一つ一つが実に愛らしく、こういう女性こそが本当にイイ女≠ネんだなと思わせる輝きがそこにはあります。

愛の泉
スコッチのダブルを6杯の逸話といい、公園の噴水の水の中に飛び込むその姿といいこんな30代の女性になれたら・・・と同性の心を惹き付ける素晴らしさがドロシーにはあります。

ドロシー・マクガイアという女優は日本ではほとんど評価されていませんが(表情がスザンナ・ヨークに似ている)、もっともっと評価されていい素晴らしい女優ではないでしょうか?

そして、彼女の相手役を演じたクリフトン・ウェッブ(1891−1966)も、文句なしに素晴らしい役柄を演じ上げていました。この最後の熟年恋愛の描写があったからこそ、この作品は他の二つの恋愛が強引であったにも関わらず、名作として残り得たのではないでしょうか?

そして、名デザイナー・
ドロシー・ジーキンズ(『サウンド・オブ・ミュージック』)の手がけた女性陣の美しいドレスの造形と共に・・・この作品は、永遠に女性にとっても男性にとっても、ローマがまだ愛の幻想≠ノ包まれていたあの時代を私たちの前に見せ付けてくれるのです。

結婚が女性にとってのゴールなのでしょうか?といった野暮な思考は、片隅に置いて、ただひたすらにローマの美しさと50年代の男女が持ちえた幻想的な美しさに身を任せましょう。

ちなみに本作は、1954年アカデミー賞の作品賞にノミネートされ、撮影賞と主題歌賞を受賞しました。

− 2007年12月31日 −


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