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トランスポーター   THE TRANSPORTER(2002・アメリカ/フランス)
■ジャンル: アクション
■収録時間: 93分

■スタッフ
監督 : ルイ・レテリエ / コリー・ユン
製作 : リュック・ベッソン / スティーヴ・チャスマン
脚本 : リュック・ベッソン / ロバート・マーク・ケイメン
撮影 : ピエール・モレル
音楽 : スタンリー・クラーク

■キャスト
ジェイソン・ステイサム(フランク・マーティン)
スー・チー(ライ)
マット・シュルツ(ウォール・ストリート)
フランソワ・ベルレアン(タルコーニ警部)
映画の楽しみ方の一つは、「ただただ楽しむ!」である。オレにとってこの作品は、心地良いジェットコースターのような作品だ。そして、コレにそれ以上もそれ以下も求める必要はない。一級の娯楽作品には、人間を高揚させる何かがある。そして、この作品もそんな何かを秘めた作品だ!ジェイソンのハゲオヤジの格好良さと、スー・チーの可愛さをただひたすら堪能せよ!まさに「ドイツ車好きオヤジのためのおとぎ話」それがコレだ!

■あらすじ


フランスで活躍するプロの運び屋フランク(ジェイソン・ステイサム)。彼は三つのルールを絶対破らない事で知られた凄腕の運び屋だ。その三つのルールとは1契約厳守、2名前は聞かない、3依頼品は開けないである。そんな彼が依頼品を開けた事から彼は犯罪組織に狙われることになる。なんと依頼品とは拘束された美しい女性だった。


■メルセデスを捨ててBMWで町に出よう!



BMW派ではないオレが見てもこの1999年型BMW735 E38はいかつくて格好良い。地下駐車場で黒のいかついフルボディをモーターショー並みの360度回転で紹介するところから物語は始まる。しかも、路面に出て最初にする行為が、メルセデス・ベンツSクラスの前に強引に横入りである。このシーンのためにBMWはいくらスポンサー料を払ったのだろうか?

「クルマを磨く男は自分も磨く」
この作品のカーアクションを見ていると確かに今乗ってるメルセデスを下取りに出してBMWに乗りたくなる。しかし、トランスポーター3を撮るならば、メルセデス・ベンツCLS55AMGのオブシディアン・ブラックを採用して貰いたい。もしくはSLRマクラーレンくらいかまして欲しい。


■車はオトコの歓びの一つなんだよ!



とにかくノリで楽しめ!ノレねえやつはほっとけ!「車にお金をかけるよりももっと大切なことにお金をかけるべきでしょう」そんなモテネェ理屈屋はほっとけ!まさにそんなノリで作られてる作品だ。娯楽アクションとしては、満点ではないが、昨今の映画の中では良い出来の作品である。

唯一つ残念なところは、カーアクションを期待していたのだが、実際にBMWが活躍するのは冒頭だけで、残りはブルース・リーとジェット・リーとジャッキー・チェンを4で割ったかのようなクンフー・アクションのオンパレードだった点である。どうせなら最後にもBMWを復活させてカーアクションで映画を締めくくるべきだったよな。

同じフランス産の運び屋映画でも、この作品に『恐怖の報酬』(1952)並みの高尚な娯楽性を求めることだけは避けたい。しかし、彼がなぜ軍人から運び屋になったか位は映画的になんらかしらの説明がほしかった。


■そして、若ハゲ野郎どもに勇気を与えた


ジェイスン・ステイサム(1967− )がとにかく格好いい。ライとめぐり合うまでのムードは、実にクールで魅力的だった。しかし、ライと出会ってからはただのマッチョさしか感じなかった。絶対的に「ゴルゴ13」路線で、ただひたすらクールに徹した方が良かっただろう。

一方彼の相棒とも言えるフランクを追いかけるタルコーニ警部役のフランソワ・ベルレアン(1952− )も飄々としたいい味を出している。最も彼は警部という職務を映画の中では実際ほとんど果たしていないのだが・・・。


■素晴らしいカー・アクション!ガキの心で楽しめ!



運び屋≠フルール
ルール1 The deal is the deal 契約厳守
ルール2 No names 名前は聞かない
ルール3 Never open the package 依頼品は開けない


橋上に追い詰められたBMWが橋の柵をジャンプして乗り越え、走る積車トラックの上に見事に着地っ〜〜!というありえない位のスーパー・カーアクションもこれはこれで娯楽としては最高に良い!当時27歳だった監督のルイ・レテリエが本作の対象年齢は13歳〜20歳の若者と言っているように実に幼稚臭いセンスが満載されている。

しかし、さすがにパリ、ニース、カンヌ、マルセイユ四都市に渡って撮影しただけあってフランスの美しい街並みの中でのカーチェイスは斬新で退屈しない。おそらく日本でこういった斬新なカーアクションを行うならば、東京・大阪ではなく奈良あたりで行うべきだろう。

しかし、その後の展開は
H・B・ハリッキーならずとも失速感を感じるだろう。高級車はカーチェイスで思いっきり廃車にすべし!がポリシーのコイツからすれば、主人公愛用の高級車が廃車になる原因が爆破によるものとは、いけてなさすぎではないか?車はカーチェイスでぶっつぶして何ぼである。


■ノレる脚の長い美女とノレる音楽。これ娯楽の基本だよな



実は依頼品の中身は美女だった。単純でいいね〜。かなりバカっぽくて。モデル体形の綺麗な脚の東洋人が積荷だったら誰でもルールは破ってしまうだろう。そして、ストーリーの破綻もここから加速度的に進展していくのだ。

ところでこの作品のBGMがなかなかいけてる。イケイケのヒップ・ホップが選曲されている。ルイ・レテリエが偉そうに語る
「音楽と映画の間に真の相乗効果を生み出したい」という能書きはともかくとして、娯楽重視の作品は、ノレるBGM満載でなければいけない。


■魅力的ではないが登場シーンはカッコいいコイツ



『ブレイド』(1998)『ワイルド・スピード』(2001)のマット・シュルツ(1972− )は憎たらしい悪役芝居が出来る役者だが、本作においては、ただの小悪党を演じている。登場シーンのふてぶてしさが良かっただけに、段々小物じみてくる展開がもったいない。

娯楽アクション映画の敵役の鉄則は、主人公を食うほどの魅力を発散して狡猾でなかなか死なない所だ。そして、それ以上に重要なポイントは、物語が進むにつれてこいつは敵としてやばいぞと思わせてくれる何かを観客に見せつける事だ。リュック・ベッソンも昔『レオン』で魅力的な敵役を作り出していたのだが・・・。


■お盆でミサイルをそらすシーンが残っていたら神だった


フランクの豪邸の外観は、どこから見ても本物に見えるのだが、実はベニヤ板で作ったものらしい。そして、その豪邸をやりすぎなくらいに壮絶に攻撃され爆破されるのだが、フランクとライが水中を通じて別宅にたどりつくのである。オレはそれはフランクの別宅と理解していたが、どうやら赤の他人の家らしい。

っていうか赤の他人の家に堂々と押し入って、テーブルでセックスにふける二人・・・。う〜ん脚本家としてのベッソンの手抜きぶりは驚くあまりだ。ただし、豪邸爆破のシーンで一切CGやミニチュアの類は使用していないのでまあ許してやってもいいだろう。

ちなみにトレーラーで使用されていた、フランクがティートレイで豪邸に打ち込まれたミサイルをそらすシーンは、ステイサムのリクエストによって現実的ではないということで使用されていない。オレ的にはそんなシーンよりももっと現実味のないシーンであふれている作品なので、是非とも残しておいてほしかった。


■とにかくオレ泣かせのこの美女


スー・チー(1976− )。とにかく脚が綺麗で、表情がいちいちキュートなこのオンナ。しかし、どう贔屓目に見ても本作の芝居はあざとくて駄目だった。おそらく、これはスー・チーが本作の自分の役柄を最後まで把握できない状態で出演していたからだろう(スー・チーは英語が上手ではないので通訳をつけていた)。

リュック・ベッソンはアジア系オンナ好きで有名だが、コイツのアジア系女優の演出力はいつになっても世界最低レベルである。しかし、レテリエが本当に13歳から20歳の若者をターゲットにしていたなら、美脚のミニスカート美女がトランクに閉じ込められたり抱きかかえられたりする時に自然の法則にしたがってチラリズムくらいのサービス・ショットを見せてやるのが、大人の努めだと思うのだが・・・。

ステイサムを不必要なまでに上半身にする割には、女優のセクシーさを強調しないこのレテリエ君はもしかしたら・・・??

そして、『レオン』でも女の子の描写で見られたあの摩訶不思議な感性が炸裂する。今回も突然朝になるとライが花を摘んでいたり、マドレーヌを作ってフランクの起きるのを甲斐甲斐しく待ち構えているのである。はっきり言ってこれでメイド・コスプレでもしていたら・・・リュック・ベッソンの女を描くセンスは見ているほうが恥ずかしくなってくるほどありえない。

しかし、
「文句言わないのはセックスのときだけね」と言うセリフだけはスー・チーらしく抜群に良かった。こういう風に女性にあしらわれると男はグウの音も出ないものなんだ。いい女には、絶対にユーモアのセンスがある。

本当に男性が格好いいと考える女性はクールにユーモアのセンスがある女性である。


■アクション切れてんだが、アジア人には見飽きてるよ



この作品で必ず触れておかねばならぬのが、一つの確信犯的登場人物である。そうライの父親を演じたリック・ヤングだ。この顔の白さと髪の不自然なラインは明らかに何らかの意図した狙いがあったんだろう。しかし、映画を観ている限りは、その狙いがどこにあるのかは決して分からない。ちなみに彼は韓国系の人なので中国語は理解できない。とにかく顔が森進一並みに不自然で・・・(以下略)

ステイサムは、1988年ソウルオリンピックに高飛び込みの英国代表選手として出場した経験があるだけあって、たしかに鍛え上げられた肉体は見事だが、ワイアー・ワークを多様しすぎていて、パワフルさの欠けらもない器械体操のような競技的なクンフー・アクションには華麗さは感じられたが、迫力はほとんど感じられなかった。

最近こういう肉体と肉体のぶつかり合いが感じられないアクション映画が増えているよな。
実際、ブルース・リー以前のクンフー映画チックに最近のアクション映画はなっている感じだ。見栄えの違いこそあれ感覚はあの時代の迫力のない舞踏的なアクションに逆戻りしているのである。


■だからただひたすらこの瞬間を楽しむんだ!



終盤にフランクが見せるトラック上で体操選手並みの前転をして、運転席にいる敵に蹴りをかますシーンのありえなさが最強に素晴らしい。しかし、ラストの断崖絶壁での超不条理なラストはなんともである。ヒーローは自分自身の力で最後のピンチを乗り切らないといけなくはないか?せっかく手を挙げつつ尖った石を隠し持っていたのにそれを使うまでもなくヒロインに助けられるとは・・・

しかも娘が実の父親を殺して、コンテナに閉じ込められていた中国人を救出して終わりという物語の締め方は、何才児にでもごまかしきれないカタルシスにも説得力にも最高に欠ける結末ではないだろうか?最近の映画人にはやたらバカが目立つよな?

リュック・ベッソンは、今やフランスにおいて映画というものを完全に割り切って製作するようになってしまった。
人間年をとれば才能が枯れはて、凡庸の極みに達する人もいるというものである。刑事と運び屋の関係や父と娘の関係、運び屋とヒロインの関係を考えてみると、この脚本レベルはアンダー12確定だろう。

そして、2002年の時点で、中国人移民をフランスに密輸する商売という発想が、2002年の時点でイギリスが中国にアヘンを密輸しているという設定並みにはずしている。ベッソンはどうやらここ10年間はパーティやらスーパーモデルと遊んですごし過ぎで頭脳はほとんど小手先程度にしか働かせていないのではないだろうか?

2001年10月〜2002年2月にかけて撮影された本作は、監督二人体制をとっている。厳密に言うと演技とスタントはルイ・レテリエが担当し、格闘シーンはコーリー・ユンが担当した。ちなみにコーリー・ユン(1951− )とは、『ドラゴン怒りの鉄拳』(1971)でブルース・リーと競演し、『レジェンド・オブ・フラッシュ・ファイター/格闘飛龍』(1992)など多くのジェット・リー主演作を監督し、『リーサル・ウェポン4』(1998)『ロミオ・マスト・ダイ』(2000)のアクション指導をした実際にクンフーの達人である。

ジェイソン・ステイサムは語る
「格闘技にはもう何年も親しんで、少しばかり経験を積んだつもりだったが、コーリーによってまだ何も解っていなかった事を、身をもって知らされた」。ステイサムはほとんどスタントマンを使用せずに自ら演じたという。

全体として、娯楽作品としては良作である。ただし、カーアクションを期待して見ると、前半の20分以降は期待が裏切られてしまう。本作はカンフー・アクション映画として、ジャッキー・チェンの映画を見るノリで見れば期待は裏切られないだろう。


− 2007年5月2日 −


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