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ヴェラクルス   VERA-CRUZ(1954・アメリカ)
■ジャンル: 西部劇
■収録時間: 94分

■スタッフ
監督 : ロバート・アルドリッチ
製作 : ジェームズ・ヒル
原作 : ボーデン・チェイス
脚本 : ローランド・キビー / ジェームズ・R・ウェッブ
撮影 : アーネスト・ラズロ
音楽 : ヒューゴ・フリードホーファー

■キャスト
ゲイリー・クーパー(トレーン)
バート・ランカスター(エリン)
シーザー・ロメロ(デ・ラボルデア公爵)
アーネスト・ボーグナイン(ドネガン)
チャールズ・ブロンソン(ミシシッピー)
この作品の存在が西部劇の基本概念を根底から変えてしまった。
1.西部劇で悪役が輝く作品が続出されるきっかけに
2.西部劇にはじめて戦争や革命が登場する
3.西部劇におけるメキシコの重要性が飛躍的に→ウェスタンからメキシカンに。
4.機関銃をぶっぱなせ!

■あらすじ


南北戦争直後のメキシコに、南軍の大佐だったトレーン(ゲーリー・クーパー)が流れ着いてきた。そこで、凄腕のガンマン・エリン(バート・ランカスター)と知り合う。そして、時のメキシコ皇帝マクシミリアンの300万ドルの黄金輸送に協力することとなる。ヴェラクルスまでの道のり、黄金を独り占めしようとするエリンと伯爵夫人、そして、トレーンの駆け引きが始まる。


■白い歯でニヤリ!



ヘクト・ランカスター・プロダクションがゲーリー・クーパーを主役に迎えて製作したのが本作である。がしかし、実際はW主演の体裁を取っており、しかも、片方の主役である黒ずくめの悪役を演じたバート・ランカスターが全て美味しいところをさらっていった。

ここにバート・ランカスターの凄みが垣間見える。自分の悪の魅力をより引き出すためには、よっぽど説得力のある正義の主人公でないと輝かないと。だからこそ、当時最高峰の正義のスター・ゲーリー・クーパーを主演に迎えたのである。ゲーリー・クーパーが食われるほどの名演をバートが成し得たという事実は、結局はゲーリー・クーパーの存在感の凄さでもあるのである。

それにしてもあの食べ方といい、女の扱い方といい、歯のむき出し方といい、その野性味溢れる魅力は凄まじい。

エレン(バート・ランカスター)がトレーン(ゲーリー・クーパー)に言うセリフも決まっている。
「昔エースって賭博場の経営者がいて、親父を殺した代わりに俺を育ててくれた。彼の教えは危ない橋を渡るな人を信用するな。情けをかけるな≠サれに反したため俺に撃ち殺された」

このセリフこそ、今後1960年代のマカロニ・ウェスタンの根底に流れる思想を象徴するセリフである。


■ある意味西部劇の概念が変えられた作品


西部劇の中にどんどんとメキシコ戦争や、南北戦争といったものが取り入れられていくきっかけにもなった作品である。本作のアクションは今見ても見ごたえ十分である。この作品は
『最初のマカロニ・ウェスタン』と呼ばれるくらい世界中に衝撃を与えた。中でもセルジオ・レオーネはこの作品に多大なる影響を受けたと言っている。

エリンが最初に早撃ちを見せるシーンでの、背面撃ちなどは格好良すぎである。さらにトレーンとエリンの銃をホルスターに仕舞うしまい方が対象的で実に魅力的である。こういった西部劇の基本的な魅力もばっちり押さえている所もさすがアルドリッチである。


■ボーグナイ、そして、ブロンソン


アーネスト・ボーグナインとチャールズ・ブロンソンが出演している。それにしてもこの2人の男達、無名にしてこの輝きは異様である。ブロンソンはこの頃から基本的に寡黙な男の魅力を売りにしている。そして、ボーグナインもそのにやりとした猿顔がグレムリンのようで一瞬にして脳にインプットされる不思議な魅力に溢れている。

しかし、ワン・シーンだけブロンソン好きにはショッキングなシーンがある。メキシコ美女をレイプしようとするのである。しかも、女一人押さえつけられないひ弱さなのである。しかし、
こういうダサイシーンを経て本当の男のダンディズムは磨かれていくのである。格好ばかりつけていたら本当のいい男にはなれないと、教えられた瞬間である。


■国際色豊かな美しき俳優陣



メキシコ皇帝の300万ドルの金塊を独り占めしようとするマリー・デュバル伯爵夫人を演じるデニーズ・ダーセル(1925− )はパリ生まれのフランスの女優である。映画の中では背が低く見えるが、それはクーパーとランカスターとロメロという180pを優に超える大男達に囲まれているが故である。彼女は163pと決して小柄ではない。元々有名なフランスのキャバレー歌手で、ハリウッド映画にも『戦場』(1949)を始め数本に出演している。美女というよりも気の強そうな女性である。

一方、トレーンに影響を与えるメキシコ解放の女闘士ニナを演じるはサリタ・モンティール(1928−)である。彼女はメキシコ人ではなくスペイン人である。本作がハリウッド・デビュー作で、後にアンソニー・マンと結婚する(1957−1961)。スペインでは最も有名な歌手であり、女優である。

この女優さんは凄く個性的な顔立ちで現代にも通用する美人である。

そして、デ・ラボルデア公爵を演じるはシーザー・ロメロ(1907−1994)はキューバ系アメリカ人で、TV『バットマン』のジョーカーとして有名である。大変粋な男で、決して同じ服装をしなかったという。常時クローゼットには30着のタキシードと200着のスポーツジャケット、そして、500着のスーツが常備されていたと言う。そして、彼はゲイであった。



メキシコ皇帝マクシミリアンの悲劇


本作の舞踏会で、トレーンとエリンの射撃に参加するメキシコ皇帝マクシミリアンは、映画の上ではそれほど印象的に描かれてはいないが、実際には歴史の波に飲み込まれた悲劇の皇帝であった。

■ハプスブルグ家に生まれ


マクシミリアンは、1831年に生まれる。2才上の兄はのちのオーストリア=ハンガリー帝国皇帝
フランツ=ヨーゼフ1世(1830−1916)である。1857年7月17日ベルギー王レオポルド1世の美貌と聡明さで名高い娘シャルロッテと結婚する。そして、北イタリア総督に就任するも、自由主義的な政策にウィーン宮廷は反発し北イタリア国民からは歓迎されるも、1859年に解任される。

■メキシコ皇帝即位

一方フランス皇帝
ナポレオン3世(1808−1873、在位1852−1870)はメキシコに目を向けていた。1861年から始まったアメリカ合衆国の南北戦争(〜1865年終結)により、財政援助を受けれなくなった民主派のメキシコ大統領ベニート・ファレス(1806−1872)を打倒しようとする保守派に加担することになる。

1862年1月フランス軍メキシコ上陸するもプエブラ要塞攻略に失敗し敗退する。63年3月、4万のフランス軍による再征によりプエブラ要塞を攻略し、メキシコシティ占領に成功。そして、「メキシコ国軍が整備されるまでは、必ずフランス軍25000を常駐させる」の約束の下、マクシミリアンがメキシコ帝位につくことになる。それにあたり、オーストリア皇位継承権の放棄をフランツ=ヨーゼフ1世は要求し、不仲の兄がこの機会に弟を宮廷から追い出す形となった。

■マクシミリアンとシュルロッテ

1864年メキシコ皇帝に即位する。しかし、ナポレオン3世の思惑通りに物事は進まず。フランスの傀儡皇帝になることを拒否したマクシミリアンは独自のメキシコ帝国建設に乗り出す。しかし、その時丁度南北戦争が終結し、アメリカ合衆国がフランス軍の即時撤退を要求する。一方、ヨーロッパにおいてはプロイセン王国(1866年の普墺戦争でオーストリア帝国がプロイセンに敗北→ハプスブルク帝国の分裂へ)が台頭していた。

アメリカの支援を受け、ゲリラ化していたファレス軍が息を吹き返し、1866年1月ナポレオン3世は一方的にフランス軍撤退をマクシミリアンに通告する。マクシミリアンは退位を決意しようとするもシャルロッテの断固とした反対により退位せずに皇帝の地位にとどまることに、そして、シャルロッテがパリに出向きナポレオン3世に直談判する。しかし、その冷ややかな対応に激昂し、やがて発狂し、祖国ベルギーに幽閉されることになる。

■マクシミリアン処刑さる

フランス軍も撤退し追い詰められたマクシミリアンは1867年5月12日降伏する。ヨーロッパ諸国やアメリカまでもが助命嘆願をするも、ファレス大統領は処刑を断行することに。6月19日処刑当日、金時計の蓋のシャルロッテの肖像にキスをし、これを妻に渡してくださいと神父に託した。

マクシミリアンは目隠しを拒否し、
「私は全ての人を許そう。だから皆も私を許してほしい。今流される私の血が、この国の幸福につながることを願う。神よ、これが最後の流血でありますように。メキシコ万歳!」と叫ぶ中、最後までマクシミリアンに従った二人の将軍と共に銃殺された。

■マクシミリアン処刑後

フランスのナポレオン3世は、1870年プロイセンとの普仏戦争に敗れ捕虜になり、フランス第二帝政は崩壊する。一方ベルギーに幽閉されたシャルロッテは夫の死を知らぬまま発狂したまま1927年に病死した。


■映画史上に残る最後の決闘



トレーン「人の心配とは珍しい」エリン「初めての友達だからな」。そんな友情の芽が芽生え始めているような会話をしていた2人だが、300万ドルの金塊を独り占めしようと考えるエリンと、メキシコ独立のための資金に役立ててもらおうと考えるトレーンは、結局最後に決闘することになる。

そして、対峙する形で決闘する2人。もう究極に格好良い男の世界である。エリンの死に様も良かったが、エリンのホルスターから銃を抜き取り怒りの表情で放り捨てるトレーンも格好良かった。

それにしても、この西部劇どうみても1954年の作品には思えないほどの出来栄えである。


■西部劇の主流はメキシコへ


本作はバート・ランカスターのヘクター・ランカスター・プロダクションが170万ドルかけて製作し、1100万ドルの収益をあげる大ヒット作となった。監督のロバート・アルドリッチ自身が最も気に入っている作品の一つと挙げるほどの見事な出来栄えである。

またハリウッド大作映画で初めて本格的メキシコ・オール・ロケされた作品でもある。この作品から良作の西部劇はメキシコを舞台に描き出されることになった。そして、この作品から本格的にハリウッド映画は、世界中の国々を舞台にした大作映画製作に乗り出すことになるのである。


− 2007年5月26日 −


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